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職場での取り組み

クラレグループは様々な国籍・背景を持つ人材でなりたち、長期的・持続的な企業価値の向上のためには、それら多様な人材の活躍が重要です。

クラレグループは人材に関する基本的な考え方をまとめた「グローバル人事ポリシー」に基づいて、社員一人ひとりが仕事を通じて人間的に成長できるよう、多様性の推進、人材育成、公平・公正な評価などの制度を整えるとともに、健全な組織風土の醸成と雇用機会の創出に取り組んでいます。
 また、2022年度には当社として初めてのグローバルでのエンゲージメントサーベイ(Our Voice)を実施しました。調査結果を活かし従業員のエンゲージメントを高め、PASSION 2026 で掲げるイノベーションや人のトランスフォーメーションを実現に繋げていきます。

クラレグループグローバル人事ポリシー

  • 1) 個人の人権を尊重します
    当社の理念「個人の尊重」に基づき、すべての働く人の人格・人権を尊重し、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、児童労働、強制労働といった人権侵害を排除いたします。また人権侵害を及ぼす事象に対し直接的・間接的に加担したり、また黙認するような行為の防止に努めます。
  • 2) 差別を排し、多様性を尊重します
    雇用、処遇、能力開発、配置、評価などあらゆる人事局面において、人種・国籍・年齢・性別・性自認・性的指向・思想等、個人の属性によるあらゆる差別を行なわず、様々な国の人材、文化、考え方を受け入れる多様性を尊重します。
  • 3) 法律を遵守し、公平・公正・透明な人事制度・人事施策を目指します
    各国の法律を遵守し、当社の理念である「個人の尊重」に基づき、公平性・公正性・透明性に最大限配慮した人事制度や人事施策の実行を目指します。
  • 4) 会社で働く人との対話を通じて良好な関係を作ります
    働く人同士の連帯と自由な意見表明を尊重し、直接・間接的な対話を通じて良好な関係を作り、風通しのよい職場風土・環境を築きます。
  • 5) 職場環境の整備に努めます
    労働安全、労働衛生の観点から、心身ともに健康で安全に働くことのできる職場環境の整備に努めます。
  • 6) クラレグループの発展に貢献できる人材の雇用に努めます
    高いモラルと倫理観を持ち、クラレグループの発展に貢献する、能力、知識、意欲のある人材を雇用します。
  • 7) 適材適所の配置を行います
    保有能力・知識、適性、能力開発の観点から、人材を適材適所に配置し、会社への貢献と個人の働き甲斐の最大化を目指します。
  • 8) 納得性のある評価・処遇を行います
    評価者との対話を通じ、職務、貢献・成果、態度・行動を重視した、納得性ある評価・処遇を行います。
  • 9) 能力開発を支援します
    職務を通じた能力開発を重視し、そのための適切な支援を行います。
  • 10)適切な情報開示とともにプライバシーの保護に努めます
    クラレグループで働くすべての人が、一体感を持って職務を遂行できるように、適切な情報提供を行うとともに、個人情報の取り扱いに関しては関連法規を遵守し、情報の紛失や漏洩の防止に努めます。

社員数 2022年12月末現在

  全体 男性 女性
クラレグループ全体 11,703名 9,438名 2,265名
クラレ単体 4,251名 3,711名 540名

離職率(クラレ単体) 2022年度

  退職者数 離職率
自己都合 86名 2.02%

人材育成

クラレグループでは、グローバル人事ポリシーに基づき、拠点ごとに、業務上必要な知識・スキルの獲得と社員の自律的なキャリア形成をサポートする人材育成制度を運営しています。
 また、クラレグループ全体で、グローバル人材を継続的に生み出す仕組みとして、国内外のグループ社員を対象とした「グローバル人材育成プログラム」を運営しています。

国内クラレグループにおいては、クラレ本社の他、各事業所、国内グループ各社においても、独自の人材育成プログラムを企画・実施して、社員のスキル開発・キャリア形成にきめ細かく対応しています。これらの育成プログラムは、正社員だけではなく、パート社員、契約社員も受講可能です。
 また、自己啓発による一定の公的資格の取得に対して、奨励金を支給する資格取得支援制度も設けています。

2020年度からは、ビジネス創出力強化を目的とした人材育成プロジェクト「クラレプライド」を開始し、新事業創出を考えるワークショップ、他社との交流研修、社内事業を社員が紹介するクラス、社外講師による多彩な講演会等を実施し、一部の講義は録画版を英訳の上、グループ全体に配信しています。

