文化(健康経営、D&I、多様な働き方)
健康経営
・健康経営宣言
私たちは「クラレグループグローバル人事ポリシー」に基づき、以下のとおり宣言します。
クラレグループ健康経営宣言(2025年3月制定)
「クラレグループは企業ミッション “世のため人のため、他人のやれないことをやる”の実現に挑戦し続けます。そのために、従業員一人ひとりの健康の維持・向上を支援し、活力があり働きがいのある職場づくりに取り組んでまいります。」
代表取締役社長 川原仁
・健康経営推進体制
社員の健康の維持・向上のための具体的施策は、健康職場推進グループ、各事業所の人事・保健スタッフが中心となって立案・推進します。毎年、各事業所の実施結果を踏まえて議論を行い、翌年の重点課題の設定を行っています。また、社員の健康課題に関する取り組みの方向性や、エンゲージメントサーベイ、ストレスチェックなど各種サーベイの結果については、経営メンバーの出席する「人事委員会」にて随時報告し、議論を行っています。
さらに会社外の組織との連携として、健康保険組合とコラボヘルス保健事業を協働で運営し、労働組合と安全衛生委員会等を通じて職場環境・衛生施策に関する意見交換を行うなどして、取り組みをより効果的なものにすることを目指しています。
なお、クラレグループではグループ全体として健康経営を通じて目指したい姿を共有しており、グループ会社は各社の状況に応じた施策を実施するとともに、各種セミナーや健康づくりイベントではクラレと合同実施するなど、相互に施策の充実を図っています。
・戦略マップ
「健康経営宣言」で掲げる姿を実現するための取り組みやパフォーマンス指標(KPI)を、戦略マップとして整理しています。
クラレでは健康経営を実現する上で、働きがいのある職場、こころの健康、からだの健康の3つの側面から取り組むことが必要であると考え、それぞれに施策を実施しています。
健康経営のKPIの実績
2022 | 2023 | 2024 | |
エンゲージメントサーベイスコア | 57.0 | 60.0 | 60.0 |
---|---|---|---|
病休率※1 | 1.01% | 1.11% | 1.51% |
パフォーマンス発揮度※2 | 64.9% | 64.7% | 64.8% |
- ※1:いわゆる「アブセンティーイズム」を指し、病気を理由とした休業日数(年次有給休暇含む)/1年間の延労働日数で算出しています。
- ※2:MAXの状態(100)から、プレゼンティーイズム(体調不良等によってパフォーマンスが発揮できていないと自覚される割合)を差し引いて算定しています。プレゼンティーイズムはWHO-HPQ方式を使用して算出しています。
【働きがいのある職場】
- 自律的なキャリア形成の支援
- ダイバーシティ&インクルージョンの推進
- 働き方の改革
- ハラスメントへの取り組み
健全で活力ある職場環境を作るため、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントなどの各種ハラスメント防止の取り組みを行っています。具体的には、ストレスチェック結果等での実態把握、契約社員を含めた全社員を対象としたハラスメント研修の実施、多様な相談窓口の用意、社内窓口担当者の教育などを継続的に行っています。
【こころの健康】
メンタル不調の低減のためには、働きがいのある職場づくりと合わせて、予防や早期対応による重症化を防ぐ仕組みが重要だと考えています。そのため、4つのケアとして、事業所ごとに実施するセルフケア研修とラインケア研修(管理者向け)、ストレスチェックにおける高ストレス者と保健スタッフの面談、外部相談窓口の案内などを行っています。また、休職者の職場復帰のためのリハビリ勤務制度を整備し、人事、保健スタッフ、所属長が協力しながら、スムーズな復職に向けたサポートを行っています。
【からだの健康】
個別の健康指導や、健康づくり運動の推進などで、社員の健康意識向上を図っています。2024年に取り組んだ重点施策は次のとおりです。
