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株式会社クラレ

当社は鹿島事業所(茨城県鹿島郡神栖町)の熱可塑性エラストマー(水素添加スチレン系エラストマー:当社商標<セプトン><ハイブラー>)の生産設備を年産4,000トン増設し、年産23,000トンとすることを決定しました。この設備は2005年1月から稼働する予定で、米国子会社(年産12,000トン)と合わせた当社グループの生産能力は年35,000トンとなります。

当社の熱可塑性エラストマーは優れた弾力性を持った合成ゴムで、通常のプラスチックと同様に加熱による成形加工が可能で、自動車内装や電気機器部品、住宅部材関連などのほか、玩具、工具、文具等の身の回りにある軟質素材として広く使われています。またエンジニアリングプラスチック(自動車や電子材料として使われる耐熱性高強度プラスチック)の衝撃強度改良などの硬質プラスチックの脆さを補う改質剤用途や、粘接着性を生かした非有機溶剤系接着剤原料としても使われています。

現在、世界の水素添加スチレン系エラストマー市場の規模は年間約10万トン(2002年 当社推定)です。中でも加硫ゴム代替や軟質塩ビ代替用途が欧・米・アジアとも拡大基調にあり年率約10%の成長が続いています。また性能面では近年ますます高機能化が求められています。

当社は1990年に鹿島事業所で年産1,000トンからこの事業を始め、以降、数次の増強を行い、現在では同事業所の生産能力は19,000トンに拡大しています。また2002年9月からは米国でも生産(セプカ社:テキサス州パサディナ 生産能力12,000トン)を開始しています。

当社はかねてより熱可塑性エラストマー事業をポバール・<エバール>などの酢ビ・ポバール系事業に続くコア事業と位置付け、日米合わせて50,000トン規模に拡大するために積極的な展開を進めています。このたびの増設はこの50,000トン構想の一環として、急速に拡大しているアジア地域を中心とした需要の拡大、及び高機能材用途に対応するために決定しました。今後の世界的な需要拡大に対応するため、当社は引き続きグループとしての能力増強の検討を進めており早期に50,000トン体制を築きあげる所存です。

概要

場所 当社 鹿島事業所(茨城県鹿島郡神栖町 事業所長:執行役員 草野 学)
生産能力
現状 年産 19,000トン
今回増強 +4,000トン 稼働開始予定:2005年1月
年産 23,000トン
設備投資額 約15億円

(参考)

市場規模 10万トン(2002年 当社推定)…米国50%・欧州25%・アジア(日本含む)25%
主な用途 加硫ゴム代替…自動車・家電・OA機器・住宅・食品・医療・玩具・スポーツ用品・工具・雑貨
軟質塩ビ代替…自動車・家電・医療・食品・玩具・スポーツ用品・雑貨
樹脂改質剤…自動車・家電・OA機器・食品
粘接着剤…衛生材料