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クラレファスニング株式会社
(クラレグループ)

面ファスナーの<マジックテープ>や<マジロック>を製造・販売するクラレファスニング(株)(本社:大阪市、社長:高岡 光彦)は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する「宇宙オープンラボ」制度に参加していましたが、このほど国際宇宙ステーション(=以下ISS)滞在中に土井飛行士が着用する船内被服に当社面ファスナー<マジックテープ>を使用することが決定されました。

「宇宙オープンラボ」の共同研究テーマのひとつである『「近未来宇宙暮らしユニット」(リーダー:多屋淑子/日本女子大大学院・家政学部被服学科教授)』(以下「ユニット」)ではISSで人が快適に生活するための生活支援を目指し、船内被服の様々な研究・開発を行って来ました。
「ユニット」における宇宙船内用日常服開発において、宇宙船内での安全性と着心地の良さが要求される宇宙仕様素材の開発の一環として、当社の持つ<マジックテープ>の<ニュー・エコマジック>(*)耐熱タイプが採用されたものです。

この<ニュー・エコマジック>耐熱タイプは、高耐熱性と難燃性を持ったPPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維を使用しており、かつ環境有害物質を含まないため、宇宙船内で要求される安全性・オフガスの点でも優れています。また、ソフトな風合いにより動作時の違和感が少ないという長所があります。シャツ・パンツ・ズボン・トランクス型下着・靴下から構成される船内被服のうち、半ズボンと長ズボンの脚部側面に使用され、無重力空間において着脱可能なアウターポケットや物品(ノート・鉛筆等の文具類、食事用トレイ等)の固定に役立つように工夫されています。

当社は、今後さらに環境対応型生産方式による面ファスナー<ニュー・エコマジック>を拡大展開し、地球の環境保全に努力するとともに、航空・宇宙分野の発展にも貢献していきたいと考えています。

  • (*) <ニュー・エコマジック>とは2002年、裏面補強用のバックコート剤を有機溶剤型から無溶剤型に変更。さらに2004年、バックコート剤そのものを使用しない新生産方式を確立。その方式で開発・生産した、高品位・高品質が得られる環境により優しい<マジックテープ>のこと。以前の有機溶剤型バックコート剤使用の生産方式に比べ、素材製造から廃棄に至る全ステージにおける温暖化ガス排出量(CO2換算)で、約30%(標準品ベース、当社計算値)の削減効果がある。

1. <ニュー・エコマジック>耐熱タイプ特徴

  • (1) 製品構成はPPS繊維90%以上なので、250℃までの高温に耐える。
  • (2) 高温環境下(200℃×24時間)に曝した後も、面ファスナーの係合力低下は極めて少ない。
  • (3) PPS繊維主体、かつバックコート剤を使用していないので、自己消火性があり自動車用燃焼性試験(FMVSS水平法)、航空機用燃焼性試験(FAR.PART25.853B)に合格する。燃焼時の発煙量も従来耐熱製品と比較して少ない。
  • (4) 従来の生産工程と比べ、リードタイムの大幅な短縮が可能である。

2. 「宇宙オープンラボ」制度

主催 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
目的 ユニークなビジネス・アイデアや、優れた技術を持つ企業等と、宇宙に関する技術的知見を有するJAXAの連携で、新しい宇宙ビジネスの創出や地上技術の宇宙応用を目指すプログラム。
仕組み ホームページへの登録により参加でき、ユニットとして認定されるとJAXAからの技術的アドバイスを受けられるほか、優れた提案として採択された場合はJAXAの研究資金を活用できる。

3. 「近未来宇宙暮らしユニット」

ユニットリーダー 日本女子大学 多屋淑子教授
目的 従来宇宙開発に関与していなかった民間企業や宇宙開発経験のある企業それぞれの技術力を合わせて、宇宙飛行士が宇宙船内でより快適に生活できることを目標に、宇宙船内に必要とされる様々な機能を有する新しい船内被服を開発すること。
参加企業 株式会社ゴールドウインテクニカルセンター、株式会社島精機製作所、クラレファスニング株式会社、東レ株式会社、有人宇宙システム株式会社