- ① メタボリックシンドローム対策:社員が自主的に生活習慣改善に取り組む「ヘルスアップ作戦」を全社的に展開し、運動目標設定を必須とするとともに、特定保健指導での個別対策なども実施しました。また、改善が必要な社員を早期に把握するため、法律を上回る内容での健康診断を実施しました。
- ② 禁煙活動の推進:禁煙タイムの導入、喫煙場所の制限、セミナー実施など、各事業所の実態に応じた形で施策を実施しました。
- ③ 睡眠改善対策:睡眠不足や睡眠障害は生活の質や生産性に大きく影響を及ぼすことから、睡眠改善への取り組みとして、まずはセミナー等を通じた情報提供を開始しました。(目標:睡眠で休養を取れていないという自覚症状がある人の割合を15%未満とする)
- ④ 飲酒習慣改善対策:多量飲酒は心身の問題を招くおそれがあることから、2024年より飲酒習慣改善の取り組みとして、リーフレット配付やセミナー実施を通じた社員への啓蒙、対象者との個別面談を開始しました。
・社外からの認定について
クラレは2022年より継続して「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。また、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格の認証取得について、Kuraray Europe GmbH,のTroisdorf siteおよびChemviron Italia S.r.l.のLegnago siteでは、ISO45001の認証を取得しています。
ダイバーシティとインクルージョン
中期経営計画「PASSION 2026」においては、ダイバーシティとインクルージョンの目的地を「多様な社員一人ひとりが生き生きと働き、失敗を恐れずに挑戦することで変化に対応しながらイノベーションを次々生み出し、成長を続けている会社」と定めました。多様な人材がそれぞれの能力を最大限に活かし、自分と会社の成長に繋げていくために、クラレグループではさまざまな制度を整備し、意識変容を促進しています。
・ダイバーシティとインクルージョン基本原則の策定
2021年にグローバル共通の「ダイバーシティとインクルージョンに関する基本方針」を策定しました。クラレグループにおける「平等」「ダイバーシティとインクルージョン」や防ぐべき「差別」を定義し、活力ある職場・文化にするための会社・人事・社員の役割を示しており、今後はこの原則の浸透と多様性推進のための具体的アクションを実施していきます。
・エンゲージメントサーベイ
クラレグループでは、従来グループ会社個別に行っていたサーベイを統一し、2022年からグローバルエンゲージメントサーベイ「Our Voice」を毎年1回実施しています。エンゲージメントを「社員と会社の方向性が共鳴し、互いに貢献したいと思える関係」と捉え、会社の信条の浸透、上司や経営陣への信頼、仕事のやりがいなどの状況を確認しています。結果は経営層や所属長を含む全社員に共有し、部署運営やより良いコミュニケーションに生かすことでエンゲージメントの向上と組織の活性化を図ります。
・女性活躍推進のための取り組み
多様な人材が協働することが新しいアイディアやイノベーションの創出に繋がるという考えから、例えば国内においては事業所勤務の女性社員同士の交流会や女性ならではの悩みや疑問を気軽にディスカッションできるコミュニティづくりなど女性社員が活躍できる環境づくりに取り組んでいます。その基盤づくりとして新卒採用における女性の割合を職場環境の多様性の進捗を測る指標としています。
指標 | 目標 | 2024年度実績 |
新卒採用に占める女性の割合 a) 総合職 b) 一般職 |
35%以上/年(2026年度まで) 10%以上/年(2026年度まで) |
22% 13% |
・LGBTへの取り組み
クラレグループではダイバーシティとインクルージョン基本原則において、性的指向によるあらゆる人事的差別を行なわず、互いに協力し合う職場環境をつくることを宣言しています。この実現に向けて、当事者への適切な対応や働きやすい職場づくりを学ぶ人事部担当者向けのセミナーの実施、ハラスメント研修の中で性的指向による差別や嫌がらせの禁止の呼びかけなどを行っています。
勤務制度の多様化と働き方改革の取り組み
