生産技術開発/設備技術開発
自分たちが生み出した新素材で、
世界における水問題の解決に貢献する
技術開発センター 化学プロセス開発グループ
吉利 司
2010年入社
工学部 環境プロセス工学科修了
私の仕事

クラレが力を注いでいる事業の一つが中空糸膜。これによって水の浄化への貢献をめざす。特に水の確保が問題となっている新興国では中空糸膜に対する期待は大きく、より低コストで品質の良い製品が求められています。

機能性を高めた中空糸膜の量産化技術の確立をめざす

クラレは早くから中空糸膜の製品化に取り組み、これまでに競争力のある製品を送り出してきました。私が現在担当しているのは、機能性をさらに高めた中空糸膜の量産化技術の確立です。
ひとくちに中空糸膜といっても、そのニーズは地域によって異なります。たとえば、アジアの新興国では上水道の普及が途上にあることから、川や井戸の水を浄化して飲用としています。この際、コストの問題から中空糸膜を薬剤で洗浄して何度も再利用することがあります。ところが、従来の中空糸膜の多くは薬剤に弱いのが難点でした。この課題を解決して、対薬剤性を高めたのが現在開発中の製品です。これを実用化することで、水資源の活用においてこれまで以上に貢献できるのではないかと考えています。

チームワークを活かすことで想像以上の力を発揮

機能性に富んでいる新製品ですが、その反面、量産化には険しい道が待っていました。化学製品ではしばしばありがちなことですが、ラボスケールでは問題なく作ることができるものの、製造のスケールを大きくした途端に同じものができないという壁に突き当たりました。中空糸膜はいわばミクロの穴が開いた極細のチューブの集合体であり、射出成形には高度な技術が求められます。
特に今回の新製品は高いハードルを越える必要があり、研究開発や生産技術のメンバーが一体となって、原料の見直しを含めて課題の克服に挑んでいるところです。すでに発売のスケジュールが明らかになっている中で、時間との闘いではありますが、だからこそ全員が力を合わせてパワフルに動いています。いざという時に一人ひとりが自らの責任をしっかり果たすとともに、チームワークを活かすことで想像以上の力を発揮できる。それがクラレの強みだと思います。

生産技術はさまざまな分野の専門家をつなぐ「技術の通訳者」

今回のプロジェクトに関して、私はラボでの研究段階から関わり、一貫してスケールアップに取り組むことができ、やりがいのある仕事となっています。それだけにだれよりも新製品に通じているという自負のもと、製品化に向けてベストを尽くす覚悟です。そして、信頼して任せてくれた上司や周囲の仲間のために、何としても世の中に送り出します。
 生産技術の仕事とは、さまざまな分野の専門家をつなぐ、「技術の通訳者」です。専門が異なると考え方はもちろん、用語の使い方も異なる場合があります。そうしたときに間に入って互いの意思疎通を図り、プロジェクトがスムーズに進むようにするのが私の使命だと考えます。仕事を通じて自分の知らない専門分野の技術者と交流し、新たな知識と知見を得て、自らの成長につなげていくのは技術者としてとても魅力のあることです。また、それが可能なクラレのビジネススタイルに満足しています。
 世界は経済発展の陰で水資源の安定した確保が大きな問題です。中空糸膜はこれに貢献できるとともに、ビジネスとして大きな成長が見込める分野です。まずはこの分野を極めて、「中空糸膜なら吉利に聞け」と言われる存在になりたいですね。そして、日々挑戦の連続という中で自らの技術を磨き、中空糸膜にとどまらず幅広い分野で生産技術のプロとして信頼される存在をめざしていきたいと思います。

学生へのメッセージ

「今これをやっておけ!」

これからの時代、新たな技術や製品を生み出すためには異なる分野の技術融合が欠かせません。そこで重要なのは、異なる専門分野同士を仲介できる通訳者の存在です。分野の異なる技術者が仕事の上でコミュニケーションをとるのは難しいもの。だからこそ、両者の間を取り持つことのできる専門家が必須なのです。学生の皆さんは自らの専門分野を極める一方、幅広い分野に関心を持ち、研究開発をリードできる「技術通訳者」をめざしてほしいのです。