環境報告

地球温暖化防止

国内グループではCO2排出削減努力(バイオマス燃料の使用量拡大、廃プラスチックの燃料化、運転効率化、省エネ機器への更新、地道な省エネ活動(ムダ取り活動)等)により、2018年度は13千トン-CO2の排出削減対策(2011年度からの累計で174千トン-CO2削減)を行い、目標を達成しました。その結果、総排出量は1,320千トン-CO2と2017年度より10千トン-CO2減少しました。しかし、もう一つの目標であるGHG排出原単位指数は2017年度対比で▲3.5%となり、目標を下回る結果となりました。これは総排出量が減少したものの、生産量(換算生産量)も減少したことが影響しています。

一方、海外関係会社においては、2018年3月のカルゴンカーボン社の買収、製造拠点の稼働率上昇、および、既存設備の生産能力増強等により、エネルギー消費量は595千kL(原油換算)となりました。エネルギー原単位指数(2017年度対比のためカルゴンカーボン社を除く)は2017年度対比3.6%向上し、目標を達成しました。これは一部拠点において実施された製造プロセス改善に加え、稼働率上昇により生産量が増加し製造設備の停止ロスが低減したことが大きく影響しています。
カルゴンカーボン社の買収によりクラレグループ合計のGHG排出量は2017年度の2,360千トン-CO2から約820千トン-CO2増加し2018年度は3,180千トン-CO2となりました。カルゴンカーボン社のGHGはその多くが製品である活性炭を製造するプロセスで発生したCO2です。カルゴンカーボン社では石炭原料の活性炭を製造しており、投入した石炭を“蒸し焼き”にして表面に細孔を形成しています。このとき、細孔形成のために除去される石炭表面の炭素がCO2として大気中に放出されます。

国内グループ 1,320千トン-CO2
(2017年度 1,330千トン-CO2
海外関係会社 595千kL-原油換算
(2017年 500千kL-原油換算)

バイオマス燃料発電

クラレでは倉敷事業所で石炭の代替燃料としてバイオマス燃料※(建築廃材等の木材チップ)を導入し、逐次投入量を拡大してきました。2018年は、約47千トンのバイオマス燃料を投入したことにより、およそ71千トン-CO2の排出削減に貢献しました。今後も引き続きバイオマス燃料の投入量を増やす取り組みを進めていきます。

※植物は自らが成長する過程で大気中のCO2を吸収しているため、植物を原料とする木材を燃焼させた際に発生するCO2の排出は差し引きゼロと考えることができます。

製品輸送時の環境負荷低減

クラレでは事業所等で自らが排出する温室効果ガス(GHG)のほかに、製品をユーザーへ輸送する際の物流段階での環境負荷の低減にも取り組んでいます。トラック輸送から貨物列車、船などへ輸送手段を転換する“モーダルシフト”の取り組みを継続して進めた結果、2018年度の排出量は、13千トン-CO2となりました。

Scope3における GHG排出量

GHGプロトコルではGHG排出量をScope1、2、3の3つに区分しています。

・Scope1(直接排出量);
自社の事業所等で燃料などを燃焼させることで発生するGHG排出量
・Scope2(間接排出量);
他社から供給された電気、熱、蒸気など購入エネルギーに伴うGHG排出量
・Scope3(その他の間接排出量);
Scope1、2以外のサプライチェーン全体(原材料から製品の廃棄まで)におけるGHG排出量

このうちScope1、2は事業者が自主的に算定し国に報告することが法で義務付けられており、クラレでも国に報告するとともにCSRレポート等で公表してきました。

一方、サプライチェーン全体を考慮したGHG排出量であるScope3の算定は、クラレの直接的な事業活動による排出量だけではなく、原材料の調達から製品の流通、使用、廃棄に至るライフサイクル全体の視点から排出量を把握するもので、2013年度から算定を継続しています。

Scope3の全15カテゴリのうち、当社非該当、あるいは、算定範囲が当社製品群のごく一部のため公表対象外としたカテゴリを除き、排出量が比較的大きい5カテゴリ(下図の①~⑤)について2018年度実績を算定しました。また、クラレグループ製品のライフサイクル評価による環境貢献の定量化も継続して進めていきます。

※GHGプロトコル(The Greenhouse Gas Protocol):世界資源研究所(World Resource Institute;WRI)と世界環境人協議会(World Business Council for Sustainable Development;WBCSD)が中心になり、世界中の企業、NGO、政府機関等が参加して温室効果ガス/気候変動に関する国際スタンダードや関連ツールを開発するイニシアティブです。

[Scope3] サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量管理イメージ
(図中の①から⑮はScope3のカテゴリを示す)