社長メッセージ

2024年度上半期における世界経済は、欧州と中国の景気低迷が継続したものの、米国は堅調に推移し、全体としては緩やかな成長となりました。一方で、ロシア・ウクライナや中東情勢など地政学的な緊張がグローバルな経済活動のリスク要因になるなど、先行き不透明な状況が続きました。

このような環境下において、当社グループでは多くの事業で販売数量を伸ばすことができ、また円安による増益効果もあったことなどから、売上高は前年同期比302億円増の4,112億円、営業利益は45億円増の455億円、経常利益は55億円増の440億円、親会社株主に帰属する中間純利益は86億円増の304億円と、上半期として売上高、各利益いずれも過去最高を更新しました。

2024年度通期業績見通しは、上半期の好調な業績を踏まえ、前回見通し(2024年5月14日公表)から上方修正し、売上高8,500億円、営業利益890億円、経常利益840億円、親会社株主に帰属する当期純利益550億円を見込んでいます。

当社グループでは、中期経営計画「PASSION 2026」に基づき、「経済的価値」「社会・環境価値」の2軸による事業評価と「市場成長性」を踏まえた、事業ポートフォリオの高度化を進めています※。当上半期においては、サーキュラーエコノミーへの移行とともに食品包装用途での需要拡大が期待される〈エバール〉のシンガポール新プラント建設や、米国での産業用再生炭事業の買収などの将来への成長投資を決めた一方で、市場環境や事業のライフサイクルを踏まえ、MMAプラント生産能力の最適化や不織布事業の縮小、珪藻土・パーライト事業の譲渡などを決定しました。引き続き、メリハリを利かせた経営資源の投入により、よりサステナブルな事業構造に転換し、持続的な成長を目指していきます。

2024年度の株主還元は、中期経営計画「PASSION 2026」における株主還元方針「総還元性向35%以上、1株当たり年間配当金40円以上」のもと、足元の業績動向を踏まえ、中間配当金は期初予想比2円増額し、1株当たり27円とさせていただきました。期末配当予想についても、同じく2円増額の1株当たり27円に修正しており、1株当たり年間配当金(予想)は54円となる見込みです。なお、2024年5月14日の取締役会決議に基づき、取得株式数1,500万株、総額200億円を上限とした自己株式の取得を進めており、2024年度の総還元性向は68%程度となる見込みです。

株主の皆様には、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 川原 仁