サステナビリティ・マネジメント

リスクマネジメント

リスクマネジメント・コンプライアンス推進体制

クラレは「リスク・コンプライアンス委員会」を中心にグループとして定期的にリスクをモニタリングし、経営に影響を及ぼす重大リスクを抽出しています。この重大リスクを社長に提案、社長が重要なものを経営リスクとして特定し、取締役会を経て重点対策を実施しています。「リスク・コンプライアンス委員会」は経営リスクに対する重点対策、ならびに法令遵守・企業倫理の徹底・公正な企業活動の実践を実現すべく活動を行っています。

リスク管理方針

社長が各組織に示達するクラレグループのリスク管理方針は、グループのリスク管理全体に渡る長期的・継続的な「基本方針」と社会情勢、当社・他社動向に鑑みて当該年度に重点的に取り組む「重点課題」から成り、リスク対応の基本的な考え方を維持しつつ、リスク環境の変化に柔軟・迅速に対応できるようにしています。また「重点課題」は社長が、重点対処リスクの低減に取り組む上での具体的な課題を組織に明示し、着実な実施を指示するものです。

2021年度 クラレグループリスク管理方針
【基本方針】
  • 社会の信任を裏切る違法、不適切な行為の防止を徹底する。
  • 社員・地域・顧客・協業先等の安全と健康を脅かす事故・災害(保安事故、労働災害、環境汚染、製品事故等)の防止を徹底する。
  • 事業・社会に深刻な影響を与える事象の発生時において、社会の信任、安全と健康を確保し、事業を継続または早期回復させるための対策に取り組む。この場合、社会の信任、安全と健康を、事業の継続または回復よりも優先する。
【重点課題】

上記方針および近年の社会情勢、当社・他社動向から以下を2021 年度の重点課題とする。

  • 保安事故の発生リスク低減のため、特に海外プラントについて安全設計のみならず人材育成を含む管理面(運転管理、設備管理)を総点検し、把握した課題に対し実効性の高い対策を確立する。
  • グローバルに統一したレベルの機密情報管理体制を整備し、データの保全対策を順次強化する。
  • 独占禁止法についてグローバルに構築した独禁法遵守プログラムを確実に運用し、再発防止を徹底する。
  • COVID-19の緊急対応を踏まえ感染予防策・感染拡大防止策等を徹底し、パンデミックに対応した事業継続を確実なものとする。

なお、2020年度の重点課題、およびその具体的な施策は以下の通りでした。

【2020年度重点課題】
  • 独占禁止法への違反リスクを、国内および海外の関連企業を含むグループ全体で入念に再点検し、再発防止を徹底する。
  • 保安事故の発生リスク低減のため、特に海外プラントの設備面およびソフト面を総点検し、改善・改良を図る。
  • 情報・データについて重要度に応じた分類と管理方法の明確化を図り、保全対策を強化する。
  • 品質保証システムの点検・改善を継続し、製品の信頼性を向上する。
【具体的な施策】
  • 実効性のあるグローバルな独占禁止法遵守体制を確立するため、全世界のクラレグループ各社を対象に、関連諸規定の整備、役員および従業員に対する教育・研修、事業毎のリスクアセスメント、入札参加事業の監査等、一連の諸施策を実施しました。
  • 海外化学プラントの保安防災リスクの把握と対策を推進するための推進チームを設置し、海外拠点のWeb監査等の活動を進めると共に、推進チームは3ヵ月毎に進捗状況確認会議を開催し、情報共有化や保安トラブルの水平展開検討を行いました。国内では、火災・爆発及び有害物漏洩について、個別リスク(設備老朽化、地震等)対応、新規設備投資リスク検討、非定常リスクアセスメント推進等により、リスクの低減・管理を図りました。
  • 機密情報管理指針となるマニュアル案の作成をしました。電子情報管理についてはグループ全体のITセキュリティレベルを一定水準に引き上げるため、グローバルのセキュリティポリシーを制定し、必要な追加強化策に着手しました。個人情報管理については、個人情報保護法および欧州GDPRへの基本対応を整え、運用体制整備を進めています。
  • 2019年度に実施した、全検査員との面談を通じて抽出した課題の改善活動に取り組み、改善を完了しました。また、検査数値の書き換えなどの不正や転記ミスなどのヒューマンエラーの防止を確実にするために、分析機器からのデータの自動保存や分析データの基幹システムとの連携を可能にするITシステム導入の検討を開始しています。

リスクマネジメント

クラレグループのリスク管理は、各事業部、本部、室、事業所、関連会社が自組織のリスクを特定し、自己評価して適切に対応するタテのリスク管理と、発生するとマイナスの影響のみを与える純粋リスク(例えば、自然災害、法令違反など)を担当する本社のスタッフ部署が評価を行い組織横断的な管理を行うヨコのリスク管理を行っています。これらのリスクの中からリスクが高く全社一体となってリスク低減に取り組むべきリスクを「リスク・コンプライアンス委員会」で協議・抽出し、社長が経営リスクとして特定し、取締役会に報告すると同時に、担当役員を責任者として指名します。経営リスクは前述の重点対処リスクと継続管理リスクに分類し、それぞれ適切な対策を進めます。2021年度の継続管理リスクは次のとおりです。

