基本方針

クラレの研究開発の基本方針や重点研究分野をご紹介します。

ごあいさつ

クラレの研究開発は天然物を化学製品で代替することから始まりました。絹の代わりとなるレーヨンの事業化からスタートし、戦後は国産資源であるカーバイドを原料に、国産技術だけで綿や羊毛を代替できるビニロンの事業化を達成。さらにビニロンから派生した酢酸ビニルの技術がポバールやエバールなどを生み出し、現在の基幹事業である酢酸ビニル系化学製品群につながっています。

そして、創業から90余年。今、クラレの研究開発は大きな転換点を迎えています。クラレには、「世のため人のため」に「他人(ひと)のやれないことをやる」という独自の企業文化があります。研究開発においては、世の中に必要とされる素材を、クラレにしかできない分野で事業化することです。その原点へと立ち返るため、研究テーマを私たちの強みが生かせる領域に絞り込み、事業化への成功確率を高める取り組みを進めています。

この方針に基づき、新規事業のターゲットを「既存事業から歩いて行ける」周辺領域に設定しました。既存事業の半歩先、1歩先の領域には、未来を拓く可能性を秘めた数多くのテーマが広がっています。そこからさらに3歩4歩と着実に歩を進め、まったく新たな領域へと地平線を拡大していこうと考えています。

同時に、事業化の成功確率を高めるため、テーマの選択と実現可能性、そして実現時の事業性について、研究者が営業担当者やトップマネジメントと十二分に議論できる体制を構築しました。これにより、一般的に1000に3つと言われる成功確率を10に8つまで向上させることを目指しています。

2016年からは、研究開発本部の主導で各事業部や海外拠点とのコミュニケーションを密にする活動を実施し、それぞれの役割分担を明確にするとともに、研究開発テーマを洗い出してきました。その結果上がってきた100件近いテーマについて、事業化に向けて一つひとつ検討する作業を引き続き進めています。

こうした取り組みを誠実かつ着実に進め、これからもクラレらしい製品の提供を通じ、皆さまのお役に立てるよう努力を重ねていきたいと考えています。

株式会社クラレ 常務執行役員 イノベーションネットワーキングセンター担当、
研究開発本部担当、IPマネジメントセンター担当 津軽利紀

基本方針

新興国企業の参入により競争が激化し、スペシャリティケミカルのコモディティ化が進む化学業界において、高付加価値製品を創出する技術開発力は、グローバル競争力の維持・強化に不可欠な経営資源として重要性が増しています。
クラレグループの技術開発力の要となるコーポレート研究開発は、社内カンパニー・事業部およびグループ会社に所属する研究開発部署と緊密に連携しながら、「新事業の創出」「既存事業の強化・拡大」「基盤技術の構築・深耕」の各ミッションにおいて、グループ全体の業容拡大と収益向上に資する取り組みを推進しています。

既存事業の強化・拡大

クラレのコア事業をより盤石なものとすべく、クラレグループ全体にわたって事業部・グループ会社との連携のもと、各事業の生産・開発が抱える課題の早期解決を推進しています。

基盤技術の構築・深耕

「新事業の創出」および「既存事業の強化・拡大」を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図っていきます。

新事業の推進

以下の製品開発を通じて新事業の推進を図っていきます。

液晶ポリマーフィルム〈ベクスター〉
独自の製膜技術で開発した液晶ポリマー(LCP)フィルムです。これからの需要が見込まれる自動車(車載エレクトロニクス)や5G用モバイル機器、高解像度カメラなど、幅広い用途に展開します。
半導体用CMPパッド
独自設計の熱可塑性ポリウレタンを原材料とし、半導体製造プロセスにおいて半導体の平坦化工程で使用される CMP(Chemical Mechanical Polishing 化学機械研磨)パッドです。特に今後の主流用途となる医療機器や自動車分野でのお客さま評価を進めています。
バイオハードカーボン
耐久性と充放電特性に優れた、植物系材料の新たなハードカーボンです。ハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場で予想されている急速な拡大に対応するため、生産設備を増強しています。