トップステートメント

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代表取締役社長 川原 仁

クラレグループは、1926年の創立以来、独自の技術力で数々の革新的な製品を生み出してきました。合成繊維ビニロンの世界初の事業化を皮切りに、時代の変化に対応しながら技術を進化させ、スペシャリティ化学企業へと成長してきました。現在では、世界シェアNo.1製品の売上高がグループ全体の約60%を占めるに至っています。これもひとえに、クラレグループの使命である「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」を先人たちが追求し、今日まで受け継いできた結果だと考えています。
 1984年に入社した私は、自由闊達な企業風土の中で、若手ながら多くの仕事を任されました。責任を感じながらも、自らの考えに基づいて挑戦できる機会に恵まれたことは、今でもかけがえのない財産となっています。

「私たちの挑戦」の成果を定量化し、実益へと結びつけていく

中期経営計画「PASSION 2026」では、社員一人ひとりの挑戦を促し、グローバルで「One Kuraray」として結束を強め、クラレグループの総合力を高めるための全社横断の施策として、「私たちの挑戦」を掲げています。
 1つ目は、サステナビリティを機会として捉え、グループ一丸となって推進する「機会としてのサステナビリティ」、2つ目は、社外・社内を問わず、人と人、技術と技術をつなげることで、新たな成長のドライバーを生み出す「ネットワーキングから始めるイノベーション」、そして3つ目は、デジタルでプロセスを変え、多様性で発想の幅を広げ、人と組織に変革をもたらす「人と組織のトランスフォーメーション」です。
 「機会としてのサステナビリティ」では、クラレグループのマテリアリティに基づくサステナビリティ関連の各施策を「サステナビリティ中期計画」としてまとめ、「Planet(環境)」、「Product(製品)」、「People(人材)」の3つのPに整理・分類した「3Pモデル」で推進しています。これらはいずれも事業活動を支える重要な非財務項目です。今後も経営戦略と密接に連携しながら、各施策を実行していきます。

「Ready to be, Ready to go」好機を捉え、進化し続けていく

クラレグループの売上高の約80%は海外市場からのものであり、ビジネスの主戦場はまさにグローバルです。海外メンバーを結束させて、共通の理解と目標に向かって進む必要があります。現在推進している「3つの挑戦」は、いずれも事業部や国・地域を超えた連携を強化する施策です。これらの挑戦を通じて、グローバルなメンバーの一体感を強めていきます。
 私の目下の目標は、「世のため、人のため」となる新規ビジネスを創出し、「成長・拡大事業」に新たな柱を加えることです。さらに、長期的な事業機会の創出として、2050年カーボンネットゼロに向けた取り組みにも引き続き注力します。環境問題に対する情勢は変化していますが、好機到来時にタイミングを逃さず「Go」の判断が可能となるように、設備投資や製品提供を含めた準備をしています。世の中の動向を的確に見極め、好機を逃さず迅速に対応できるよう、「Ready to be, Ready to go(準備万全、いつでも行ける)」の体制を整えておくことが、重要であると考えます。
 株主をはじめとするステークホルダーの皆さまには、変革と進化を続けるクラレグループにご期待いただくとともに、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。