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株式会社クラレ

当社は2001年12月に設立した欧州現地法人クラレスペシャリティーズヨーロッパ社(KSE社 所在地:ドイツ・フランクフルト)において、PVA樹脂(KSE社商標:Mowiol)の欧州市場での需要拡大・用途開拓に対応するため、現有設備能力を年産20,000トン増強し、年産70,000トンとすることを決定しました。増強工事は2005年初までに完了・稼動する予定です。

PVA(ポリビニルアルコール)は、1950年に当社がビニロン繊維原料として世界で初めて工業化した特殊樹脂です。その後、水溶性などのユニークな特性を生かした用途開発により、繊維糊剤、紙加工剤、接着剤などに広く用いられています。また自動車フロントガラスの強化フィルムなどに用いられるPVB樹脂や、液晶ディスプレイの部材として欠かせない偏光フィルムの原料などとしても、将来にわたる成長が期待されています。

当社グループはクラレ岡山事業所(岡山市)、同中条事業所(新潟県中条町)、ポバールアジア社(シンガポール)、KSE社の4拠点で合計194,000トン/年の生産設備を有するリーディングカンパニーです。当社グループはPVA樹脂およびその周辺事業(EVOH樹脂<エバール>、ビニロン繊維、新合成繊維<クラロンK-Ⅱ>など)をコア事業と位置付け、中長期的な拡大・強化を図っています。

KSE社は、クラリアント社のPVA関連事業を当社が2001年12月に買収して設立した生産販売会社です。設立以来、欧州において独自の用途開発・販路開拓を進めてきた旧クラリアント社の技術力・マーケティング力を継承し、順調に事業を伸長させています。

当社グループとしては、KSE社が保有する高度なノウハウと、PVA樹脂のパイオニアとして長年培ってきた当社のノウハウを融合し、新たな商品・新たな用途を創出することで、PVA関連事業のいっそうの拡大を実現していく考えです。

概要

場所 ドイツ フランクフルト
生産能力
現状 年産 50,000トン
今回増強 +20,000トン 完了2005年初予定
年産 70,000トン
設備投資額 約30億円

(参考)

(1) PVA樹脂の年間需要量(当社推定)

世界需要
50万トン強(中国除く)
約90万トン(中国含む)

2. PVA樹脂の主な用途

ビニロン繊維原料、繊維加工剤、紙加工剤、接着剤、乳化安定剤、フィルム(光学用・繊維包装用 他)、
PVB樹脂原料など

3. クラレグループのPVA樹脂 地域別生産能力(年産)

クラレ 岡山事業所・中条事業所 124,000トン
ポバールアジア社(*) 20,000トン
クラレスペシャリティーズヨーロッパ社 50,000トン
194,000トン
  • * ポバールアジア社(クラレと日本合成化学工業(株)の合弁生産会社)は
    総生産能力40,000トン、うちクラレ引取り分が20,000トン。

4. クラレスペシャリティーズヨーロッパ社の概要

名称 Kuraray Specialities Europe GmbH
本社 ドイツ フランクフルト
生産能力 PVA樹脂“Mowiol”(モヴィオール) 年産50,000トン
PVB樹脂“Mowital”(モヴィタール) 年産20,000トン
社長 Dr. Gerd Lepper(ゲルド・レッパー)
資本金 20百万ユーロ(クラレヨーロッパ社(*)100%出資)
従業員 約250名
  • * クラレヨーロッパ社:クラレ100%出資の欧州統括会社