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株式会社クラレ

株式会社クラレ(本社:東京都千代田区、社長:和久井康明)は、高いガスバリア性と、耐レトルト性、優れた二次加工性などを併せ持つ、新しいレトルト食品包装用透明バリアフィルム<クラリスタ(KURARISTER)>の開発に成功し、生産設備の新設に着手しました。

今回開発した新バリアフィルム<クラリスタ>は、当社が<エバール>(*)事業で培ってきた世界最高レベルにあるバリア材技術をベースに、独自開発した特殊複合材をポリエステルフィルムにコーティングした新素材です。
<クラリスタ>は、優れたガスバリア性(1日あたりの酸素透過量が1cc/m²以下)と、高い透明性、耐レトルト性(135℃、60分の加熱殺菌処理が可能)を兼ね備えています。これら<クラリスタ> の特長のうち、特に高度な耐レトルト性については、これまで市場のニーズが高かったものの、EVOH樹脂を始めとする既存素材ではレトルト処理後の高バリア性との両立が困難でした。また<クラリスタ>はフィルム表面への印刷やラミネート(貼りあわせによる複層化)など二次加工工程での取扱いも容易です。

* <エバール>
当社が世界で初めて事業化したEVOH樹脂(エチレン・ビニルアルコール共重合体)。
プラスチックとしては最高レベルのガスバリア性(汎用ポリエチレンの約1万倍)を生かして、<エバール>樹脂・フィルムは食品の保存性に優れた透明包装用の材料として、世界的に需要が拡大している。

当社は<エバール>樹脂・フィルムの事業化以来、ガスバリア性素材のリーディングカンパニーとして米国・欧州など世界市場を開拓し、その市場は年率2桁成長の伸びを示しています。
今般の新規バリアフィルム<クラリスタ>の事業化により、当社のガスバリア材事業の更なる成長に拍車が掛かるものと期待しています。当社は、今後も新技術の開発や品質向上を積極的に進め、高機能ガスバリア材分野で世界をリードする企業グループを目指してまいります。

  • * 当社は<クラリスタ>の市場への展開の加速化を目指し、9月1日付でプロジェクトチーム(チーム名:クラリスタプロジェクト推進チーム)を発足します。

1. <クラリスタ>の特長

  • 耐レトルト性(135℃、60分の高温加熱殺菌処理が可能)
  • レトルト処理後の高いガスバリア性(1日あたりの酸素透過量が1cc/m²以下)
  • 高い透明性
  • ラミネート及び印刷加工時の良好なハンドリング性

2. <クラリスタ>の開発背景・市場展開

レトルト食品市場は、独身世帯やコンビニエンスストアの拡大等によるライフスタイルの変化から拡大の一途をたどっています。また、近年の包装材料の形態は金属缶などからプラスチックパウチ等、軽量の軟包装材への切替えが廃棄物減量の観点から進行しています。現在レトルトパウチの世界市場規模は包装材料の面積あたりで5億m²以上(当社推定)であり、今後も着実に拡大するものと見込まれます。
現在、レトルト食品の包装材料の主流はアルミ箔を使用した積層フィルムです。今後、下記のような理由により、プラスチックバリアフィルムをアルミ箔の代替として使用した透明積層フィルムが市場において伸長していくことが期待されています。

  • 袋ごと電子レンジの使用が可能。
  • 金属探知機による異物検査が可能。
  • 焼却時の残渣が発生しない。

3. <クラリスタ>の今後の開発

今回開発した<クラリスタ>は、ポリエステルフィルムをベースに当社独自開発のバリアコーティングを施した製品です。尚、現在ナイロンフィルムなど他素材をベースとしたフィルムの開発も進めており、今後、高付加価値バリアフィルムとして<クラリスタ>製品ラインアップに加えていく予定です。

4. 販売構想

2006年度 売上 3億円
2008年度 売上 18億円

5. 設備投資の概要

場所 クラレ玉島株式会社
岡山県倉敷市玉島乙島7471番地
(社長:西口 克彦、資本金1,000万円 クラレ100%)
設備能力 年産5,000万m²
稼働開始 2006年7月
設備投資額 約10億円