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株式会社クラレ

当社は倉敷事業所(玉島)で、2002年からバイオマス燃料(建築系解体木屑)の導入を開始していますが、このたび供給面、技術面での目処がたったことから、これまでの年間1,000トンの処理量を一挙に16,000トンに拡大します。現在、既設受入設備の改造を行っており、ボイラー燃焼試験を経て今年12月から本格稼動する予定です。

当社は環境負荷の低減を目指し、87年から循環型流動層ボイラーによるサーマルリサイクル(廃棄物から熱エネルギーを回収)に取り組んでいます。このボイラーを活用して、さらに地球温暖化防止に有効とされるバイオマス燃料を導入することにより、CSR活動の一環として環境への貢献を推進していきます。

今回対象としているバイオマス燃料(木屑16,000トン)は建築系の解体木屑で、NPO法人「中四国木材資源リサイクル協会員」会員で、破砕量も多く品質管理にも理解のある工場近隣の3社((株)トーヨー商事、(株)松田組、(有)片岡久工務店)から供給を受けます。これによる環境負荷低減はCO2換算で年間22,000トンとなります。

サーマルリサイクルは、再利用されなかったプラスチック、紙、木などの可燃物を用いて熱エネルギーとして有効活用するものです。これらの廃棄物を破砕・乾燥・選別・成型し、固形燃料=RPF(Refuse Paper&Plastic Fuel)としてボイラーの熱源に利用し、電気及び蒸気にて回収し有効利用するものです。中でもプラスチックは燃やすと高い熱を出す性質があり、高熱処理すればダイオキシンはほとんど発生しません。ダイオキシン対策を伴う施設でのサーマルリサイクルは、埋め立てごみの量を減らす上でも、重要な役割を担っています。

1. 倉敷事業所玉島のサーマルリサイクルの取り組み

1987年
国内では初号機の三井造船製循環型流動層ボイラーを導入し運転。
当初は石炭専焼。
1990年
石炭と、事業所内で発生する不用可燃物の混焼を開始。
1998年
破砕減容固形化設備(RPF製造設備)を設置。「産業廃棄物処分業」の認可を取得し、社内外の廃プラスチック類の回収利用によるサーマルリサイクルをスタート。当社繊維事業とのタイアップにより、使用済みユニフォームのリサイクルシステムを構築。
2001年
発電設備の余剰電力活用対策で、中国電力への売電を開始。
2002年
環境対策および低廉燃料拡大策としてバイオマス燃料(建築系解体木屑)の導入開始。
2003年
木屑約1,000トン/年の混焼達成。供給面、技術面の目処たつ。

2. 「木屑」に関する背景

2002年
建設リサイクル法施工による再資源化の義務付け。
ダイオキシン法規制強化による焼却炉停止。
以上により、処理先の決まらない木屑が増加。
2003年
RPS法(国が電気を販売する電力会社(電気事業者)に対して、毎年度
販売電力量の一定割合以上を、太陽光・風力・地熱などの新エネルギー電力でまかなうことを義務づけ)により、バイオマス燃料が新エネルギー源として新規に認定される。
中国電力がクラレから購入する電力のうち、バイオマス比率に相当する電力
が新エネルギーとして認定される。