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株式会社クラレ

エバールヨーロッパ社

当社はエバールヨーロッパ社(EVAL EUROPE N.V.:ベルギー)にて進めていました、EVOH樹脂(当社商標:<エバール>)の生産設備の増強工事(+年産12,000トン)が完了しましたのでお知らせいたします。(増強後生産能力:年産24,000トン)

<エバール>は当社が1972年に世界で初めて開発・事業化した高機能性樹脂で、プラスチックとしては最高レベルのガスバリア性(汎用ポリエチレンの約10,000倍)を有します。優れた気体遮断性を生かし、食品の保存性に優れた包装材料や、軽量化や成形加工を容易にしながら燃料ガスの排出規制に対応できるため、自動車ガソリンタンクへの採用が急速に広がっています。さらに、床暖房用パイプなど住宅・生活関連分野なども伸長しています。

現在<エバール>の需要は日本・米国・欧州を中心に年率10%以上の拡大を続けていますが、このたびの増設により欧州のみならず、生活スタイルの変化により今後需要の拡大が見込める中近東、南アフリカなどの市場にも拡大を図る予定です。
また、今回の増設にあわせて、より環境に配慮した生産プロセスを採用しました。

当社は現在、エバールヨーロッパ社のほかに岡山事業所(岡山県:年産10,000トン)、エバールアメリカ社(EVAL COMPANY OF AMERICA:アメリカ:年産23,000トン)の生産設備を有していますが、このたびのエバールヨーロッパ社の増設により、日・米・欧の3極で年産合計57,000トンの生産体制になります。
また、当社は今回のエバールヨーロッパ社の増設に続き、現在進行中のエバールアメリカ社の増設(+24,000トン)により、2006年度には年産合計81,000トンの生産能力に拡大します。

<エバール>生産能力 * 2004年10月時点
  * 現状 増設計画 完工予定 増設後
エバールヨーロッパ社 24     24
岡山 10     10
エバールアメリカ社 23 +24 2006年3月 47
合計 57 +24   81

(千トン/年)

<エバール>事業は、現在進行している当社の中期経営計画“G-21”の中で、世界の中で独自性・競争力を発揮する“基幹事業”の1つと位置付け、拡大を図っています。
今後とも当社は、独創性の高い技術で新製品の開発に努め、バリア関連事業領域でのグローバルリーダーの地位を確固たるものにしていきます。

(参考資料)

1. EVOH樹脂の需要量(当社推定)

EVOH樹脂の需要量(当社推定) 総需要計(単位:千トン)

2. <エバール>の主な特長

  • 高い気体(酸素)遮断性(通常のポリエチレンの約10,000倍)
  • 優れた耐有機溶剤性
  • 塩素などを含まないため、ダイオキシンなどの有毒物が発生する恐れがない

3. <エバール>の主な用途とその比率

ガソリンタンク

食品包装材 70%
(マヨネーズ・ケチャップ・茶葉・ジュース・フルーツ・生肉・ 加工肉など)

非食品包装材 30%
(ガソリンタンク・床暖房用パイプ・冷蔵庫の真空断熱板など)

4. エバールヨーロッパ社の概要

(1)正式名称 EVAL EUROPE N.V.
(2)本社 ベルギー フランダース州 アントワープ
(3)生産能力 年産24,000トン
(4)社長 秦 順之
(5)資本金 2,970万EURO