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製品安全・化学物質管理

製品安全

クラレグループの各事業部においては、製品の安全を確実なものとするため、日々の新製品開発や変更管理(原材料の変更、製造設備や条件の変更などを対象とした製品の安全性や性能発現への影響の評価)の際に、さまざまなリスクアセスメント手法を用いた評価やそれに基づく改善を行ない、製品の安全および品質を保証し、お客様へお届けしています。かつ、全社的に安全性の検討を要する製品および開発品(体内摂取されるもの、医療機器に使用されるもの、ナノマテリアルを使用するものなど)に対して、「重要案件に関するPL審議委員会規則」に基づきサステナビリティ推進本部を中心に審議委員会を組織し、製品の安全性の確認を経て、開発・上市する仕組みを構築しています。

2022年度も、この規則に定められた対象となる製品の開発・商品化に対して、社内有識者を集めたPL審議委員会で、販売先であるお客様・製造に携わる従業員・製品を使用する消費者の皆さまに対する安全性や環境への影響などを審議し、適切な対策を取ることを前提に開発・商品化を進めることを決定しました。また、より適切に対応できるよう、PL事故の判断基準やクレーム報告の基準を見直し、規定の改定を行いました。

クラレグループではこのように事業部ごとのリスクアセスメントに加え安全性に関する審議を必要とする事案のPL審議委員会による審議を通じて、お客様・消費者・従業員の皆様に対し適切な安全対策がとられた製品を供給します。

化学物質管理

近年、欧州ではグリーンディールの化学物質戦略として持続可能な化学物質戦略が公表されるなど化学物質の悪影響を最小限に抑えつつも、化学産業を持続的に発展させる新たな化学物質管理の在り方が求められております。当社におきましては、このような各国の取り組みを踏まえ、海外グループと連携して、最新動向の情報収集、化学品法規制への対応をはじめとした種々の取り組みを行っており、グループ全体での的確な管理を目指しています。

●管理体制
クラレグループでは、社内規定においてサステナビリティ推進本部担当役員がグループの化学物質管理を統括することを明確にしており、サステナビリティ推進本部は、コーポレート組織として、化学物質管理の全社的な仕組みの継続的改善に取り組んでいます。また、個々の製品については、製品をよく知る各事業部門が責任を担っており、製品の用途やお客様からの要望等に応じた、安全性の確認、法規制対応、サプライチェーンにおける化学物質情報の伝達等を行っております。事業部門とサステナビリティ推進本部は、連携しながらお客様に当社の製品を安全に使用いただけるよう、努めております。

●法令遵守、情報提供
【情報提供】
国内クラレグループでは、社外に提供される化学品について(自社内移動でも物流を委託する場合を含む)、全て安全データシート(SDS)を提供することを社内規定で定めております。3E社の「Global Incident Response Hotline Service」を2017年より契約し、海外向けの製品SDSには、緊急時に24時間、マルチ言語で対応できる電話番号を記載し、当社製品の海外における事故やお問い合わせに備えております。また、化学品の中でも特定の性状、有害性を持つ製品を輸送する場合は、イエローカード*を発行し物流業者様に提供しております。

* イエローカード:化学物質や高圧ガス輸送時の万一の事故に備え、ローリーの運転手や消防・警察などの関係者が取るべき処置を書いた緊急連絡カード

【法改正への対応】
以下、2022年度に実施した主な化学品関連法への対応事例につきましてご紹介いたします。今後も継続して、国内外の化学品に関する規制に適切に対応できるよう努めてまいります。
日本
労働安全衛生法(安衛法)、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)では、SDS記載義務のある指定化学物質が追加・変更となる改正が行われています。施行前にSDSに反映できるよう改訂作業を進めております。また、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法)、安衛法に対する新規化学物質届出、及び、化審法・製造数量等の届出を確実に行いました。
韓国
化学物質の登録及評価等に関する法律(化評法)に基づき、製造・輸入量1000t/年超の化学物質について期限の2021年末までに登録を完了させ、それ以外の対象物質についても、2022年以降順次登録・申請作業を行っております。また、登録済みの化学物質については、法で求められる書式を使用しお客様へ適切に情報提供を行っております。また、2021年より産業安全保健法(産安法)で新しく施行されたSDS提出制度におきまして、当社韓国グループ企業を代理人としてSDSを登録できる仕組みをクラレグループ内で新たに整備し、継続して対象SDSの登録を行っております。

【グローバル連携】
海外における法規制対応や、海外拠点で生産した製品の登録など、日本国外での対応が必要となる場面も増えています。当社では海外グループ企業に在籍するプロダクト・スチュワードシップマネージャーや法規制対応の担当者と連携し、各国の化学品関連法規制の改正状況や運用状況に関する情報収集を行い、適宜情報共有、検討を行っています。また、法規制検索ツールや管理ツールに関してグローバルで共通化を図っており、グループ全体で効率的に確実な対応ができる体制を目指しております。

●教育
サステナビリティ推進本部と事業部(化学物質管理責任者、担当者等)の情報共有の場として、「化学物質管理連絡会」を設けており、2022年度は国内において4回開催しました。ここでは、参加者の化審法・安衛法等をはじめとする国内外の化学品規制の知識を深めるとともに、自主的な管理活動も取り入れた新たな社内ルールや具体的な対応方法等の周知・教育等を行っています。2022年度は海外拠点に向けても、同様の会議を2回、オンラインで開催しました。
また、化学物質管理の重要な要素であるリスク評価や法規制の最新動向を学ぶ機会として、日本化学工業協会主催の「ケミカルリスクフォーラム」のWeb配信を活用しております。Webで受講できることもあり、事業部の化学物質管理責任者だけでなく、事業所の担当者等、社内の幅広いメンバーが多数聴講しています。

●化学物質管理システム
国内クラレグループでは、ITツールによる化学物質管理を行っています。社内データベースに登録した原材料や製品等の含有化学物質情報と、法令・化学物質の安全性情報等の外部データベースを連携させることにより、関連する法規情報や危険有害性情報の取得、SDS等の作成ができる仕組みを整備し、お客様への情報提供を行っています。