製品のはてな?

<LIR>(液状ポリイソプレンゴム)

<LIR>ってどんなところに使われているの?

少量を添加するだけで硬いゴムを加工しやすくするという液状ポリイソプレンゴム<LIR>。私たちの身の回りではどんなところに使われているのでしょうか?

天然ゴムをやわらかく、混ぜやすくする

Q この写真を見ると水あめみたいですね。
A

<LIR>は硬いゴムを練るときに加工しやすくする可塑剤として機能します。小麦粉とバターを混ぜるとき、卵や牛乳などを入れるとなめらかになりますよね。<LIR>が材料のつなぎの役割をするのです。特に<LIR>は天然ゴムの主成分であるポリイソプレンの分子構造と似ているため、天然ゴムとの相性がいいのです。

液状ポリイソプレンゴム<LIR>
天然ゴムの分子構造
<LIR>の構造
Q どんな用途に使われていますか?
A

<LIR>の用途のうち約60%が自動車タイヤに使われています。タイヤは主に天然ゴムを原料とし、これにカーボンブラックと呼ばれる炭の粉を混ぜていますが、これらを均一に混ぜ合わせるために<LIR>を可塑剤に使っています。ちなみに、タイヤが黒色をしているのは、このカーボンブラックが分散しているからなんですよ。

自動車タイヤの安全にも貢献

Q <LIR>ならではの特長は?
A
加硫によってイソプレン分子に橋架けができる

材料を均一に混ぜ合わせるだけであれば、一般のオイルにも同じ特長が言えます。<LIR>の優位性は、加硫ができるという点にあります。加硫は硫黄などを加えて熱をかけて行います。天然ゴムを加硫すると、右のイラストのように天然ゴムのポリイソプレン分子にところどころ橋架けができます。この橋架けが分子と分子のつながりを強くします。

Q つながりが強いとどうしていいの?
A

例えば自動車のタイヤは道路と接するので、摩擦や衝撃に強くなければなりません。そのためには材料が均一に混ざっていることはもちろん、可塑剤自体も材料と一体化した方が好ましいのです。もし加硫できない可塑剤なら、摩擦による熱で可塑剤が染み出し、タイヤの性能を悪化させることもあり得ます。人の命をあずかる自動車のタイヤですから、可塑剤ひとつにも高い性能が求められるのです。

ナノテクノロジーの分野でも応用

Q 今後の展望は?
A

自動車タイヤの市場は大きく、これからも成長が期待できます。また、<LIR>を使った接着剤用途は、人体に影響をおよぼす危険性のある有機溶剤を含む接着剤に替わって、今後需要が高まると考えています。さらに<LIR>はタイヤ以外の用途でも、材料の形状を自在に変化させる機能性可塑剤として応用できる可能性が十分にあり、環境対応商品や細かい分散を必要とするナノテクノロジーなどの新しい分野に応用できればと考えています。