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株式会社クラレ

クラレグループのエバルカ社(EVAL COMPANY OF AMERICA:米国テキサス州)が進めているEVOH樹脂(当社商標:<エバール>)生産設備増強工事のうち、年産+12,000トン分の試運転が完了し、このほど本格稼働しましたのでお知らせいたします。
これにより、エバルカ社の生産能力は年産合計35,000トンに増強され、世界最大のEVOH樹脂生産工場となりました。

<エバール>は当社が1972年に世界で初めて開発・事業化した高機能性樹脂で、クラレグループが世界シェアの70%を占めています。プラスチックとしては最高レベルのガスバリア性(汎用ポリエチレンの約10,000倍)を有し、その特性を生かして食品包装材料分野を中心に事業を拡大させてきました。近年では、燃料ガスの排出規制に対応できるため、樹脂製自動車ガソリンタンクへも採用され、環境に貢献するなど、非食品分野も伸長しており、当樹脂の需要は日・米・欧を中心に拡大を続けています。また、南米・アジアのチルド流通の整備されていない地域で袋入り牛乳の常温輸送用素材に使用されるなど、日・米・欧以外の地域での需要拡大も期待されています。

当社は現在、エバルカ社のほかに岡山事業所(岡山県:年産10,000トン)、エバールヨーロッパ社(EVAL EUROPE N.V.:ベルギー 年産24,000トン)の生産設備を有していますが、今回のエバルカ社の増強により、日・米・欧の3極で年産合計69,000トンの生産体制となりました。また、今回の本格稼働に続き、<エバール>の需要拡大に対応するため、2008年度を目途に更なる年産+12,000トンの稼働準備を進めています。

<エバール>生産能力
  稼働開始前 稼働開始後 2008年目途
エバルカ社(米国) 23 35 47
岡山事業所(日本) 10 10 10
エバールヨーロッパ社(ベルギー) 24 24 24
合計 57 69 81

(千トン/年)

4月18日に現地で行われたオープニングセレモニーで、当社社長・和久井康明は以下のように述べ、環境への配慮の重要性を強調しています。
「私たちは企業ミッション“私たちクラレグループは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します”を掲げており、地球環境への配慮は当然の責務であると考えています。この考えに基づき技術改良を進めてきた結果、今回の最新鋭の<エバール>生産設備はVOC(揮発性有機化合物)排出量の削減に成功しています。」

今後とも当社は、<エバール>事業を基幹事業の一つとして、地球環境に配慮しつつ、ガスバリア関連領域での市場のニーズに十分に対応できる新製品の開発、新市場の創造に努め、グローバルリーダーの地位を確固たるものにしていきます。

1. <エバール>の主な用途とその比率

食品包装材 70%(マヨネーズ、ケチャップ、茶葉、ジュース、フルーツ、生肉、加工肉他)
非食品包装材 30%(ガソリンタンク、床暖房用パイプ、冷蔵庫の真空断熱板他)

2. エバルカ社の概要

(1)正式名称 EVAL COMPANY OF AMERICA.
(2)本社 米国 テキサス州
(3)生産能力 年産35,000トン
(4)社長 Nobuya Tomita
(5)資本金 415万US$