トップステートメント

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代表取締役社長 伊藤 正明

代表取締役社長
伊藤 正明

当社は2018年5月より、従来のCSRレポートに代えて「クラレレポート」を発行することとしました。当社グループのサステナビリティ活動の報告は、「クラレレポート」およびホームページの当サイトにて充実を図ります。是非、ご覧ください。

昨今、ESGへの積極的な取り組みが、企業経営に求められています。企業は経営の透明性を高めるとともに、良い企業市民として社会や環境への配慮だけでなく、より積極的な貢献を果たさなければなりません。その結果として、企業が長期的に成長する原動力となると同時に、持続可能な社会が形成されていきます。

クラレグループは「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という使命のもと、創業以来、社会に貢献する事業展開を目指してきました。近年では国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals)に2030年までに持続可能な世界を実現するための17のゴールとそれを達成するための具体的な目標が示されていますが、クラレグループはすでにその一部を実践しています。例えば、ガスバリア性に優れた樹脂<エバール>は、食品包装材として用いられることで食品の長期保存を可能とし、食品ロス低減に力を発揮しています。また、中空糸膜や活性炭は、安全な水の供給に欠かせない製品となっています。とりわけ、活性炭は水処理のみならず、様々な物質の吸脱着を容易とする素材特性から、多くの分野で環境改善に貢献できる製品であり、大きな柱となる事業に育てていきます。

また、環境関連で化学メーカーとして動向を注視せねばならないものにマイクロプラスチック(海洋プラスチック)・廃棄プラスチック問題があります。これに関しては、国や地域の事情もあり政策や規制の方向性が固まっていないのが現状です。クラレグループではグローバルな情報収集体制を整備した上で、各国・地域の正確な情報を入手し、それをもとにどのように対処すべきかしっかりと考えていきます。一方、クラレグループはバイオマス由来で生分解性を持つバリア材<プランティック>などの製品を保有しており、この問題の解決策を市場のニーズに合わせ、的確かつタイムリーに提案をしていきます。さらに、どのような課題認識のもとこれらの施策を実行し、達成すべき目標をどこに置くかについて、ステークホルダーの皆さまと共有することも重要と考えており、今後、足りない部分を充実させていきたいと思っています。

私はクラレグループを「安心・安全な会社」、「誇りを持てる会社」、「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に発展していく会社」にしたいと常々社員に伝えています。特に、真のグローバル企業グループとして世界から信頼され、社員が「誇りを持てる会社」にするために、コンプライアンス体制を一層強化していくことが欠かせません。また、女性活躍を含め、さまざまな個性を持った人たちが安心して働ける職場、働きやすく・働き甲斐のある職場をつくることが働き方改革であると考え、全社を挙げて取り組んでいます。加えて、経営層の多様化も進めており、2019年は女性の社外取締役と監査役、および4名の外国人執行役員(内1名は常務執行役員)が就任しました。今後も「安心・安全な会社」、「誇りを持てる会社」作りを進めることで、グループ全体の多様化の推進に力を入れていきます。また、これらの基盤強化に加え、「独自の技術に新たな要素を取り込み」前述の社会や環境が抱える課題解決に応えることで、「持続的に発展していく」(PROUD)企業を目指してまいります。

伊藤 正明