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株式会社クラレ

当社は、4月1日に新型コロナウイルス感染防止対策としてオンライン形式で入社式を行いました。
入社式での当社代表取締役社長川原仁による新入社員向けメッセージをお知らせします。

 皆さん、入社おめでとうございます。
 本日、希望と意欲に満ち溢れた皆さんをクラレグループに迎えることができて、たいへん嬉しく思います。
 私自身も今年の1月1日付で社長になりましたので、社長一年目として皆さんと同様のスタートを切ったことになります。今日の良き日を記念して、クラレグループを代表して挨拶を申し上げます。

 まず始めに、当社の創業者である大原孫三郎は「社会から得た利益は、社会に還元する」という基本理念から、会社の経営基盤を固めつつ、様々な社会福祉活動や公共的な事業を行いました。第2代社長である大原總一郎もこれを受け継いで「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という理念を掲げ、それを実現するためには、独自の卓越した技術をもってして社会に貢献しなければならない、という信念を貫いて様々な困難を乗り越えて会社を発展させました。
 私は、創業から100年近くの時を経た現在においても、創業者の精神と理念がしっかりと根付いており、それがなお色褪せずに受け継がれている会社は、そう多くは無いと考えます。昨今、世界の潮流として企業の社会的責任や、社会貢献への姿勢が問われていますが、当社には長きにわたってそれを体現してきた歴史があります。言葉や口先だけでなく、実績としてそれを積み上げてきた真の強みです
 これからはクラレグループの一員として、共にこの素晴らしい企業資産を引継ぎ、益々発展させるという目標に向かって一緒に考え、協力して進みましょう。

 さて、会社に入り、まず一番大事なことは、良い身体の状態を保つこと、健康であることです。これは皆さん自身が幸せな生活を送り、働き甲斐を感じて質の高い仕事をすることにつながる、基本中の基本です。バランスの良い食事を心掛けること、十分な睡眠と休息をとること、適度な運動を続けること、心のリフレッシュを意識することなどが大切です。体調がすぐれないと仕事で集中力を欠いてしまう、能率が上がらない、事故を起こしやすい、といったことにも繋がります。常日頃から健康管理には十分に留意するようにしてください。

 次に、皆さんは社会人として、それぞれが立派なひとりの大人であることを常に心掛けて欲しいと思います。社会の一員として基本となる倫理観、道徳心、自立性などは当然身に付けなければなりませんが、その上で個人としての人格を確立して欲しいと思います。毎日心掛けていれば、何年かの積み重ねで必ず自分の「芯」がしっかりと形成されていきます。ある程度の変遷を経ながらも、社会や人生に対する自分の「価値観」が定まってくるでしょう。自分の「価値観」が定まってくると、それが自らの考え方や行動への自信にも繋がり、ひいては組織やチームの中でリーダーシップを発揮する能力も醸成されます。立派な社会人であり、かつ、立派なクラレパーソンであることを心掛けてください。

 これから皆さんが社会人生活を送る上で、仕事に取り組む際の心構えについて、3点お話しします。

分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く

 1つ目は「分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く」ということです。初めて取り組む仕事に対して最初から分かった振りをせず、恥ずかしがらずに謙虚に教えを請うという姿勢が大切です。私自身の経験からしても、入社して最初は「何を知らないのかさえ、分からない」状態だったと思います。会社の仕組みや仕事の全体像、背景が分からないので、「何と何を知らないのか、さえも分からない」のですから、とにかく分かるまで聞く事です。そして勿論、聞いて教わったことはしっかり覚える努力をして下さい。

与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす

 2つ目は「与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす」ということです。実際に職場に配属されると、それまで想像していた仕事のイメージとは違う事は往々にして有ります。しかしながら、皆さんに与えられる仕事は、それぞれに皆さんの今後のキャリアを見据えて、その時点での習熟度を勘案しながら、上司が良く考えた末に用意されるものです。会社や仕事の全体像が分からない中で、自分の目先に与えられた業務だけで判断して、不満を抱いたり、やる気を無くしたりすることが無いようにして下さい。全ての仕事には必ず意味があります。与えられた仕事や役割に対し、少なくとも1、2年は真摯に取り組んでみることが大切です。小さな一つひとつの積み重ねが、結局は後になって自分の力となっていることが多いのです。
 社会人として、クラレパーソンとして成長することを助ける心掛けとして「受け容れる心」を持つことを勧めます。受け容れる、には二つの意味があり、ひとつは、自分に起こる出来事を受け容れること。もうひとつは、今の自分を受け容れることです。受け容れることで、皆さんは徐々に大きな器となっていきます。どんな仕事にも真摯に向き合い、受け容れ、誠実に取り組んで結果を出すことで、周りの人は皆さんへの信頼を高めます。そうすることで、次にはもう少し大きな、重要な仕事を任せてもらえるようになるはずです。

自己研鑽を続ける

 3つ目は「自己研鑽を続ける」ということです。学校を卒業したから勉強は終わりではなく、会社に入り、さあこれからが勉強だと考えて欲しいということです。世の中、世界には我々の知らないことが山ほどあり、毎日新しい事も起こり、変化の連続です。皆さんがどのような職務に就いたとしても、世の中の動きや社会の課題と無縁で居られるということは有りません。社会人としての基本的な教養を身に付けるためにも、色々な本を読んだり、他人の話を良く聞いたり、外部の講習や研修に積極的に参加したりして、見聞を広め、知見を深め、考える力を養ってほしいと思います。中でも、出来るだけ多くの本を読むことは、手軽に続けられることですのでお勧めします。
 社会人として自分が将来成長していくためには、向上心を持って地道な努力をすることが欠かせません。自己研鑽への投資は、一番確実にリターンがある投資です。将来、無駄になることは有りませんので、心して自分を高める努力を続けてください。

 最後になりますが、皆さんは集合研修を終えた後、国内の事業所での現場実習に入る予定です。各事業所では、クラレグループの行動原則としての「安全はすべての礎」という方針を何度も繰り返し聞くことになると思います。何故「安全はすべての礎」なのか? 実習中にしっかりと学び、腹落ちするまで質問をし、自分でもよく考えて、クラレグループの事業活動で一番大切な行動原則を理解してください。
 そして、実習を終えて配属される時には全員が「安全はすべての礎」の本質を理解して、自らが体現できるようになっていることを切に願います。

 以上、皆さんの入社に際して、私の挨拶と激励の言葉といたします。

以上