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株式会社クラレ

当社は、独自技術により開発したアクリル系熱可塑性エラストマー(以下、新規エラストマー)の量産設備(年産5千トン)を、新潟事業所(新潟県胎内市)に設置することを決定しました。
「新規エラストマー」は、「透明性」「柔軟性」「接着性」などの特長を有し、その特長を生かした光学および成形材料分野での市場展開が有望視されています。
当社は、「新規エラストマー」の2018年における事業規模を100億円と定め、同事業の展開を本格化します。

「新規エラストマー」とは

  • メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)のブロック共重合体
  • MMAが持つ「透明性」「耐候性」とBAが持つ「柔軟性」「接着性」など双方の特長を有する熱可塑性エラストマー
  • 当社が独自技術によって世界で初めて工業化に成功したオンリーワン素材
  • 既存の材料では満たされないニーズに応えうる「未来に化ける新素材」の一つ

本格展開の背景

  • 当社は、スチレン系エラストマー<セプトン>、ウレタン系エラストマー<クラミロン>を事業化してきました。
  • さらに当社は、2004年度以降、当新規エラストマーのパイロットプラントを建設し、市場開拓および量産技術の確立を進めてきました。
  • 市場面では「粘着剤」「フィルム・導光部材」「成形材料」の3分野において手ごたえを得ており、量産技術面でも課題を克服したため、事業展開を本格化するにあたり、年産5千トンの量産設備の設置を決定しました。

本格展開の概要

(1) 当面のターゲット領域と主な用途

ターゲット領域 代表的な用途 備考
(1) 粘着剤領域 各種フィルム、テープ用 脱溶剤化、架橋工程省略
(2) フィルム・導光部材領域 LED照明などのライトガイド 透明性と柔軟性の両立
(3) 成形材料領域 家電筐体、パッキン、グリップ等 意匠性、接着性、塗装性

(2) 量産設備

所在地 新潟県胎内市倉敷町2-28
生産能力 5千トン/年
従事者数 約20人
スケジュール 2011年8月完工 2011年9月稼働開始予定
投資額 約50億円
なお、新潟県のご協力を得て、産業立地促進事業補助金の交付を受ける予定です

(3) 将来構想

さらなる用途開拓を進め、2015年売上60億円、2018年売上100億円を目指します。

以上

【参考資料】

関連写真

ライトガイド (1)ライトガイド

透明で柔軟な成形シート (2)透明で柔軟な成形シート

新潟事業所 (3)新潟事業所

新規アクリル系熱可塑性エラストマーについて
  • (1) メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)とからなるブロック共重合体。
  • (2) 当社のスチレン系熱可塑性エラストマー<セプトン>と同様のハード-ソフト-ハード構造を有する。
  • (3) 独自のリビングアニオン重合技術や特殊反応機による高効率生産技術によって、当社が世界で初めて工業化に成功した。
  • (4)MMAの「透明性」「耐候性」、BAの「柔軟性」「接着性」といった様々な特長を併せ持ち、既存の材料では満たされないニーズ向けに新しい素材として展開できる可能性が高く、将来の大きな潜在需要を持つ。
当面のターゲット領域
(1) 粘着剤領域(脱溶剤化、架橋工程省略)
現存のアクリル系粘着剤はほとんどが溶剤型で架橋工程が必要であるのに対して、本新規エラストマーは無溶剤で環境にやさしいホットメルト塗工が可能である。架橋工程が不要なため、部材製造のスピードアップ・コストダウンにも寄与できる。
(2) フィルム・導光部材領域(透明性と柔軟性の両立)
耐衝撃アクリル樹脂並の優れた透明性を有し、かつ柔軟である。フレキシブル特性が要求されるLEDライトガイドなどのこれまでにない新しい用途も含めて展開が期待できる。
(3) 成形材料領域(意匠性、接着性)
熱可塑性エラストマーは、単なるゴム代替から意匠性など生活の質向上に寄与する機能も求められている。新規アクリル系熱可塑性エラストマーは「透明性」「柔軟性」「高耐候性」といった特長から意匠性が高く、優れたデザイン性や風合い、品位を持つ素材としての需要も見込まれる。また、グリップ類などに加工する場合、「接着性」を生かした装着部分との一体成形が可能なため、製品製造のコストダウンにも寄与できる。

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