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株式会社クラレ
クラレトレーディング株式会社

ミントバール溶解前 <ミントバール>溶解前
ミントバール溶解後 <ミントバール>溶解後

クラレトレーディング株式会社は、株式会社クラレが世界で初めて開発した、特殊水溶性樹脂<エクセバール>を溶融紡糸して作られた水溶性糸<ミントバール>を用いて、特殊複合加工糸<セルナーレ>を開発、6月1日より本格販売を開始します。

<セルナーレ>は、水溶性糸<ミントバール>と、紡績糸やスパンデックス糸を複合加工して作る水溶性複合加工糸です。この糸加工には特殊な技術が必要であり、当社と浅野撚糸株式会社との間で2年余りかけて共同開発し完成させました。織編物の染色または整理加工の際、<セルナーレ>中の<ミントバール>のみが溶けて無くなり、残った織編物に伸縮性が付与されるのが特長です。

<ミントバール>は、クラレグループが進めているポリエステル繊維事業の「独自ポリマー化」戦略の一環として開発されたものです。この<セルナーレ>の発売に当たり、<ミントバール>の量産を開始します。

<セルナーレ>の特徴としては、下記3点が主に挙げられます。

  • (1) 水溶性糸<ミントバール>が補強の役目を果たし、無撚に近い紡績糸や細番手の糸のような強力の弱い糸でも編・織が可能になるため、細番手で高密度な生地を作ることができます。
  • (2) 熱水溶解後にできる空隙により、通気性・軽量・膨らみといった独特の風合い感を作ることができます。
  • (3) 熱水溶解後、残った原糸は自由度が増して、良好な伸縮性のある織編物を作ることができます。特にスパンデックス糸を用いたものに顕著です。

これらの特長により、従来の紡績糸のストレッチ糸とは一線を画した新しい風合い・質感を持った素材が可能になります。今後も<セルナーレ>を独自の高機能素材として位置付け、商品開発・用途開発を進め、日本発の新しいもの作りに貢献していきます。

<セルナーレ>の概要

1. 「セルナーレ」とは

水溶性糸<ミントバール>とスパンデックス糸や天然繊維、もしくは化繊の複合加工糸

2. 特長

(1) 万能ストレッチ糸が実現
太番手から細番手まで、10/1(+PU)~200/1(+PU)のあらゆる素材のストレッチ糸が可能です。
(2) 独特な風合い感
水溶性糸<ミントバール>が溶解してできる空隙により、通気性のある、軽やかで、膨らみのあるやさしい風合いになります。
(3) ストレッチ性とキックバック性の向上
  • スパンデックス糸と複合した場合、押さえていた水溶性糸<ミントバール>が無くなるため、糸の伸縮性が格段に向上します。
  • 空隙により、製編・織時より、自由度の大きいテキスタイルが可能になります。
(4) 取り扱いが容易
<エクセバール>は、熱水で容易に溶けるので、万一溶け残っても再度溶解することが可能であり、取り扱いが容易で素材の風合いを損なうことがありません。
(5) エコフレンドリーな素材
<エクセバール>は生分解性を持っており、環境にやさしい素材です。

3. 用途

アウター、インナー衣料用など(織物、経編、無縫製ニットなど)

4. 参考価格

綿60/1+PU20dt+<ミントバール>56dt:3000/kg(消費税 別)

5. 販売目標

初年度 50t 150百万円
3年後 150t 450百万円

6. 主な取引先

丸萬商店、(株)ヤギ、新内外綿、丸紅、豊島紡績など

浅野撚糸株式会社の概要

社長 浅野 雅巳
本社 岐阜県安八郡安八町中段の木875 TEL:0584-64-2279(代表)
資本金 10百万円(04年10月末)
事業内容 撚糸加工業