クラレ人材育成制度

階層別 新人~若手社員研修
・総合職/一般職 新入社員研修
・一般職社員 生産現場ベーシック研修(入社1年目,2年目,5年目)
・総合職社員 入社2年目フォロー研修
新人~若手フォロー制度
・アドバイザー制度
・メンター制度
昇格者研修
選抜型 経営幹部候補育成プログラム
グローバル人材育成プログラム
生産現場リーダー研修(基礎)
生産現場リーダー研修(専門)
生産現場マスター研修
DX人材(Goldクラス)育成プログラム
ビジネススキル・マインド

ビジネス創出力強化 「クラレプライド」

  • 自社製品・歴史を学ぶクラス
  • ビジネス創出実践クラス
  • マーケティングクラス
  • 他社との合同研修
  • 理念の浸透活動
組織メンバーとのコミュニケーションスキル研修
評価者研修
DXスキル教育
コンプライアンス教育
労務管理教育
知的財産教育
職種別プログラム
自己選択型

自律的な能力開発制度 (ALPACA)

  • 能力アセスメント
  • 外部ビジネススクール通学
  • オンライン講座
語学研修プログラム
通信教育・Eラーニング
MBA奨学金制度
キャリアサポート

キャリアを自分でデザインする研修

  • フレッシャーズ(入社3年目)
  • アーリーミドル(35歳)
  • ミドル(42歳)
  • シニア(50歳)
キャリアドバイザー制度

自律的なキャリア開発をサポートするしくみ

クラレでは、社員が自分のキャリア構築に積極的に取り組み、一人ひとりが生き生きと働く組織を目指して、『自律的なキャリア開発をサポートするしくみ』を導入しています。その一環としてフレッシャーズ(入社後3年目)、アーリーミドル(35歳)、ミドル(42歳)、シニア(50代)の4階層の社員向けに『自分でキャリアをデザインする研修』を実施しています。

2015年の制度開始から、合計約800名が研修を受講しました。
 研修後に、社内キャリアアドバイザーは受講生及び受講生の上司の方との面談も行って、キャリア目標実現に向けたサポートを行っています。

グローバル人材育成プログラム

クラレグループでは、世界を舞台に活躍できる人材を国内外で育成することを目的として、2007年度より「グローバル人材育成プログラム」を開始しており、2022年度までの15年間で国内外から約1,000名が受講しています。

なかでも、課長層を対象にグローバルリーダーシップ開発を目的としたGTT(Global Team Training) はこれまでに20回開催・受講者が約390名に達し、研修卒業生間のネットワークは、グループ内での国境を超えたコミュニケーションの促進に大きく貢献しています。

また、日本本社と海外子会社間で若手社員を3ヶ月限定で派遣するトレーニー制度も、利用者が100名を超え、利用者の多くは後日海外駐在するなど、グローバル人材として活躍しています。

能力開発時間

従業員が、1年間で能力開発にかける時間は、下表の通りとなっています(クラレ単体)。


2018 2019 2020 2021 2022
①従業員の能力開発総時間 283,142 299,920 278,538 259,525 318,303
・階層別 研修 30,661 41,279 37,761 34,421 67,302
・選抜型 研修 5,705 7,237 8,379 7,181 16,532
・グローバル人材育成 研修 9,754 11,678 5,402 7,358 8,975
・ビジネススキル 研修 65,705 60,443 50,648 45,077 47,656
・カフェテリア型 研修 20,408 24,320 35,486 28,028 32,150
・キャリアサポート 研修 4,904 6,364 3,136 3,696 6,232
・部署別教育 他 146,006 148,599 137,726 133,764 139,456
②一人当たりの平均時間数 58.2 60.0 55.3 51.9 61.5
③従業員一人当たりの平均日数 7.5 7.7 7.1 6.7 7.9

グループで一貫した人材基盤の整備

個人と組織の両方が生き生きとその能力を発揮できるよう、人材活用のグローバル全体最適を目指し、クラレグループで一貫した人材マネジメント基盤の整備に取り組んでいます。

グローバル共通の人事制度・人材情報システムの導入

グローバルに公平で効果的な人事施策を行うためには、グローバル共通の人事制度や人材データベースなどの人事基盤構築が不可欠です。

2022年度はジョブグレードのグローバル統合への第一歩として、一定層以上のジョブポストについて整備を行いました。また、報酬に関しては昇給率決定プロセスの統合、賞与に反映する評価指標(KPI)のルール化を行いました。

2023年度は管理職層全体のジョブグレードのグローバル基準を確立します。また、人材データベースについては、対象層の拡大、キャリア・トレーニング情報等の拡充を行い、人材育成や多様な人材の登用などに生かせる仕組みとしていきます。

