kuraray 株式会社クラレ


<クラゲール>

<クラゲール>を使ってどのように排水をきれいにするの?

更新日:2003/9/17

有機物を微生物に食べさせて水をきれいに

小学校の頃、排水処理施設を見学したんですが、最初はドロドロで臭かった排水も、最後にはきれいになっていたのでびっくりしたのを覚えています。そもそも排水処理ってどんなものなんでしょうか?

今までの排水処理は「活性汚泥法」という方法が主流でした。これは、微生物を排水中に浮遊させて、排水中にたくさんある有機物をエサとして食べさせて水をきれいにし、その後、微生物を沈殿させて取り除くという方法です。しかし、うまく微生物を沈殿させるには、排水量に対して適切な微生物濃度があるため、排水量が2倍に増えると、排水処理設備も2倍に増やさなければいけないという短所がありました。さらに、増殖して不要となった微生物(余剰汚泥)を産業廃棄物として処理しなければなりませんでした。

約1~10億個の微生物がすむ<クラゲール>

では、<クラゲール>を使った排水処理とは?

<クラゲール>の外観と表面拡大図。この微細な穴に微生物が棲んでいます。

<クラゲール>は、20μ前後の小さな穴が表面から内部へ網目状につながっていて、1個あたり約1~10億個の微生物がすむことができます。そして、空気を送って<クラゲール>自体を流動させて、ゲル内部の微生物に排水を処理させます。このように、<クラゲール>にはたくさんの微生物がすむことができるので、結果として排水処理能力を高め、設備をコンパクトにすることができます。

なるほど。ところで、<クラゲール>に競合品はあるんですか?

市場には、<クラゲール>の替わりに、PEG(ポリエチレングリコール)やPP(ポリプロピレン)に微生物を付着させて排水を処理するシステムもありますが、現状では<クラゲール>に優位性があるといえます。なぜなら、PEGはゼリー状なので、機械的に攪拌するとつぶれてしまい、またPPは表面にしか微生物を付着できないため、微生物の量を増やすことに限界があります。

<クラゲール>の使用例は?

<クラゲール>と当社の中空糸膜を組み合わせて浄化するシステムを紹介しましょう。イラストのように、PVAゲル槽、完全酸化槽、中空糸膜からなるシステムで、ゲル槽で排水中の有機物を食べさせた後、発生した微生物を中空糸膜でろ過します。この排水処理の過程で、微生物は増殖を繰り返していくのですが、あるところまでいくと増殖と死滅がほぼ同じとなり、余剰汚泥の発生が抑えられるという長所があります。また、通常このような運転をすると、汚泥は沈殿しなくなり分離できなくなるのですが、中空糸膜を組み合わせることで分離可能となり、このシステムを完成させることができました。

PVAゲル槽で有機物を分解し、中空糸膜で微生物をろ過します。完全酸化槽では微生物の増殖と死滅がつりあって、余剰汚泥が出ません。

今後の展望は?

2001年よりクラレ西条で本格的な生産を行っています。今後は活性炭と組み合わせたり、各種エンジニアリングメーカーと連携したりすることによって、<クラゲール>の排水処理システムを拡販していきたいですね。

最後に、私たちの身近では、どんなところに使われているんでしょうか?

各家庭の排水を処理する合併浄化槽に<クラゲール>を使用したものが登場していますし、生活排水を処理する下水処理場への採用を目指して開発を実施しています。これらはいずれも、海域の汚染対策を目的に赤潮・青潮の原因となる富栄養化対策(窒素やリン除去)を目的としたものです。

  • <クラゲール>はクラレの商標です