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株式会社クラレ

当社は、これまでに展開している熱可塑性エラストマー商品群 <セプトン>、<ハイブラー>、<クラミロン>の高性能・高機能化の一環として、耐摩耗性、耐傷つき性、軽量性、耐加水分解性に優れたポリマーアロイの設計に適する新規熱可塑性エラストマー“Qポリマー”を開発しました。

水添スチレン系熱可塑性エラストマー<セプトン>、<ハイブラー>は、各種プラスチックと同様に加熱して容易に成形できるとともに、ゴムのような弾力性に富む特長があり、加硫ゴムや軟質塩化ビニルに替わる軟質素材として広く使用されています。この水添スチレン系熱可塑性エラストマーは現在約12万トンの世界市場があり、年率約10%で拡大しています(当社推定)。一方、熱可塑性ポリウレタン<クラミロン>は、独自原料を用いたポリウレタンをベースにしたユニークなエラストマーで、耐摩耗性、引張強度、耐油性、耐オゾン性に優れます。

“Qポリマー”は、その特徴である各種樹脂との良好な相容性を生かし、当社が開発した各種熱可塑性樹脂とのアロイ化技術により、従来の<セプトン>をベースとしたコンパウンドに対しては、力学物性、耐摩耗性、耐傷つき性が大幅に改善され、また<クラミロン>に対しては、軽量性、オレフィン系材料との複合成形性、耐加水分解性に優れ両者の長所を併せ持つ画期的な材料です。自動車部品、電気・電子部品、各種スポーツ用品等の分野で、従来品では参入が困難であったより高い性能が要求される用途への展開が期待されます。

“Qポリマー”は、現在、数100トン/年のパイロットスケールでの試験生産体制を整え、2010年には本格的な商業生産を開始する予定です。“Qポリマー”は、当社が開発したポリマーアロイ技術をセットにして、高性能な各種用途において、末端の製品メーカー、部材メーカー、成形加工メーカー等との共同開発を進めていく他、コンパウンドメーカー各社が持つ、独自のさまざまなコンパウンド技術を組み合わせることで、開発の加速化、さらなる用途の拡大を目指しています。
このように、各メーカーと親密な連携を図り、数年後には数1,000トンの規模に育てていきたいと考えています。そしてこの新製品を新たに核の一つに加え当社のエラストマー事業の拡大を目指しています。

“Qポリマー”とは

クラレが独自のポリマー合成技術を発展させ開発した、新規な高性能熱可塑性エラストマーです。

  • 軽量性、柔軟性に優れます。
  • 優れたゴム弾性を示します。
  • 力学性能に優れます。
  • 各種熱可塑性樹脂との相容性に優れます。

さらに、コンパウンド配合技術を駆使することにより、優れた性能を有するポリマーアロイが得られます。

“Qポリマー”からなるポリマーアロイの特徴

  • (1) 軽量性、柔軟性に優れます。
  • (2) 優れたゴム弾性を示します。
  • (3) 力学性能に優れます。
  • (4) 耐摩耗性に優れます。
  • (5) 耐傷つき性に優れます。
  • (6) 耐加水分解性に優れます。
  • (7) 低温特性に優れます。
  • (8) ポリオレフィン系樹脂との接着性に優れます。

“Qポリマー”からなるポリマーアロイの想定用途

(1) 自動車部品
ウェザーストリップ、モール材、シート表皮材、ドアトリム表皮材、エアバッグケース、ワイヤー&ケーブル等
(2) 一般工業部品
チューブ・ホース、シート・フイルム
(3) 電機部品
電線被覆材、コネクター等
(3) スポーツ用品
グリップ類、保護材