ニュース

株式会社クラレ
クラレトレーディング株式会社

株式会社クラレ(社長:伊藤 文大 本社:東京都千代田区)とクラレトレーディング株式会社(本社:大阪市北区、社長:吉野博明)はこのたび、分散染料(*1)を使って、従来と比べ25℃低い温度(105℃)で染色可能なポリエステル長繊維<ピュアス>を開発しました。<ピュアス>は、染色工程におけるCO2発生量を約20%削減し、なおかつ従来品と同等の染色堅牢度と繊維強度を有する画期的なポリエステル長繊維です。2012年春夏シーズンよりスポーツ分野やブラックフォーマル分野を始め一般衣料、資材用途を対象として本格的に販売展開を図ります。
低炭素社会の実現に向けクラレトレーディングは、同社が提供する商品やサービスの中でCO2削減効果の高いものや環境改善に役立つものに<エコトーク>ブランドの名称をつけて2009年度より販売しております。クラレトレーディングは<ピュアス>を同ブランドにおける基軸製品として位置付けるとともに、将来的にはクラレグループのポリエステル製品の全ての<ピュアス>への置き換えを目指します。

1.主な特長

<ピュアス>十字断面糸の拡大写真

  • クラレ独自のポリマー変性技術(*2)により通常のポリエステル繊維より25℃低い温度(105℃)での染色が可能であり、染色工程におけるCO2発生量を従来品比で約20%削減(当社測定データによる)することができます。
  • 汎用の分散染料で染色可能であり、通常のポリエステル長繊維と同等の染色堅牢度を有しています。
  • 繊維強度は通常のポリエステル長繊維と同等です。
  • アルカリ減量(*3)の実施が可能であり、高感度な風合いが求められるファッション用途への展開が可能です。
  • 高速紡糸での生産が可能であり、紡糸工程でのCO2発生量は通常の高速紡糸ポリエステル長繊維と同等です。
  • *1 ポリエステル繊維の染色に最も一般的に使用される合成染料の一種。
  • *2 ポリエステル繊維はテレフタル酸とエチレングリコールの重合反応によって作られます。同繊維の改質を行う場合、第三成分(共重合モノマー)を添加する手法が多く用いられます。
  • *3 アルカリ減量は、織物組織に空隙を生じさせることで、柔軟性、ふくらみなど高感度の風合いをもたらすもので、婦人ファッション衣料向け生地の製造には不可欠な手法となっています。

2.生産開始時期、生産品目

<ピュアス>十字断面糸の拡大写真

  • 生産開始時期: 2011年上期を予定
  • 生産品目: 生産開始当初は、以下の品目を先行して生産する予定。
原料ポリマー セミダル、フルダル、ミクロクレーター(*4)の3種類
断面形状 丸および十字の2種類
太さ 84デシテックス(*5)および167デシテックスの2種類
  • ブライト、セミダル、フルダルなど全てのタイプ、また丸断面、異型断面など従来のポリエステル長繊維と同じ形状の原糸を生産可能。
  • *4 繊維に酸化珪素などの物質を練りこんだあと、溶解除去することで繊維表面に1ミクロン前後の孔(クレーター)を無数に生じさせる手法。光の散乱を抑える効果からブラックフォーマルの黒さの向上に有効な技術。
  • *5 繊維の太さを表す単位。1デシテックス=1万メートルの長さで1gの繊維、と定義されています。

3.主な展開分野

  • 一般衣料用(ブラックフォーマル、スポーツ衣料、ユニフォーム、婦人衣料など)
  • 資材用(自動車内装材など)

4.販売目標

初年度:100トン、3年後:1,000トン(原糸換算販売量)

5.今後の展開

クラレトレーディングは<ピュアス>を<エコトーク>ブランドの基幹素材として位置付け、ポリエステル長繊維の染色工程における省エネへの貢献を目指してまいります。将来的にはクラレグループが生産・販売するポリエステル長繊維の全量の<ピュアス>への置き換えを目指します。

以下のURLで、<エコトーク>ホームページを開設しております。

【ご参考】

<ピュアス>の技術的概要
  • (1)分散染料を使用して105℃の条件下での染色が可能であり、染色工程で約20%のCO2削減(電力で約12%、ボイラー重油で約20%、水約19%で総合的に約20%、数値;当社測定)が得られます。
  • (2)従来品とほぼ同等の強度・伸度を有しています(下表参照、数値;当社測定)。
      糸種 強力(cN) 伸度(%)
    <ピュアス> セミダル175T48仮撚加工糸 585 32
    従来品 セミダル175T48仮撚加工糸 580 27
  • (3)ブライト、セミダル、フルダルなど全てのタイプ、また丸断面、異型断面など従来のポリエステル長繊維と同じ 形状の原糸を生産可能です。

※ 報道関係者様向け画像ダウンロードサービス

報道関係者様に限り、画像をクリックしてダウンロードの上ご利用いただけます。
ご利用に際しては、当社IR・広報部までご一報ください。

以上