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クラレトレーディング株式会社
(クラレグループ)

クラレトレーディング株式会社(社長:吉野博明、本社:大阪市北区)は、保香性に優れるバリア性樹脂を内面材に用いたものでは初めて、ジッパー付きの包装袋を開発しました。
株式会社クラレのガスバリア性樹脂<エバール>を包装袋の内面材に使用することにより、一般的なポリエチレンなどを内面材に使ったものに比べ香りや薬効成分の吸着が抑制されるため、品質の長期間保持が可能となります。また、ジッパーによる再封機能を付与したことにより、開封後に使い残した内容物の保存にも適しています。今後、食品や薬品、化粧品、トイレタリーなど幅広い分野での用途を開発し、マーケティングを進めてまいります。

開発の背景

<エバール>を使ったジッパー付き保香包装袋(左側:コーヒー豆、右側:ポプリ)

  • バリア性と再封機能が要求される保香包装袋は、バリア層の内側にポリエチレンなどの層を設けたものが一般的。
  • ポリエチレンなどの内面材は香り・薬効成分を吸着するため、あらかじめ内容物の成分を増やしておく必要あり。
  • 香り・薬効成分の種類によっては、内面層とバリア層との間で剥離現象(デラミネーション)が発生し、包装材の手切れ性が悪化。
  • これまでバリア性内面材(バリアシーラント)に接着可能なジッパーがなかったが、新たに当社と富士特殊紙業株式会社(社長:杉山仁朗、本社:愛知県瀬戸市)が共同で開発することにより、再封機能付き保香包装袋の製造が可能に。

主な特長

  • <エバール>のバリアシーラントが香り・薬効成分の吸着を抑制するため、内容物の成分を長期間保持。
  • 開封後もジッパーによる再封が可能。(内容物が液体の場合を除く)
  • 香り・薬効成分の種類によっては発生し得る包装材のデラミネーションを抑制。

想定分野・用途

分野 想定用途
食品 香辛料、嗜好品類(コーヒー豆、茶葉など)
薬品 湿布薬、防虫剤、塩素系消毒剤、医薬分包
化粧品 美容液、乳液(小容量パックの包装用)
トイレタリー他 芳香剤、消臭剤、各種香料

参考資料

<エバール>と汎用素材との香り・薬効成分の吸着量の比較

香り成分 状態 単位 <エバール> 低密度ポリエチレン ポリプロピレン
d-リモネン
(レモンの香り)
液相(※1) ppm 280 1480 2040
1-メントール
(ハッカの香り)
気相(※2) mg/cm² 0.3 53 97
サリチル酸メチル
(湿布の薬効成分)
気相(※2) mg/cm² 2.9 144 161

以下の自社測定法に基づき計測。

  • ※1 香り成分を0.5%含むエタノール溶液に、フィルムを20℃で2週間浸後、エタノール溶液を分析し、フィルムへの吸着により減少した成分の質量を計測。
  • ※2 40mgの香り・薬効成分を試験管に入れ、20mgのフィルムを成分と接触しないように密栓し、20℃で2週間放置後、フィルム中の成分の質量を計測。

<エバール>使用の保香包装袋の断面イメージ図

包装材の剥離現象の断面イメージ図

会社概要

社名 クラレトレーディング株式会社 富士特殊紙業株式会社
本社 大阪市北区角田町8-1
梅田阪急ビル オフィスタワー
愛知県瀬戸市暁町3-143
代表者 代表取締役社長 吉野博明 代表取締役社長 杉山仁朗
資本金 22億円(クラレ100%) 2億8,000万円
設立 1961年10月 1950年3月
主な事業内容 化学品・化成品・繊維資材・繊維製品などの製造・加工・売買および輸出入 食品包装向けパッケージの製造・販売

<エバール>専用ジッパーについて

  • グレード名「TZ-EV」
  • 富士特殊紙業株式会社が製造。
  • 特殊三層ラミネートフィルムをジッパーの基材部分に使用することにより、<エバール>との接着を可能に。

<エバール>について

  • EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)樹脂のクラレの商標。
  • 1972年にクラレが世界で初めて工業化した、プラスチックの中で最高レベルのガスバリア性を持つ機能性樹。
  • 酸素を遮断して内容物の劣化を防ぐことから、マヨネーズやケチャップのボトル、カラシやワサビのチューブなど各種食品包装材に普及。ガラス製容器を代替することで軽量化を実現し、輸送コストの削減に貢献。
  • 揮発ガソリンの漏洩を防止することから、自動車用ガソリンタンクの樹脂化を可能に。自動車の軽量化および省エネ化に貢献。
  • 壁紙や床暖房用パイプ、冷蔵庫用真空断熱板など、広範囲に展開。
  • 日本(岡山)、米国(ヒューストン)、ベルギー(アントワープ)の3拠点で生産し、クラレの世界シェアは65%。

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以上