トップステートメント

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代表取締役社長 川原 仁

代表取締役社長
川原 仁

サステナビリティ経営の推進による持続的成長

持続可能な社会の実現に向けて企業の果たすべき役割は日増しに強まっています。クラレグループは「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という使命に則り、自然環境や生活環境の向上に貢献する事業を展開して来ましたが、今日、改めて世の中が直面している課題に対し具体的な解決策を提示し実行できるのかが問われています。
 世の中が直面する課題としてクローズアップされているものに気候変動対策があります。昨年の日本に続き、米国も政権交代するやいなやパリ協定に復帰し、2050年のカーボンニュートラルを公言したことで世界の足並みが揃いつつあります。また新型コロナ感染症拡大による景気低迷への刺激策として世界の国々や地域がグリーンリカバリーを掲げ、脱炭素化の施策を次々と打ち出しています。 こうした中、クラレグループは長期的な環境変化を見据えた上で、次期中期経営計画期間中だけでなく、その先に何をすべきか、前述のグローバルメンバーで構成した「サステナビリティワークショップ」を中心に議論を進めています。国や地域で政策や規制が異なりそのスピード感も違う環境にあり、また職務内容も異なるメンバーの多様な経験や視点から生まれるアイデアの中から、クラレらしい取り組みを選択し中期経営計画の具体的な施策に反映して行こうと考えています。
 気候変動に対する施策は、リスクと機会の両面に着目し、自社での温室効果ガス排出量の削減と、削減に貢献する製品や事業の拡大を両輪に検討を進めます。これまでも環境に優しいプロセスにより自らの生産活動において環境負荷を低減するだけでなく、顧客での製造過程や、顧客の製品が最終製品として流通・使用される段階での環境負荷低減に貢献して参りましたが、次期中期経営計画ではこれらについてより踏み込んだ定量目標を策定し、その実現に挑戦していきます。温室効果ガス排出量の削減に貢献する製品や事業の拡大については、2019年度に国内外の全事業部長が参画し改定したマテリアリティ(社会が解決を望む課題のうち、自社に関わる重要課題のこと)を軸に事業計画および開発計画を策定すべく準備を進めています。
 これらの取り組みはクラレグループだけで実現できるものではありません。サプライチェーンを通じて取引先やユーザーと力を合わせて循環型経済(サーキュラーエコノミー)に資する事業活動を目指すことが、気候変動対策のみならず、マイクロプラスチックス・海洋プラスチックス問題の解決にも繋がります。このように次期中期経営計画では化学メーカーが直面する課題を総合的に捉え、解決策の立案と実行を進めます。
 なお、当社は2020年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しました。今後、TCFD提言が推奨するガバナンス、シナリオ分析に基づく戦略、リスク管理、指標と目標の開示を順次充実していきます。2021年度は関連部署でTCFD推進チームを立ち上げ、気候関連リスクの重要性評価と主要な事業の気候関連リスクと機会の評価に取り組みます。

クラレグループには全世界に11,000名を超える社員がいます。グループが持続的な成長を目指す上で、社員の英知を結集し、新しいイノベーションを起こすことが不可欠です。様々な国籍・背景を持つ多様な人材がそのポテンシャルを最大限に発揮できるよう、2020年度にはクラレグループのグローバル人事ポリシーを改定しました。次期中期経営計画では、クラレグループの持続的な成長を支える人材を、中長期戦略に基づき確保・育成できるグローバルな体制を構築します。コロナ禍で働き方も大きく変わりました。新しい働き方で出来ること出来ないことを見極めた上で、そのメリットを生かし、かつ成果が正しく評価される仕組みを整備し、生産性と働きやすさの両立を目指します。安心・安全な職場、且つ、活力と創造力のみなぎる企業体に集うクラレグループの全社員が、持続可能な社会の実現に貢献できるよう全力で取り組んでまいります。

2018年5月のKuraray America. Inc.のエバール工場において発生した火災事故ではステークホルダーの皆さまに多大なご心配をおかけしております。二度とこのような事故をおこさないため、「安全はすべての礎」を肝に銘じ、2019年度より本社主導で海外主要化学プラントの安全監査を実施し、安全対策の見直し・強化を図っています。2020年度は引き続き欧州2工場、米国2工場の安全監査を実施し、2019年度に抽出された課題の改善状況の確認とともに、新たな課題を抽出しました。2021年度も課題への対処とともに、プラントにおける安全に関する設備面の強化、および管理システムやマニュアル見直し・改善、社員教育の充実などソフト面の強化に取り組んでまいります。
 また当社は、過去の独占禁止法違反を受け、独占禁止法の遵守を経営の最重要課題の一つとして、再発防止に向けた諸施策に全力で取り組んできました。2020年度には実効性のあるグローバルな独占禁止法遵守体制を確立するため、全世界のクラレグループ各社を対象に、関連諸規定の整備、役員および従業員に対する教育・研修、事業毎のリスクアセスメント、入札参加事業の監査等を実施しました。2021年度以降につきましても、クラレグループ全体として独占禁止法遵守プログラムを確実に運用し、独占禁止法遵守の徹底に取り組みます。加えて、全社員のコンプラインス意識の向上により、安心な職場を築いてまいります。

クラレグループは「独自の技術に新たな要素を取り込み」、社会課題や環境問題の解決を通して社会との価値共創を図り、世の中から愛され、必要とされる「かけがえのない企業グループ」であり続けることを目指していきます。

川原 仁