サステナビリティマネジメント

リスクマネジメント

リスクマネジメント・コンプライアンス推進体制

クラレはリスクマネジメントおよびコンプライアンス推進体制を強化するため、2017年度に「CSR委員会」から「リスク・コンプライアンス委員会」を分離し、取締役会に直接報告を行う委員会としました。「リスク・コンプライアンス委員会」を中心にグループとして、重要リスクへの重点対策および法令遵守・企業倫理の徹底・公正な企業活動の実践を実現すべく活動を行っています。

リスク管理方針

社長が各組織に示達するクラレグループのリスク管理方針は、グループのリスク管理全体に渡る長期的・継続的な「基本方針」と社会情勢、当社・他社動向に鑑みて当該年度に重点的に取り組む「年度課題」から成り、リスク対応の基本的な考え方を維持しつつ、リスク環境の変化に柔軟・迅速に対応できるようにしています。

2019年度 クラレグループリスク管理方針
【基本方針】
  • 社会の信任を裏切る違法、不適切な行為の防止を徹底する。
  • 社員・地域・顧客・協業先等の安全と健康を脅かす事故・災害(保安事故、労働災害、環境汚染、製品事故等)の防止を徹底する。
  • 事業・社会に深刻な影響を与える事象が発生した際には、社会の信任、安全と健康を確保し、事業を継続または早期回復させるための対策に取組む。
    (社会の信任、安全と健康をまず優先し、その上で事業の継続・回復に取組む)
【年度課題】
  • 独占禁止法をはじめとする法令違反リスクの再点検し、対策を徹底する。
  • 信頼性向上を目指し、品質保証システムを総点検し改善・改良を図る。
  • 情報・データの重要性を認識し、保全対策を強化する。

なお、2018年の年度課題、およびその具体的な施策は以下の通りです。

【2018年度課題】
  • 独占禁止法をはじめとする法令違反リスクの再点検を進め、対策を強化する。
  • 自然災害に対するリスク低減対応を進める。
  • 品質への対応を強化する。
【具体的な施策】
  • 国内では、2017年に同業他社との接触を定常的にモニタリングするシステムを構築し、これらの企業との取引・会合および入札への参加を事前承認制としました。2018年は、モニタリング結果を分析し独占禁止法違反リスク低減策を図るとともに、入札参加結果に関して、内部監査を実施しました。
    海外では、2017年に続き2018年も各地域における独占禁止法遵守指針および反贈収賄法遵守指針の作成および従業員への配布を進めました。また、当該地域の従業員に対し、独占禁止法・反贈収賄法に関する研修を実施するとともに、実態把握のためのヒアリングを実施しました。
  • 2017年の米国でのハリケーンによる被害を受けて、地震・津波以外の自然災害について、海外を含む各拠点の防災体制の総点検を行いました。その結果、対策が必要な案件について、計画的に対策を進めています。
  • 2018年は顧客や社会からの要求の高まりに応えるため、国内の品質保証の社内ルール整備を進めました。また、各事業部が行っている品質改善活動の成果の共有やクラレグループ品質ハンドブックを用いた国内事業所でのベーシック教育などにより、品質保証体制の強化を図りました。

リスクマネジメント

クラレグループのリスク管理は、各事業部、本部、室、事業所、関連会社が自組織のリスクを特定し、自己評価して適切に対応するタテのリスク管理と、発生するとマイナスの影響のみを与える純粋リスク(例えば、自然災害、法令違反など)を担当する本社のスタッフ部署が評価を行い組織横断的な管理を行うヨコのリスク管理を行っています。これらのリスクの中から経営レベルで管理すべき重要なリスクを「リスク・コンプライアンス委員会」で協議・抽出し取締役会に報告すると同時に、担当役員を指名し、重点的な対策を進めています。

コンプライアンス

グループのコンプライアンス

クラレグループは、多様な社会との接点において遵守すべき事項を「私たちの誓約」として、またこれを企業活動の中で具体的に実践するためのガイドラインを「行動規範」として定めています。そして、法令および「私たちの誓約」を厳守することを経営トップが宣言しています。これを世界中のクラレグループ社員に周知するため、トップ宣言を明記し、「行動規範」をわかりやすく解説したコンプライアンス・ハンドブック(10言語:日、英、独、中、韓、露、フラマン、チェコ、伊、仏)を作成し、社員全員に配布しています。
ウェブ参照

また、クラレ各地域拠点およびグループ各社にコンプライアンス統括者を選任するとともに、地域別にコンプライアンス委員会を設けています。地域別委員会では「リスク・コンプライアンス委員会」で決定した全社テーマの他、地域特有のテーマについても効果的な取り組みを行っています。

内部通報制度

クラレグループでは、コンプライアンス違反を防止、または早期に発見・解決するための内部通報制度として、国内クラレグループ全社員(契約社員、派遣社員、パート社員を含む)を対象に「クラレグループ社員相談室」を設置、また欧米の主要拠点にも内部通報窓口を設けています。

近年、M&A等により急速にグローバル化が進展したことから、窓口が未整備の海外拠点について整備を進め、2018年度にはすべてのグループ会社でグローバル・コンプライアンスホットラインへのアクセスを可能としました。

2017年より開始した社内コンプライアンスセミナーにより、従業員の社員相談室の周知が進んだ事が相談件数に反映されているものと考えています。

コンプライアンス徹底の取り組み

当社は2016年3月に防衛装備庁が発注する繊維製品の競争入札に関して、公正取引委員会の立ち入り検査を受け、2017年3月に独占禁止法に違反する行為があったとして同委員会より排除措置命令を受けました。
この立ち入り検査以降、独占禁止法の遵守およびコンプライアンスの徹底のため種々の施策を実施しました。
しかしながら、2017年2月に浄水施設、ごみ焼却施設等で使用される活性炭の製造販売に関して、再度公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。この事実を厳粛、かつ真摯に受け止め、同委員会の調査に全面的に協力すると同時に、再発防止とコンプライアンスの徹底に向けた以下の取り組みを行いました。

独占禁止法・反贈収賄法遵守に向けた取り組み

国内では2017年から2018年にかけて、競合他社との取引・会合及び入札への参加を事前承認制とする社内システムを導入し、競合他社との接触及び入札参加状況をモニタリングしています。また、入札参加結果に関して、年一回監査を実施しています。
海外では同様に2017年から2018年にかけて、各地域において独占禁止法遵守指針・反贈収賄法遵守指針の作成・従業員への配布を進めるとともに、各海外拠点の従業員に対し、独占禁止法・反贈収賄法に関する研修および実態把握のためのヒアリングを実施しました。

コンプライアンスセミナー

2017年より国内グループの全社員(契約社員、派遣社員、パート社員を含む)を対象に部署教育を展開しています。
2018年は部署内で事例を題材にディスカッションする研修を実施し、「日頃からなんでも言い合える職場環境」の実現を目指しました。これは日頃から部署のメンバーが相互に気配りし、疑問や不安を感じた時に、同僚・先輩・上司に相談できることで、コンプライアンス違反の芽を事前に摘み取ることができると考えるからです。今後も同様の研修を継続します。