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クラレケミカル株式会社
(クラレグループ)

<クラセップ>

活性炭の総合メーカー、クラレケミカル(株)(本社:大阪市、社長:港野 尚武)は、このほど空気を原料にして窒素と酸素を従来品に比べより効率的に分離することができる新タイプの分子篩炭(ふるいたん)(=MSC、特殊機能性活性炭)を開発しました。その分子篩炭を採用し、サイズを40%コンパクト化した窒素発生装置<KURASEP>(クラセップ)RKNシリーズを2006年6月から新発売します。これにより、従来液体窒素を使用していたユーザーは、液体窒素のタンク・ボンベも不要で、より狭い工場の敷地面積で窒素を発生させ利用することが可能になります。

また、オプションとして当装置に、業界初の省エネ・純度安定化システム<KURASEP>(クラセップ) i(アイ)システム(特許出願中)をアタッチすることにより、消費電力を従来品より最大40%カットでき、また窒素ガス流量の変動に伴う残存酸素濃度を安定化させることも可能です。ボディの塗装には無溶剤の粉体塗料を使用しており、環境にも配慮した装置です。

窒素発生装置の用途は、食品加工分野での食品の変質防止、機械・金属分野でのレーザー加工機の無酸化切断、真空熱処理や焼き入れ・光輝熱処理等、化学分野での樹脂の射出成型、製品の酸化防止と防爆防燃、電子部品製造での実装用フロー・リフローはんだ付け、鉄鋼分野でのエアー遮断・吹練攪拌用など多岐にわたりますが、最近はプリント基板実装工程での鉛ハンダフリーを実現する装置として注目を集めています。環境保護の見地から鉛ハンダフリーが世界的に本格化しつつあり、無酸素に近い状態にすることで濡れ性がよくなり、鉛フリーで品質の安定・向上を図ることが可能となります。

当社は、分子篩炭によるPSA方式窒素発生装置<KURASEP>を1980年に販売開始し、販売台数は累計2,000台に達しています。国内シェアは十数年にわたりトップを維持しています。また、中国には2002年から岩谷産業(株)と共同で、業界に先がけ上海と広州にメンテナンス拠点を設け、中国市場への対応を図り実績をあげています。

当社では発売に先立ち、「第35回インターネプコン・ジャパン」(会期:2006年1月18日(水)~20日(金)、会場:東京ビッグサイト)に出展します。

1. <KURASEP>(クラセップ)RKNシリーズの概要

1) 特長

  • (1) 窒素と酸素の分離効率の高い分子篩炭の開発により、装置を40%コンパクト化。工場の狭い敷地面積でも有効に使用することが可能。
  • (2) 省エネ・純度安定化システム<KURASEP>(クラセップ) i(アイ)システムをオプションとしてアタッチすることにより消費電力を従来品より最大40%カットすることが可能。
  • (3) 有機溶剤を使わない粉体吹き付け塗装により、環境対応を図っている。

2) サイズ(従来機種RK-15とRKN-15の比較)

  従来機種RK-15 新型機種RKN-15
窒素発生量 20.0Nm³/H 20.0Nm³/H
外形寸法(横×高さ×奥行mm) 1750×1900×800 1250×1720×700

※RKN-15の他、RKN-22(窒素発生量30.0Nm³/H)、RKN-30(窒素発生量40.0Nm³/H)の3機種を発売予定。

3) 販売価格

数百万~1千万円/台

4) 販売目標

初年度 5億円
3年後 10億円
[窒素発生装置PSAとは…]
窒素を発生させる装置には、深冷分離(沸点の違いを利用)、膜分離、PSA(圧力スイング吸着)などがありますが、PSAは常温で空気を分離できる維持管理の容易な発生装置として国内外に広く認知されています。性能も94%から99.999%まで純度に応じて製造が可能です。
PSAは活性炭の中でも、空気中の窒素と酸素の分子を分離できる分子篩炭を使用します。活性炭の狭小化した微細孔径により、窒素(4.2×3.0Å)と酸素(3.8×2.8Å)の分子の大きさによる吸着速度の差を利用するもので、吸着初期は吸着速度差が大きいため、その初期の短時間(1~2分)のうちに窒素と酸素を分離します。吸着時に加圧すると分子の小さい酸素が吸着され、減圧すると吸着した酸素が脱着されます。分子篩炭を充填した2つの槽で吸着-脱着を交互に繰り返せば、連続して窒素を分離することができるわけです。

2. <KURASEP> i システムの概要

1) 特長

(1) 大きな省エネ効果
製品窒素ガス流量に応じて原料空気の消費量を削減することが可能となり、空気圧縮機の消費電力を抑制して省エネを実現。
(2) 酸素濃度の安定
製品窒素ガス流量の変動に伴う残存酸素濃度を、設定の±30%以内で常時安定化する。基盤実装分野では不安定な酸素濃度は実装不良の一因となる。

クラレケミカル(株)の会社概要

本社 〒530-8611 大阪市北区梅田1-12-39 新阪急ビル9F
TEL:06-6348-9610(代)
社長 港野 尚武
設立 1940年
資本金 6億円((株)クラレ全額出資)
従業員 220名(2005年12月現在)
事業所 大阪本社、東京事業所、福岡営業所、鶴海工場(岡山県備前市)、セナプロケミカルコーポレーション(合弁会社)(フィリピンセブ島)、可樂麗化学(寧夏)環境化工有限公司(独資)(中国寧夏回族自治区)
業務内容 活性炭の総合メーカー。活性炭事業、機能性活性炭事業、装置事業等