リスクマネジメント
リスクマネジメント・コンプライアンス推進体制
クラレは「リスク・コンプライアンス委員会」を中心にグループとしてのリスクを定期的にモニタリングし、経営に影響を及ぼす重大リスクを抽出しています。この重大リスクを社長に提案、社長が重要なものを経営リスクとして特定し、取締役会を経て重点対策を実施しています。「リスク・コンプライアンス委員会」は経営リスクに対する重点対策、ならびに法令遵守・企業倫理の徹底・公正な企業活動の実践を実現すべく活動を行っています。
リスク管理方針
社長が各組織に示達するクラレグループのリスク管理方針は、グループのリスク管理全体に渡る長期的・継続的な「基本方針」と、グループにおけるリスク分析結果および近年の社会環境・情勢を踏まえ、当該年度に重点的に取り組む「重点課題」から成り、リスク対応の基本的な考え方を維持しつつ、リスク環境の変化に柔軟・迅速に対応できるようにしています。「重点課題」は、社長が重点対処リスクの低減に取り組む上での具体的な課題を組織に明示し、着実な対策の実施を指示するものです。
2025年度 クラレグループリスク管理方針
- 【基本方針】
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- 社会の信任を裏切る違法、不適切な行為の防止を徹底する。
- 社員・地域・顧客・協業先等の安全と健康を脅かす事故・災害(保安事故、労働災害、環境汚染、製品事故等)の防止を徹底する。
- 事業・社会に深刻な影響を与える事象の発生時において、社会の信任を得ることを最優先し、社員・地域・顧客・協業先等の安全と健康を確保した上で、事業を継続または早期回復させるための対策に取り組む。
- 【重点課題】
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上記方針および近年の社会情勢、当社・他社動向から以下を2025年度の重点課題とする。
- 機密情報漏洩・破壊リスク低減のため、グローバルで統一した情報セキュリティシステムを導入するとともに、機密情報管理ルールの徹底と運用状況のモニタリング結果に基づく改善策の着実な実行により、機密情報管理レベルの向上を図る。
- 保安事故の発生リスク低減を目指し、全世界のプラントにおいて運転・設備管理の強化策を継続して実施する。組織横断的メンバーで構成するグローバルPSM(プロセス・セーフティ・マネジメント)監査チームの現地監査により保安管理上の課題を客観的に抽出し、その改善を支援するとともに、発見された課題についてグローバルに水平展開を実施しグループ全体の保安事故発生リスクの低減を図る。
- 原燃料の調達リスクに対するリスク回避・低減対策を、サプライチェーン上流の最新動向を踏まえて修正し、各事業のBCP(事業継続計画)上優先度の高い製品にかかる原燃料から着実に実行する。
なお、2024年度の重点課題、およびその具体的な施策は以下のとおりでした。
- 【2024年度重点課題】
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- グループ全体での情報セキュリティの更なる強化ならびに機密情報管理ルールの周知徹底および運用状況のモニタリング実施により、機密情報管理レベルの向上を図る。
- 保安事故の発生リスク低減のため、海外プラントにおける運転・設備管理に対する強化策を引き続き実施するとともに、グローバルPSM(プロセス・セーフティ・マネジメント)監査チームによる海外関係各社の現地監査を通じ、各社の保安管理体制上の課題も踏まえた具体的課題を客観的に抽出し、その改善を推進する。
- 原燃料・副資材・機材の調達リスクに対し、サプライチェーン視点で汎用品を含む全物品を対象に実施した再点検結果に基づき、各事業のBCP(事業継続計画)上優先度の高い製品にかかる物品から、策定したリスク回避・低減対策を着実に実施し、BCPの精度・実効性の向上を図る。
- 【具体的な施策】
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- 機密情報管理の継続的強化を図るため、2024年1月に機密情報管理チームを恒常的組織に改組しました。2023年より導入を開始した安全性の高いデータ保管システムの運用の定着と利用機能の拡大を進めるとともに、大量ダウンロード検知システム、大量ダウンロード自動停止システムの運用をそれぞれ開始しました。
- 2019年から開始した海外化学プラントに対する当該カンパニー・事業部によるこれまでの安全監査等に加えて、2022 年からはグローバルな社内専門家で編成した PSM 監査チームの活動を立ち上げ、海外保安リスクの把握と対策を推進しています。2024年は、PSM監査チームが3生産拠点の現地監査を行い課題把握と改善推奨を行いました。
- 2023年度に引き続き、各事業の優先生産銘柄および原料等供給停止リスクの分析結果を踏まえ、優先度の高い原料等から順次リスク低減策の策定・実施を進めました。原料等供給停止リスクの分析においては、サプライチェーン上流の動向に変化が生じたことから最新動向を踏まえ分析結果を修正しました。
リスクマネジメント
クラレグループのリスク管理は、各事業部、本部、室、事業所、関連会社が自組織のリスクを特定し、自己評価して適切に対応するタテのリスク管理と、発生するとマイナスの影響のみを与える純粋リスク(例えば、自然災害、法令違反など)を担当する本社のコーポレート組織が組織横断的にリスク評価を行うヨコのリスク管理を行っています。気候変動に伴うリスクへの適応策についても、災害対策・事業継続性の観点で各組織が毎年リスク自己評価を実施した結果を、リスク・コンプライアンス委員会で討議しています。これらの中からリスクが高く全社一体となってその低減に取り組むべきものをリスク・コンプライアンス委員会で協議・抽出し、社長が経営リスクとして特定し、取締役会に報告すると同時に、担当役員を統括責任者として指名します。2025年の経営リスクは重点対処リスク3件と要観察リスク9件に分類しました。2025年の重点対処リスクは「機密情報漏洩/破壊」、「保安事故」、「原燃料供給停止」とし、要観察リスクは「製造物の品質リスク」、「化学物質規制」、「⾃然災害」、「地政学リスク」、「贈収賄」、「独占禁⽌法違反」、「知的財産リスク」、「ハラスメント」および「⼈権尊重」として、それぞれ適切な対策を進めます。