クラレでは社員一人ひとりが、仕事と生活の両立をしながら健康でいきいきと働き、成果を発揮できるような職場環境構築のため、勤務制度の多様化と働き方改革を推進しています。
・柔軟な働き方
生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、2018年に在宅勤務制度、2019年にフレックスタイム制度、2020年に時間単位年休制度を導入しました。2023年は、制度利用対象者の拡充や、条件付きでコアタイムに勤務しないことができるコアレス勤務の導入等、利便性を向上させるための制度改定を実施しました。
また、兼業承認の取り扱い運用を見直し、兼業を希望する社員が一定のルールに基づき本業以外にも挑戦できる制度としました。
・適正な労働時間管理
勤務管理システムの基盤整備を進め、日々の労働時間を正確に申請するとともに、管理職を含むパソコンを持つ全社員のパソコン稼働時間との乖離を把握し、適正な労働時間管理に活用しています。これによって、一定時間以上の時間外勤務が発生した部署は、対象者への産業医面談等の健康面からの対応の他、「労働時間改善計画書」にて長時間労働の改善策を作成し時間外労働の削減を図ることとしています。
・長時間労働削減への取り組み
前日の終業から翌日の始業まで一定の時間以上空ける勤務間インターバルガイドラインを制定(インターバルは10時間以上)し、運用しています。
今後は、育児介護休業法の改正(男性の育児休職取得)等による社員のワーク・ライフ・バランスへの配慮の結果、一部で人手不足が生じる可能性があるため、必要な人員対応を行っていきます。
また、各部署における適正人員を算出することで、適切な労働時間の中で、職場を安定稼働できるよう人員を確保するとともに、人材育成や退職者予定者からの技術継承に十分な時間確保ができる体制を構築できるよう進めていきます。
・有給休暇の取得率向上
年次有給休暇は取得率80%以上を目標に取得率向上を進めてきた結果、2024年の取得率は約85%でした。2025年以降も継続して取得率の維持・向上を図ります。
・育児・介護休職制度の整備
社員の育児・介護をサポートする制度を導入しています。育児休職は、保育園入園時期を考慮し、子どもが1歳を超えても休職が必要と認められる場合は、子が2歳に達する日まで取得できます。また、男性の育児参加を促進するため、男性の育児休職取得を推進しています。2024年には男性の育児休業取得に関する数値目標を新たに設定し、さらなる取得を目指します。仕事と介護の両立支援については、介護休職制度の整備の他、介護に関する基礎知識の提供を行うなどしています。
指標 | 目標 | 2024年度実績 |
男性の育児休業取得に関する指標 a) 育児休業取得率 b) 14日以上取得者の割合※ |
100%(2026年度) 90%(2026年度) |
94% 63% |
- ※ 男性の育児休業取得者のうち当該年度の育児休業取得日数合計が14日以上のものの割合。
2022 | 2023 | 2024 | |
育児 | 83名 | 126名 | 174名 |
(うち男性) | 73名 | 115名 | 147名 |
介護 | 3名 | 6名 | 4名 |
・配偶者海外転勤同行休職制度
配偶者の海外勤務等に同行する社員に対し、休職制度を適用し、配偶者の海外勤務等が終了した後に、クラレグループへの復職を可能とする制度を制定し運用しています。
・カムバック採用制度
家庭事情等により退職し、改めてクラレでの就業を希望される方に対する「介護休職満了者再雇用制度」「家庭事情による退職者の再雇用制度」に加え、2019年より新たに「クラレ・アルムナイ・ネットワーク」等を通じた「カムバック採用制度」の運用を開始しました。クラレで培ったキャリアにクラレ外での経験を加えて再度クラレで活躍していただけるよう、広く門戸を広げています。
・グローバルでの取り組み
海外拠点でも、各国の法律に基づき、勤務時間管理やプライベート時間の確保を大切にする取り組みが行われています。また、地域をまたぐ国際的な協働が増える中、会議のコアタイムゾーンの設定等を定めた「クラレグループ- 海外とのリモート会議ガイドライン」を2022年に制定しました。