トップステートメント

-

トップステートメント

代表取締役社長 伊藤 正明

代表取締役社長
伊藤 正明

昨今、企業に対しサステナビリティやESGに積極的に取り組む経営が強く求められています。私たちは良き企業市民として、環境や社会への配慮はもとより、化学の力で地球や社会の持続可能性を高めることに貢献し、自らも成長する企業を目指しています。

クラレグループは「世のため人のため、のやれないことをやる」というミッションのもと、創立以来、自然環境や生活環境の向上に貢献する事業展開を行ってきました。この達成に向けて、CSR活動においては自社の重要課題をマテリアリティとして定め注力分野を特定してきました。しかし、これまでのマテリアリティは事業を通じた貢献を上手く反映出来ていないといった課題があり、全事業部長参加のもと、実行性も含めて議論を繰り返してマテリアリティの改定を行いました。次期中期経営計画では、このマテリアリティを軸に自然環境や生活環境の向上への貢献度を指標化することが課題と考えています。

※マテリアリティとは、社会が解決を望む課題のうち、自社に関わる重要課題のこと
詳細はクラレグループのマテリアリティ参照

加えて、化学メーカーに対しては、気候変動やプラスチックごみ問題への取り組みが強く求められています。気候変動に関しては、地球温暖化防止に向けてパリ協定が2020年から実行段階に入り、各国毎に温暖化ガス排出量削減数値目標が提示されていますが、プラスチックごみ問題に関しては、まだ規制の行方は明確になっていません。クラレグループは循環型経済(サーキュラーエコノミー)への取り組みについて、ステークホルダーの皆様に示すことが重要であると認識しており、次期中期経営計画の最重点課題の一つと捉え、検討を進めています。

さらに近年では、企業の連結財務諸表に表されない潜在的な事象のうち、業績に著しく影響を与える可能性があるものに関しては、開示強化を求める動きがあります。その一つに気候変動におけるリスクと機会に関する企業の対応を開示するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)があります。このTCFD提言をよく検討して、情報開示の充実にも取り組んでいきます。

さて、これらの課題解決策を実行するのは社員一人ひとりです。私は、「社員が安心して働ける職場で、誇りと働き甲斐を感じて業務遂行し能力を発揮してくれる」こと、それが企業の推進力を高めると考えています。そのための一助として在宅勤務制度やフレックスタイム制度などの導入に加え、今年は時間単位年休制度を導入し、働きやすい職場環境の整備を進めています。これらの施策は、現在直面している新型コロナウイルスへの対応など通常の業務遂行に支障をきたす際の事業継続策としても大きな意味を果たし、また来年に延期された東京オリンピック開催時の影響緩和にも役立つものです。
これらに加えてガバナンス強化や職場のダイバーシティにも積極的に取り組んでいます。本年は社外取締役を1名(3名→4名)増やし、新たに外国人取締役も選任しました。今後もグローバル企業として、さまざまな個性を持った人たちが活躍できる環境づくりに全社を挙げて取り組んでいきます。

当社は2017年2月に浄水施設、ごみ焼却施設等で使用される活性炭の製造・販売に関して公正取引委員会の立ち入り検査を受け、2019年11月には同委員会より東日本地区および近畿地区の浄水施設、ごみ焼却施設等の一部で使用される特定活性炭の製造・販売に関し、独占禁止法に基づく排除措置命令および課徴金納付命令を受けました。2017年3月にも防衛装備庁が発注する特定ビニロン製品の入札に関して公正取引委員会から排除措置命令を受けています。

二度にわたる独占禁止法違反の排除措置命令に関し、事態の重大性を厳粛かつ真摯に受け止め、独占禁止法の遵守を経営上の最重要課題の一つとし、再発防止に向けた諸施策に全力で取り組んでいます。具体的には、2017年度から取り組んでいる施策に加え、再度トップメッセージを全グループ役員・社員に発信し、コンプライアンス意識の強化を図るとともに、外部講師による当社役員並びにグループ会社役員向けセミナーや国内外営業社員向けセミナーを実施しています。また、独占禁止法遵守指針などの社内規定の整備、入札等をモニタリングするシステムの構築、独占禁止法遵守状況の聴取、教育・研修の充実、入札監査の実施を一連のプログラムとして体系化し海外を含め統一し運用しています。さらに人事面では、管理職のローテーション制度を変更し、同じ担当者が同一職務を一定期間以上継続して担当することを防ぎます。これらの施策を着実に実行し、再発防止に努める所存です。
詳細はグループのコンプライアンス参照

また2018年5月にKuraray America. Inc.のエバール工場において発生した火災事故では、ステークホルダーの皆様に多大なるご心配をおかけしております。同工場は再発防止の諸施策を講じた上で運転を再開しておりますが、二度とこのような事故を起こさないために、今までできていたことができなくなっていないか、管理項目に抜けや不足がないか、長年にわたる安定操業が安全に関する過信・慢心に繋がっていないかといった観点を踏まえ、2019年度より海外プラントの安全監査を実施しています。そこで抽出したマネジメントシステムの改善、教育・訓練の充実、リスクアセスメントの拡大に順次対処しています。さらに2020年度以降は、国内外プラントにおける安全に関する設備面の強化、および管理システムやマニュアル見直し・改善、社員教育の充実などソフト面の強化にも継続的に取り組んでいきます。
詳細は安全報告参照

クラレグループは今後とも、企業ステートメントの行動原則に掲げた「安全はすべての礎」の考え方のもと、「安心して働ける会社、事故や災害が起こらない安全な会社」の実現をグローバルで目指していきます。

伊藤 正明