公正・公平な人事諸制度

クラレ及びグループ各社では、年功や属人的要素ではなく、職務遂行能力の向上や業績・役割、高い目標へのチャレンジを処遇に反映する人事制度を導入しています。人事評価は上司と部下が面談のうえで、職務や能力開発上の目標を設定し、実績を評価する目標管理制度を取り入れており、評価者研修も継続的に実施しています。また、現状に甘んじることなく、前向きな姿勢や新しい視点を持って、失敗を恐れず挑戦する組織風土を醸成するため、個人の業績目標に「挑戦的な目標」を設定し、結果だけでなく、目標達成に向けたプロセス・行動を評価することを推奨しています。加えて、グループ一体での事業価値創出を推進するため、組織を越えた協業活動への積極的な参加を促しています。
今後も、処遇制度の納得性をより一層高めるよう、賃金・手当・賞与・勤務制度の各分野について見直しを継続していきます。

ダイバーシティ&インクルージョン

中期経営計画「PASSION 2026」においては、ダイバーシティ&インクルージョンの目的地を「多様な社員一人一人が生き生きと働き、失敗を恐れずに挑戦することで変化に対応しながらイノベーションを次々生み出し、成長を続けている会社」と定めました。多様な人材がそれぞれの能力を最大限に活かし、自分と会社の成長につなげていくために、クラレグループでは様々な方針、制度の整備や意識変容の促進を通じた支援を実施しています。

・ダイバーシティ&インクルージョン基本原則の策定

2021年度にグローバル共通のダイバーシティ&インクルージョン基本方針を策定しました。
クラレグループにおける「平等」「ダイバーシティ&インクルージョン」や防ぐべき「差別」を定義し、活力ある職場・文化にするための会社・人事・社員の役割を示しており、今後はこの原則の浸透と多様性推進のための具体的アクションを実施していきます。

・女性活躍推進のための取り組み

特に日本国内では女性活躍をダイバーシティ&インクルージョンの重点施策と認識し、採用人数増、職域の拡大、さらなる活躍支援の3点に継続的に取り組んでいます。2020年度は本社勤務の女性社員を対象としたキャリア研修や他社女性管理職を交えた座談会、2021年度は事業所勤務の女性社員同士の交流会を実施しました。そして、2022年度は本社勤務の女性をメンバーとして女性ならではの悩みや疑問を気軽にディスカッションできるコミュニティが発足しました。

・育児介護休職制度の整備

社員の育児・介護をサポートする制度を導入しています。育児休職は、保育園入園時期を考慮し、子どもが1歳を超えても休職が必要と認められる場合は、子が2歳に達する日まで取得できます。また、男性の育児参加を促進するため、男性の育児休職取得を推進しています。仕事と介護の両立支援については、介護休職制度の整備の他、介護に関する基礎知識の提供を行うなどしています。

育児休職・介護休職者数数【クラレ】
年度 育児 (うち男性) 介護
2020年度 84名 58名 1名
2021年度 93名 60名 4名
2022年度 83名 73名 3名

・配偶者海外転勤同行休職制度

配偶者の海外勤務等に同行する社員に対し、休職制度を適用し、配偶者の海外勤務等が終了した後に、クラレグループへの復職を可能とする制度を制定し運用しています。

・カムバック採用制度

家庭事情等により退職し、改めてクラレでの就業を希望される方に対する「介護休職満了者再雇用制度」「家庭事情による退職者の再雇用制度」に加え、2019年より新たに「クラレ・アルムナイ・ネットワーク」等を通じた「カムバック採用制度」の運用を開始しました。クラレで培ったキャリアにクラレ外での経験を加えて再度クラレで活躍していただけるよう、広く門戸を広げています。

・LGBTへの取り組み

クラレグループではダイバーシティ&インクルージョン基本原則において、性的指向によるあらゆる人事的差別を行なわず、互いに協力し合う職場環境をつくることを宣言しています。この実現に向けて、当事者への適切な対応や働きやすい職場作りを学ぶ人事部担当者向けのセミナーの実施、管理職向けハラスメント研修の中で性的指向による差別や嫌がらせの禁止の呼びかけなどを行っています。

・障がい者雇用

クラレの2022年6月時点の障がい者雇用率は2.39%で、継続的に法定雇用率を達成しています。国内4つの事業所で地域の福祉施設と連携して知的障がい者のための作業所を開設しており、作業所指導員向けの講習会や作業所指導員の情報交換会を実施する等、知識の向上や知見の共有にも努めています。

働き方改革の取り組み

クラレでは従業員一人ひとりが、仕事と生活の両立をしながら健康でいきいきと働き、成果を発揮できるような職場環境構築のため、働き方改革を推進しています。

・柔軟な働き方

生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、2018年度に在宅勤務制度、2019年度にフレックスタイム制度、2020年度に時間単位年休制度を導入しました。2022年度は、制度利用対象者の拡充や、条件付きでコアタイムに勤務しないことができるコアレス勤務の導入等、利便性を向上させるための制度改定を実施しました。

