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株式会社クラレ

当社は、独創的技術の発現による環境領域を中心とした新事業の創出・拡大を経営の重要課題に掲げ、グループの総力を結集するため本年4月にアクア事業推進本部を設置し、戦略的にアクアビジネスの拡充へ取り組んでおります。
今般、組織戦略の一環として、2008年2月に野村マイクロ・サイエンス株式会社(以下 野村マイクロ)との合弁により設立した水処理のトータルサービス会社であるクラレアクア株式会社(以下 クラレアクア)の当社主導による事業運営、推進責任体制を明確化し、さらなる事業強化を図るため、クラレアクアが本日付で実施した第三者割当増資を引き受けました。
増資の内容は下表の通り、当社の出資比率は82%となります。

  資本金 出資比率
増資前 1.0億円 クラレ側 55%、野村マイクロ 45%
増資後 2.5億円 クラレ   82%、野村マイクロ 18%
  • (注) 増資後の資本金2.5億円は資本準備金0.75億円を含んでいます。

一方、新規製品開発・グローバルな新規市場開拓も戦略的に推進しており、最近の成果を以下の通りご紹介します。

1. 新規PVDF(ポリフッ化ビニリデン)中空糸膜の開発完了

水道用PVDF膜モジュール 水道用PVDF膜モジュール

従来品の素材である親水化ポリスルホン(PSF)より高強度である親水化PVDFを用いた中空糸膜を開発し、2009年秋の販売開始を予定しています。

当社のPVDF膜の特長
  • (1) 膜の孔径を幅広く(0.02ミクロン~2.0ミクロン)ラインアップできるため、ろ過対象の液体も広範囲にわたる。
  • (2) 親水化処理を施してあるため、汚れが付着しにくくなることから、透過水量を上げることができる。このことにより、従来と同じ膜本数で処理水量を上げることが可能となる。
販売目標
当社のアクア事業推進本部とクラレアクアが連携してマーケティングを行い、3年後50億円の売上を目指します。

2. シンガポールにおける水処理設備の試験開始

クラレアクア汚泥減容排水処理システム<ゼクルス>テスト機	汚泥減容排水処理システム<ゼクルス>テスト機(撮影:於 クラレ西条事業所)

東南アジア地域での排水処理ビジネスの拡大を目指すため、当社は当社独自の素材であるPVAゲル<クラゲール>を使用した汚泥減容排水処理システム<ゼクルス>の試験運転を、世界のアクアビジネスの重要拠点であるシンガポールにて開始しました。

当社は、引き続きアクアビジネスの戦略的拡大に取り組み(同事業の2015年度売上高目標:500億円)、水のリサイクル化などを通じ、大量生産・消費型社会から循環型社会への構造転換に貢献してまいります。

以上

<ご参考>

クラレアクア株式会社の概要
商号 クラレアクア株式会社
所在地 東京都中央区日本橋室町3-2-17
代表者 伊藤 秀一 (いとう ひでかず)
事業内容 国内外における水浄化のための膜材の販売、プラント設計・製作・施工・販売・メンテナンス
設立年月 2008年2月
設立目的 クラレが保有している高分子中空糸膜およびPVAゲル素材を利用した水浄化技術と、野村マイクロが超純水装置製造・販売会社として培ってきたエンジニアリング技術を組み合わせ、浄水設備・排水処理設備や排水リサイクル設備などの分野で多様なニーズに応えること。