当社はこのたび、新規ポリマーを使用した、LCD(液晶ディスプレイ)用偏光フィルム向け光学用ポバールフィルム「VF-PE」を開発しました。当製品は既にユーザー向けサンプル出荷を開始し偏光フィルム製品化作業を進めており、2006年初頭を目処に本格事業化を目指します。
分子軸方向の光を吸収し直角方向だけの光を透過する偏光フィルムは、光のシャッター機能を有しており、LCDに不可欠な重要部材です。その偏光フィルムは光学用ポバールフィルムが主素材であり、光学用ポバールフィルムをヨウ素や染料で染色し、延伸配向することにより製造しています。
今回開発した光学用ポバールフィルム「VF-PE」は、新規ポリマーを採用しているため、従来の光学用ポバールフィルムと比べ、延伸が容易でかつ切断しにくいという優れた加工適性を持ちながら、偏光性能などの光学性能を大幅に改善しており、高コントラスト化や薄型化、高収率化や低消費電力化などが達成できます。
ポバール(ポリビニルアルコール)フィルムは、透明性、染色性、帯電防止性、延伸性などに優れ、LCDの主要部材である偏光フィルム向けに最適の素材です。また、偏光フィルムの性能向上には、原料であるポバールの改良が極めて有効であることが知られており、当社でも研究を進めた結果、新規ポリマーとこれを使用した光学用ポバールフィルムの開発に成功しました。
LCDはモニター用途での成長と合わせ、家庭電化製品である液晶テレビとして受け入れられており、今後一層の伸びが期待されています。一方でフラットパネルテレビ市場では、液晶とプラズマやその他のテレビとの競争が激化しています。特に画面の高コントラスト化や大型化への技術革新が求められており、LCDの主要部材である偏光フィルムにも偏光性能の向上と良好な加工適正が求められています。またLCDの薄型化のために新たな性能の偏光フィルムの提案が必要とされています。
このようにLCDの大画面化、薄型化などの技術革新に伴い、偏光フィルムに要求される性能はますます高度化、多様化しています。
当社は酢酸ビニル系の化学品(ポバール樹脂・からフィルム、<エバール>(エチレン・ビニルアルコール)樹脂・フィルム、ビニロン繊維)を総合的に展開するリーディングカンパニーです。偏光フィルム向け光学用ポバールフィルムの一貫生産による安定した品質と供給体制は、需要家から高い評価を頂いています。
当社は、今後も液晶用偏光フィルム向け光学用ポバールフィルムのトップメーカーとして、新技術の開発や品質向上を積極的に進め、LCDの市場拡大に貢献したいと考えております。