・長時間労働削減への取り組み

前日の終業から翌日の始業まで一定の時間以上空ける勤務間インターバルガイドラインを制定(インターバルは10時間以上)し、運用しています。
 今後は、育児介護休業法の改正(男性の育児休職取得)等による従業員のワーク・ライフ・バランスへの配慮の結果、一部で人手不足が生じる可能性があるため、必要な人員対応を行っていきます。
 また、各部署における適正人員を算出することで、適切な労働時間の中で、職場を安定稼働できるよう人員を確保するとともに、人材育成や退職者予定者からの技術継承に十分な時間確保ができる体制を構築できるよう進めていきます。

・適正な労働時間管理

勤務管理システムの基盤整備を進め、日々の労働時間を正確に申請するとともに、管理職を含むパソコンを持つ全社員のパソコン稼働時間との乖離を把握し、適正な労働時間管理に活用しています。これによって、一定時間以上の時間外勤務が発生した部署は、対象者への産業医面談等の健康面からの対応の他、「労働時間改善計画書」にて長時間労働の改善策を作成し時間外労働の削減を図ることとしています。

・有給休暇の取得率向上

年次有給休暇は取得率80%以上を目標に取得率向上を進めてきた結果、2022年度の取得率は93.7%でした。2023年度以降も、継続して取得率の維持・向上を図ります。

・グローバルでの取り組み

海外拠点でも、各国の法律に基づき、勤務時間管理やプライベート時間の確保を大切にする取り組みが行われています。また、地域をまたぐ国際的な協働が増える中、会議のコアタイムゾーンの設定等を定めた「クラレグループ- 海外とのリモート会議ガイドライン」を2022年に制定しました。

心身の健康管理への取り組み

・労働衛生基本方針について

クラレでは、クラレグループ人事ポリシーに基づき、労働衛生活動方針を定め、労働衛生活動を推進しています。毎年開催される「中央安全衛生協議会」では、労働衛生活動を担当する管理部門担当取締役が出席し、労使双方の出席者と労働衛生活動の現状と課題が協議され、それが翌年の活動に反映されていきます。

<労働衛生活動方針>

  • 会社は、社員の健康の維持・増進に向けて社内の仕組み・制度を整備し、社員一人ひとりが健康に対する意識を高め、活動することを支援します。
  • 会社は、社員が安心・信頼して働ける快適な職場環境を提供し、社員の健康確保を図るとともに、社員の健康状態に常に配慮します。
  • 会社は、健康情報等の個人情報の適正な利用・管理を徹底し、また法令を遵守して健康管理を推進します。

労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格の認証取得について、Kuraray Europe GmbHのTroisdorf site及びChemviron Italia S.r.l.のLegnago と Rhoサイトでは、ISO45001の認証を取得しています。
 また、(株)クラレは、2023年3月に「健康経営優良法人」に認定されています。

・メンタルヘルスケアへの取り組み

4つのケア(セルフケア・ラインケアなど)の取り組みを通じて、メンタル不調の低減に努めます。ストレスチェックをはじめ、予防のための研修実施や、カウンセリングなどの相談の仕組み、休職者の職場復帰のためのリハビリ出勤制度などを整備・推進しています。

・ハラスメントへの取り組み

パワーハラスメント、セクシャルハラスメントを中心とした各種ハラスメントへの取り組みを通じて、社員の心身の健康確保と職場環境の改善に努めています。発生防止のための研修実施や、ストレスチェック結果等の活用、相談窓口体制の強化などを推進しています。ハラスメント研修は、国内外のクラレグループ各社で実施されており、クラレでは管理監督者・一般社員の全員が受講しています。ハラスメント研修には差別に関する内容も含まれています。また2022年度には窓口担当者を対象とした研修を実施し、窓口担当としての対応力強化を図りました。

・健康づくりの支援

個別の健康指導や、健康づくり運動の推進などで、社員の健康意識向上を図っています。メタボリックシンドローム対策としては、社員が自主的に生活習慣改善に取り組む「ヘルスアップ作戦」を全社的に展開し、運動目標設定を必須とするとともに、特定保健指導での個別対策なども実施しています。特定保健指導の終了者率は37.1%(2021年度)となっています。また、改善が必要な社員の早期発見のため、法律を上回る内容で健康診断を実施しています。
 2022年には、コロナ禍影響による外出控え・運動不足への対策として、オンラインでの運動指導を、全国内グループ社員を対象に行いました。
 また、生活の質の向上と心身の健康改善を目的に、2023年より新たに、睡眠改善への取り組みを開始しています。