社長メッセージ

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

2023年度上半期(2023年1月1日~2023年6月30日)における世界経済は、サプライチェーンの混乱収束や半導体不足による供給制限の緩和などにより、一部の地域を除いて緩やかに回復しました。一方で、インフレ抑制のための各国における金融引き締めの継続や、回復が期待されたものの力強さを欠く中国経済、出口の見えないロシア・ウクライナ情勢など、先行き不透明な状況が続きました。そのような中、当社グループの業績は、売上高は前年同期比230億円増の3,810億円、営業利益は29億円増の410億円、経常利益は6億円増の385億円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は24億円減の218億円となりました。上半期としては、売上高、営業利益、経常利益が過去最高を更新しました。
2023年度通期見通しについては、上半期の業績は想定を上回る進捗となりましたが、一部の事業において需要の回復が遅れていることから、2023年5月12日に公表した連結業績予想を据え置き、売上高8,100億円、営業利益840億円、経常利益790億円、親会社株主に帰属する当期純利益470億円を見込んでいます。

クラレグループは、2022年度より中期経営計画「PASSION 2026」をスタートさせ、「3つの挑戦」として、①機会としてのサステナビリティ、②ネットワーキングから始めるイノベーション、③人と組織のトランスフォーメーション、に取り組むとともに、主力のビニルアセテート関連事業に続く次なる収益の柱の創出を目指し、イソプレン関連事業と活性炭事業の強化を図っています。上半期にはタイのイソプレン新プラントが始動、下半期には米国の活性炭製造設備の稼働を予定しており、こうしたグローバル供給体制の強化を通じて、確実に新規需要を取り込み、中長期的な成長につなげてまいります。

当社は株主の皆様に対する利益配分を経営の重要課題と位置付け、中期経営計画「PASSION 2026」では、親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向35%以上、かつ1株につき年間配当金40円以上を基本方針としています。2023年度の配当については、足元の業績動向を踏まえ、中間配当を期初予想から1円増配し、1株当たり25円とさせていただきました。また、期末配当予想についても、同じく1円増配の1株当たり25円とし、年間配当金は50円とさせていただく予定です。引き続き、収益拡大を通じた株主還元の充実を図ってまいります。

株主の皆様には、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2023年8月9日
代表取締役社長 川原 仁