原材料に関わるリスク
  • 原料・機材の供給停止

当該リスクは、サプライヤーの事故・災害による供給停止の可能性を含め対策を実施しています。

製造物責任に関わるリスク
  • 品質リスク

品質リスクには、製品に含まれる化学物質の適切な管理を含めた対策を行っています。

事故・災害に関わるリスク
  • 化学物質規制
  • 自然災害

自然災害リスクでは、気候変動がもたらす異常気象や激甚災害へのリスク評価および対策を強化しています。

法規制・コンプライアンスに関わるリスク
  • コンプライアンス
  • 贈収賄

贈収賄について世界各国での規制の厳格化や当社グループの事業拠点の拡大に伴い、防止体制の強化が必要となっています。2015年に制定した「クラレグループグローバル贈収賄防止ポリシー」に沿って対策を進めています。

知的財産に関わるリスク
  • 知的財産権侵害

当該リスクは、当社グループの知的財産権を侵害される場合と当社グループが他社の知的財産を侵害する場合の両方についてリスク評価および対策を実施しています。

コンプライアンス

グループのコンプライアンス

クラレグループは、多様な社会との接点において遵守すべき事項を「私たちの誓約」として、またこれを企業活動の中で具体的に実践するためのガイドラインを「行動規範」として定めています。そして、法令および「私たちの誓約」を厳守することを経営トップが宣言しています。これを世界中のクラレグループ社員に周知するため、トップ宣言を明記し、「行動規範」をわかりやすく解説したコンプライアンス・ハンドブックを作成し、国内外のグループ社員全員に配布しています。
ウェブ参照

また、クラレ各地域拠点およびグループ各社にコンプライアンス統括者を選任するとともに、地域別にコンプライアンス委員会を設けています。2019年度からは地域別コンプライアンス委員会とリスク・コンプライアンス委員会の活動時期を連動させ、グループ全体のコンプライアンス意識の向上を目指しています。

内部通報制度

クラレグループでは、コンプライアンス違反を防止、または早期に発見・解決するための内部通報制度として、国内クラレグループ全社員(契約社員、派遣社員、パート社員を含む)を対象に「クラレグループ社員相談室」を設置しています。
 これに加えて、急速なグローバル化の進展に対応し、グローバル・コンプライアンスホットラインを設置し、全世界のすべてのグループ社員が利用できるようにしています。
 相談・通報は汚職や腐敗を含む取引全般に関わるもの、社内ルール違反、人権の尊重やハラスメントなど人事関係のものなどコンプライアンス全般を受け付けます。
 また、「クラレグループ社員相談室運用規定」および「クラレグループ グローバル コンプライアンス・ホットライン規定」で、相談・通報は匿名を可とし、相談・通報者が不利益な取り扱いを受けない通報者保護を定め実践しています。

コンプライアンス徹底の取り組み

独禁法遵守に向けた取り組み

近年の二度にわたる独占禁止法違反を厳粛かつ真摯に受け止め、独占禁止法の遵守を経営の最重要課題の一つとして、再発防止に向けた諸施策に全力で取り組み、クラレグループ全体としての遵守プログラムの整備・強化を進めています。
 2020年度には、実効性のあるグローバルな独占禁止法遵守体制を確立するため、全世界のクラレグループ各社を対象に、関連諸規定の整備、役員および従業員に対する教育・研修、事業毎のリスクアセスメント、入札参加事業の監査等を実施しました。2021年度以降についても、クラレグループ全体として独占禁止法遵守プログラムを確実に運用し、リスクの高い事業・分野における遵守体制のモニタリングを徹底していきます。

【2020年度の重点施策の実施状況】

  • 独占禁止法遵守に関する諸規定の整備・改訂
  • 各事業における独占禁止法リスクの評価
  • 事業者団体等における独占禁止法リスクの評価
  • 入札参加事業の年度監査
  • 役員に対する研修の実施
  • 販売等に従事する従業員に対する講習会の実施
  • 講習会受講者に対し社内リニエンシーの実施、独禁法遵守に関する誓約書の取得
  • 独占禁止法を含む不正発生リスク防止のため、特定部署を対象に管理職ローテーション制度を拡大(日本国内のみ)

贈賄防止に向けた取り組み

贈賄防止体制の整備及び強化はクラレグループ全体で取り組むべき継続的な課題であり、経営リスクの一つと認識しています。当社は、贈収賄の防止/献金・寄付の取り扱いに関する行動指針を「クラレグループ行動規範」において内外に示し、贈賄防止に関する基本方針を「クラレグループグローバル贈収賄防止ポリシー」において定めています。これらの基本方針に則り、クラレグループ各社において関連諸規定の整備、役員および従業員に対する教育・研修、代理店等を通じて行われる贈賄リスクの評価・管理など贈賄防止体制の整備・運用に注力しています。
 当社は、「国連グローバル・コンパクトの10原則」に署名し、引き続き腐敗防止活動の一層の強化に取り組んでいきます。

コンプライアンスセミナー

2017年度より国内グループの全社員(契約社員、派遣社員、パート社員を含む)を対象としたコンプライアンス部署教育を年1回実施し、部署内のコミュニケーション・風通しの向上を目指しています。2020年は国内グループ会社の管理職層を対象に、新型コロナ感染症拡大の中、ウェブ開催となりましたが、「なぜコンプライアンス醸成が必要か」を外部講師との対話を通じて学び、参加者が自分の言葉で部下に語れるレベルを目指してセミナーを開催しました。セミナー後半のグループディスカッションでは、「コロナ後の新しいリスク」「情報セキュリティ」「ハラスメント」の中から関心の高いテーマを選び、参加者同士で活発な議論を行いました。その後、参加者はセミナーで得た知識や気付きを部署に持ち帰り、対話型の部署教育を行うことで、部署のコンプライアンス意識の浸透とコミュニケーションの向上を目指しました。