汎用性に優れた
機能性樹脂

樹脂・フィルム酢酸ビニル系

＜クラレポバール>／<エルバノール＞

一般名称: ポリビニルアルコール(樹脂)

販売形態: 顆粒状／微粉状

使用例

ポリビニルアルコール（PVA）は、クラレが世界で初めて事業化した機能性樹脂で、クラレグループの中核製品の一つです。日本・ドイツ・シンガポール・アメリカと世界4極の生産体制をもち、世界トップシェアを誇っています。

水溶性、造膜性、接着性、乳化性、耐油性、耐薬品性などの特性をもち、紙加工剤、接着剤、塩ビ重合安定剤をはじめ、自動車のフロントガラス用中間膜原料などの幅広い用途で使用されています。汎用銘柄のほか、さまざまな特性を付与した高機能ポリマーも取りそろえています。

用途

繊維用加工（糊）剤

紙加工剤

エマルジョン重合用安定剤

接着剤

PVB樹脂原料

塩化ビニル重合安定剤

特徴

溶解性

水に溶解します。溶解速度は水温が高いほど早くなります。耐油性は極めて高く、ほとんどの有機溶剤には溶けません。ただし、グリコール類、DMSO、フェノール等の限られた有機溶剤には溶解します。

耐酸。アルカリ性

酸やアルカリに対して弱条件下ではほとんど作用を受けません。

熱安定性

融点と熱分解開始温度が近接しており、180℃以上の温度で徐々に分解していきます。

造膜性

糸や膜になり易く、その引張強度や引裂強度、摩擦強度等の物理的性質は、他の合成樹脂に比較して優れています。

吸湿性

他の水溶性高分子より吸湿性が低く、湿度に伴う変化も比較的軽微です。

代表銘柄と物性

【クラレポバール一般銘柄】

分類	銘柄	揮発分　％	酢酸ナトリウム　％	けん化度　mol％	粘度 (4％,20℃) mPa・s	純分　％
完全けん化	3-98	5.0以下	1.5以下	98.0～99.0	3.2～3.8	94.0以上
	5-98	5.0以下	1.5以下	98.0～99.0	5.2～6.0	94.0以上
	28-98	5.0以下	1.0以下	98.0～99.0	25.0～31.0	94.0以上
	60-98	5.0以下	1.0以下	98.0～99.0	54.0～66.0	94.0以上
中間けん化	27-96	5.0以下	1.0以下	95.5～96.5	24.0～30.0	94.0以上
部分けん化（けん化度；88）	3-88	5.0以下	1.0以下	87.0～89.0	3.2～3.6	94.0以上
	5-88	5.0以下	1.0以下	86.5～89.0	4.6～5.4	94.0以上
	22-88	5.0以下	1.0以下	87.0～89.0	20.5～24.5	94.0以上
	44-88	5.0以下	1.0以下	87.0～89.0	40.0～48.0	94.0以上
	95-88	5.0以下	1.0以下	87.0～89.0	80.0～110.0	94.0以上
部分けん化（けん化度；80）	48-80	5.0以下	0.5以下	78.5～80.5	45.0～51.0	―
部分けん化（L銘柄）	L-10	5.0以下	―	71.5～73.5	5.0～7.0	96.0以上

【クラレポバール変性銘柄】

分類	特徴	代表銘柄
K　シリーズ	高い水溶性と反応性が特徴です。紙加工剤や、接着剤、水溶性フイルムなど幅広い用途に使用されます。	25-88KL
SDシリーズ	低粘度と高い分散性が特徴です。感熱紙用の分散剤に使用されます。	3-86SD
LMシリーズ	けん化度の低さと、高い界面活性能が特徴です。塩ビ重合の二次分散剤として使用されます。	LM-20 LM-10HD
KXシリーズ	非常に高い粘度が特徴です。エマルジョン用の安定剤、接着剤、経糸糊剤に使用されます。	105-88KX 200-88KX

*詳細や他の銘柄につきましてはクラレポバールホームページを併せてご参照ください。

【エルバノール】

分類	銘柄	揮発分　％	灰分　％	けん化度　mol％	粘度 (4％,20℃) mPa・s	pH
エルバノール	71-30	5.0以下	0.7% 以下	99.5	27.0 - 33.0	5.0 - 7.0
	90-50	5.0以下	0.7% 以下	99.5	11.6 - 15.4	5.0 - 7.0
	T-25	5.0以下	0.7% 以下	99.5	24.0 - 32.0	5.0 - 7.0
	T-66	5.0以下	0.7% 以下	99.5	11.6 - 15.4	5.0 - 7.0