ニュース

株式会社クラレ

株式会社クラレ(本社:東京都千代田区、社長:伊藤文大)は、このたび、「耐熱性ポリアミド9T<ジェネスタ>の開発と工業化」により、公益社団法人高分子学会から「平成24年度高分子学会賞(技術部門)」を受賞しました。

高分子学会賞は、社団法人高分子学会が我が国の高分子科学および技術の進歩をはかるため、独創的かつ優れた業績を挙げた会員を対象に、「技術」と「科学」の2部門でその功労を顕彰するものです。

当社の「耐熱性ポリアミド9T<ジェネスタ>の開発と工業化」の受賞は、

  • 独自技術により開発された素材により、電気・電子機器、LED光源、自動車分野における先端製品の普及に貢献した。
  • 2000年以降、年産10,000トン規模に育った新規ポリマーは耐熱性ポリアミド9Tしかなく、新しいポリマー素材が生まれにくい閉塞感を打破し、日本のポリマー産業が世界に先駆けて新しいポリマーを生み出す強力な動機付けとなる。

ことなどが評価されたものです。

耐熱性ポリアミド9T:当社製品名<ジェネスタ>の産業分野への広がり

  • 欧州のRoHS指令により、従来の鉛はんだが融点の高い鉛フリーはんだへ急速に切り替わるのに伴い、リフロー温度も上昇。<ジェネスタ>は鉛フリーはんだにも耐える耐熱性を有し、SMT(表面実装技術)対応の高耐熱材料として、携帯電話やモバイルパソコンなど小型電気・電子機器の普及に貢献した。
  • また、LEDバックライトがノートパソコンや液晶テレビなど、より大型のディスプレイへ適用範囲を拡大する中で、LED素子から発せられる熱や光の反射板への負荷が増大。<ジェネスタ>はその優れた耐熱性と耐光性を武器に反射板用途で確固たる地位を獲得し、省電力化につながるLED光源の普及に貢献した。
  • 新たに自動車分野において、<ジェネスタ>の優れた燃料バリア性や良好な耐摩擦・磨耗性が評価され、燃料配管などの燃料関連部品、ギアやローラーなど摺動部品などで採用が拡大し、軽量化・燃費向上に貢献している。

<ジェネスタ>について

  • 当社が世界で初めて工業化したノナンジアミン(炭素数9のジアミン:<ジェネスタ>の主要原料モノマー)を使用した新しい耐熱性ポリアミド樹脂(PA9T)で、1999年に当社が工業化した。
  • 耐熱性、耐光性、耐薬品性、摺動性(摩擦に強い特性)、低吸水性に加え、寸法精度に優れるなどの特長を有する。

電子部品(コネクタ)例

LED部品例

自動車部品(インタークーラータンク)例

ご参考:当社の高分子学会賞(技術部門)受賞歴

  • 人工皮革<クラリーノ>の研究と工業化
  • ガスバリヤー性樹脂<エバール>の開発と工業化
  • 歯科用接着性高分子充填材料の研究と工業化

以上