将来就きたい職業

小学一年生を持つ親 6,000人に聞いた 「将来、子どもに就いて欲しい職業・1998」

1998年4月

5月5日(火)は「こどもの日」。世の親は、子どもが未来の担い手として健やかに成長していくことを望んでいます。
ランドセル素材として人工皮革<クラリーノ>を製造している合繊メーカーの(株)クラレ(本社:大阪市)では、この春小学校に入学するため「クラリーノ・ランドセル」を購入した全国の 6,000人(父親、または母親)を対象に、親が望む『将来、子どもに就いて欲しい職業』(一人につき一つの職業名を回答)を調査しました。その結果を過去4年の調査と比較しながら、現代の親たちが子どもに託す将来の職業像を以下にまとめました(別添データご参照)。
男の子のベスト3は「公務員」「スポーツ選手」「医者」の順で、この順位は5年間変化がありません。しかし、ずっと20%台を確保してきた「公務員」は初めて2割を切り、代わって「スポーツ選手」が若干比率を上げています。
女の子のベスト3は「看護婦」「教師」「保母」です。今年は「看護婦」が1位で、2位「教師」、3位「保母」となりました。看護婦はこの5年で最も高い比率16%台を確保し、2位を引き離してのトップです。

親の安定志向強く、男児の「公務員」は5年連続のトップ 比率下がってややかげり?

男の子に将来就いてもらいたい職業のトップは、5年連続「公務員」(19.2%)です。しかし、最近、何かと批判を受けている世評を反映してか、初めて20%台を切りました。
女の子の「公務員」(8.3%)は昨年同様4位ですが、男の子と違い比率をやや上げています。
景気の不透明感を反映してか、公務員は安定した職業として依然高い人気を保っています。

スポーツでは「サッカー」と「野球」が拮抗「野球」の復調目立つ

男の子の第2位は5年連続「スポーツ選手」(14.5%)で、比率も14%台を回復しました。
その内訳を見ると「サッカー」と「野球」がほぼ拮抗しています。一昨年当たりから「野球」の復調が顕著で、Jリーグが始まった94年には「サッカー」(45.9%)、「野球」(7.8%)で、38ポイントもあった差がほぼ同じになってきました。イチロー、松井、高橋といったヤングヒーローや大リーグで活躍する日本人選手の人気などに負うところが大きいようです。サッカーのワールドカップ出場の影響はまだ出ていないようですが、活躍いかんによっては来年の比率に変化が見られるかも知れません。
他のスポーツはぐっと少なく「レーサー・ライダー」(3.0%)、「競輪・競艇」(2.3%)、「ゴルフ」(1.8%)などが続いています。
女の子の「スポーツ選手」(1.1%)は18位で、昨年(1.4%)より1ランク下がっています。プロとアマの垣根が低くなりつつあるせいか、種目の多様化が見られます。「ゴルフ」と「水泳」(各11.8%)に次いで、「サッカー」(8.8%)や「テニス」(5.9%)などが挙がっています。

女児のトップは看護婦、教師が2位

女の子のトップになったのは「看護婦」(16.8%)で、昨年より2ポイントほど伸びて、ここ5年間では最も高い比率となりました。“白衣の天使”は女の子にとって根強い人気職業のひとつです。
2位は「教師」(11.1%)てすが、昨年より4ポイントほど下げています。3位の「保母」(9.0%)は一昨年1位となっており、これも女の子の人気職業です。

男女とも高ランクの「医者」

「医者」は、男の子で5年連続の3位(10.2%)、女の子でも5位(6.2%)にランクされ、安定した人気職業です。
勉強もさることながら、資格を取得するのも困難な職業のひとつですが、近い将来には「医師過剰時代」を迎えるといわれつつも、依然として高い人気を維持しています。

会社員が4位 女児でも8位に

昨年、「エンジニア」に押されて5位だった男の子の「会社員」(6.0%)が4位に復帰。女の子でも8位(3.9%)にランクされ、民間企業に勤めることを望む親も多くなっています。
「エンジニア」は男の子(4.2%)で5位、女の子(0.4%)で32位と、いずれも昨年よりランクを下げています。

根強い人気の「パイロット」「スチュワーデス」

航空に携わる男の子の「パイロット」(6位 3.6%)と女の子の「スチュワーデス」(7位 5.1%)はいつもトップ10内にある人気職業です。今年は両者とも比率を上げています。
一方、陸上交通機関の運転に携わる男の子の「運転士・運転手」(2.5%) もランクを上げて12位。
15位からランクアップするとともに、比率を徐々に上げています。また、宇宙飛行士として活躍する日本人が相次ぐ中、男の子に「宇宙飛行士」(16位 1.7%)を希望する親も増えています。

高い「職人」「自営業」の人気、女児では「パン・ケーキ屋」「花屋」

終身雇用関係が崩れつつある現代ビジネス社会を見てか、手に職をつける「職人」や自分の裁量で経営できる「自営業」が注目されています。
男の子では「職人」(3.5%)が昨年の11位から8位とランクを上げ、やはり“腕一本”が頼みの「コック・板前」(14位 2.0%)も安定した人気です。「自営業」(10位 3.0%)もここ5年間、トップ10内に入っています。「パン・ケーキ屋」(23位 0.6%)や「おもちゃ屋」(27位 0.5%)と、具体的な業種も加えると「自営業」は4%台となります。
この傾向は女の子の方にやや強く、「パン屋・ケーキ屋」(9位 3.7%)「花屋」(10位 3.1%)、「自営業」(26位 0.7%)、「ペットショップ」(35位 0.2%)、「おもちゃ屋」(37位 0.2%)などが挙がっています。これらを合わせると約8%となり、男の子の約2倍にもなります。女の子の好む商品を扱う「パン・ケーキ屋」や「花屋」は10位内に入る人気職業となっています。
“手に職や技術を”という志向は女の子にも強く、「ピアノ教師」(6位 5.8%)、「薬剤師」(11位 2.8%)、「美容師」(13位 1.8%)、「デザイナー」(15位 1.3%)などが安定した人気を得ています。

超高齢化社会を迎え「医療関係」「福祉関係」が急上昇

世界で類を見ない超高齢化社会がすぐそこまで来ているのを反映して、「医療関係」「福祉関係」の職に就かせたいと希望する親が増えています。
男の子では「医療関係」(1.0%)が20位、「福祉関係」(0.6%)が26位、初めて登場の「看護士」(0.5%)が28位に挙がっています。
女の子では「医療関係」(17位 1.2%)、「福祉関係」(18位 1.1%)で、ともに順位を上げています。

華やかなエンターテイメントの世界を夢見る「芸能人・タレント」は男女とも堅調

これまで、浮き沈みの激しい芸能界に職を得させたいという親は男女ともそれほど多くなかったのですが、「芸能人・タレント」の比率は堅調で、今年は男の子が18位(1.4%)、女の子は12位(2.8%)です。女の子の場合、年々その比率が上がってきています。