将来就きたい職業

小学一年生を持つ親5千人にきいた 「将来、子どもに就いて欲しい職業・1996」

1996年4月

ランドセル素材として人工皮革「クラリーノ」を供給している化学メーカーの・クラレ(本社:大阪市)では、この春小学校に入学するため「クラリーノ・ランドセル」を購入した全国の5千人(父親、または母親)を対象に、親が望む『将来、子どもに就いて欲しい職業』(一人につき一つの職業名を回答)を調査しました。
その結果を過去4年の調査と比較しながら、現代の親たちが子どもに託す将来の職業像を以下にまとめました。
男の子のベスト3は「公務員」「プロスポーツ選手」「医者」で、この5年間順位は不動です。
女の子のベスト3は「保母」「看護婦」「公務員」。ベスト3の常連だった「教師」が第4位に落ち、「公務員」が初めてベスト3に顔を出しました。出生率の低下を見越し、公務員に安定性を見出しているようです。

親の安定志向強く、男児の「公務員」は5年連続のトップ、女児でも3位に浮上

男の子に将来就いてもらいたい職業のトップは、5年連続「公務員」(22.3%)です。ここ4年は確実に20%台を確保し、5人に1人以上の親が「公務員」を望んでいます。
女の子の場合も「公務員」は昨年(4位 9.0%)よりワンランク上がって、初のベスト3(8.5%)に登場。
景気の先行きが不透明で企業のリストラも進む中、安定した職業として「公務員」の人気はしばらく続くものと思われます。

プロスポーツでは「サッカー」人気やや後退、「野球」がぐっと盛り返す、女児は「騎手」が人気

男児の第2位は5年連続「プロスポーツ選手」(14.4%)です。毎年10%強の支持を集め、依然として高い人気です。
その内訳を見ると「サッカー」が「野球」を逆転して4年目ですが、今年は「野球」の挽回が顕著で、Jリーグが始まった94年には「サッカー」(45.9%)、「野球」(7.8%)で、38ポイントもあった差が4.5ポイントにも縮まってきました。イチロー、野茂人気に負うところが大きいようです。以下、「ゴルフ」(3.1%)、「競輪・競艇」(1.1%)、「バスケットボール」(0.8%)、「レーサー・ライダー」、「騎手」、「プロレス」(各0.6%)などと続きます。
女児の「プロスポーツ選手」(1.3%)は17位で、昨年(1.4%)よりワンランク上がっています。種目としては女子選手の活躍が目立つ「ゴルフ」(12.5%)がトップ、次いで「テニス」、「競艇」「騎手」「サッカー」(各6.3%)などが続きます。女性のプロスポーツとして開かれてきた「競艇」(95年=4.2%)、「騎手」(95年=1.4%)への人気が高まっています。

女児のトップは保母、看護婦は昨年同様2位に

女児のベストワンになったのは、「保母」(14.7%)です。昨年の3位から1年ぶりの返り咲きです。なじみがあり、小さな子どもたちを親切に世話する「保母」は現代の親にとって理想の職業の一つのようです。
一昨年3位で、昨年2位の「看護婦」は、今年も2位(13.6%)を確保。“白衣の天使”は依然として女児に人気職業です。

男女とも高ランクの「医者」、女児の「教師」は急降下

「医者」は、男児で5年連続3位(9.7%)、女児でも5位(5.8%)と人気の高い職業です。しかし、男児では初めて10%を割り込みました。資格を取得するのが困難な職業のひとつですが、近い将来に来る「医師過剰時代」が敬遠されているのでしょうか。
また、「公務員」と並んで安定した職業のひとつである「教師」は男児で5位(4.6%)、女児では4位(8.3%)です。しかし、男児では年々比率を下げ(92年=11.9%→96年=4.6%)、女児でも初めてベスト3をはずれ、人気を失いつつあります。「いじめ」問題など学校を取り巻く暗い話題が多いせいでしょうか。
また、男児では「学者・大学教授」が12位(1.8%)にランクされ、学問の世界で活躍するわが子を夢見る親は多いようです。

「就職氷河期」の影響? 女児では「会社員」が3ランクダウン

男児で昨年4位だった「会社員」(7.9%)は今年も4位を確保。年々比率を伸ばしています。
一方、女児の「会社員」は昨年の8位から落ちて11位(3.1%)です。女子大生の就職難が影響しているのでしょうか。
浮沈の激しいビジネス界ですが、この世界での活躍を望む親は多いようです。

「パイロット」「スチュワーデス」、それぞれ上昇

“契約社員”の登場や運賃の値上げなど、苦しい経営が続く航空界ですが、将来の職業として「パイロット」「スチュワーデス」を希望する親は多いようです。
昨年8位だった「パイロット」は今年6位(4.0%)に浮上。女児の「スチュワーデス」も7位から6位(4.8%)に上がっています。
また、日本人が宇宙飛行士として活躍する姿を見て、「宇宙飛行士」(18位 1.2%)を希望する親もおり、これは女児(0.2%)にも見受けられます。

高い「自営業」の人気
女児では「花屋」「パン屋・ケーキ屋」「ペットショップ」も

終身雇用関係が崩れつつある現代ビジネス社会を見てか、「自営業」が注目されています。男児では8位(3.9%)を確保。ここ4年間ベスト10内に入っています。工夫次第で高収入も夢でなく、人員整理の憂き目を見ることもない「自営」は魅力ある職業のようです。
この傾向は、女児の「花屋」(8位 3.6%)、「パン屋・ケーキ屋」(10位 3.2%)、「自営業」(19位 1.1%)、「ペットショップ」(31位、0.4%)などにも現れています。とくに、女児における「花屋」は人気上昇中の職業です。
また、「手に職や技術を」という志向も強く、男児では「職人」(10位 2.6%)、「コック・板前」(17位 1.2%)、女児では「ピアノ教師」(7位 4.3%)、「美容師」(9位 3.2%)、「薬剤師」(11位 2.4%)などを希望する親も多くいます。

華やかなエンターテイメントの世界…「芸能人・タレント」男女とも上昇

これまで、浮き沈みの激しい芸能界に職を得させたいという親は男女ともそれほど多くなかったのですが、今年は男児が昨年の21位(0.7%)から15位(1.6%)に、女児でも17位(1.6%)から13位(2.2%)に上昇しています。