更新日:2003/11/7
<エルモザ>は、天然皮革の表革を起毛させた、毛足の短い「ヌバック」を織物で表現したものなんですよ。
天然皮革の断面拡大写真 薄い表皮層に、小さな空間がある網状組織という構造をしています。
天然皮革は薄さ0.2~0.3ミリの表皮層+網状組織という構造で、網状組織は繊維がからまりあって、小さな透き間がたくさんあります。革が持つ弾力性は、この透き間によるものです。<エルモザ>は織物ですが、小さな透き間をたくさん持つ天然皮革独特の構造を再現できるのです。
はい。世の中には、極細繊維を起毛させたヌバック調素材はたくさんありますが、革独特の透き間を持つものは非常に少ない。例えば、イラストのように、海部分=アルカリ易溶解ポリエステル、島部分=ポリエステルという構造の場合、アルカリで海部分を溶かして極細繊維を作ります。しかし、これを起毛しても、小さな透き間は生まれません。写真からも、起毛部分の奥は、極細繊維がそうめんを束ねたように重なっていることが分かります。
一方、<エルモザ>の拡大写真を見てください。極細繊維の1本1本が重ならず、小さな透き間があるでしょう?これが弾力性と深い発色を生み出すカギなのです。
アルカリで海部分を溶かして作る極細繊維
起毛部分の奥は、極細繊維がそうめんの束のようになっています。
<エルモザ>
繊維1本1本がバラバラした状態で、小さな透き間がたくさんあります。
<エルモザ>は、クラレ独自の複合紡糸技術で、海部分=クラレ独自の水溶性樹脂<エクセバール>、島部分=ポリエステルという構造の<マイクロミント>が原料です。この<マイクロミント>をある条件の下で水に溶かしていく工程で、まず海部分の<エクセバール>が水を吸って膨張します。その後徐々に解けていき、極細繊維の1本1本がうまくほぐれながら出てきてバラバラになり、透き間ができるのです。
従来の極細繊維(上)は光を反射しますが、<エルモザ>(下)の場合、光が吸収されます。
イラストのように、そうめんを束ねたような状態に光が当たると、反射し、その部分が白く見えます。それに対して、<エルモザ>は光の反射が少なく、小さな透き間に光が吸収されます。吸収が多くなって見かけの色が濃く見えるのは、ベルベットの深い発色性と同じ原理です。
そうですね。だから、<エルモザ>は漆黒やこげ茶という濃い色も光らせることなく表現できるので、高級感を醸し出せるんですよ。反対に、光の反射が多いと色の濃度も薄く、安っぽく見えてしまいがちです。また、アルカリで極細繊維を得る従来の方法では、使用したアルカリ溶液の処理が必要ですが、<エクセバール>は水で溶けます。<エクセバール>自体も生分解性のエコフレンドリーな素材なのです。
現在、婦人衣服や手袋、かばん、帽子などに採用され始めました。天然皮革の質感・色彩を人工皮革にはない薄さで表現する、これが<エルモザ>の強みです。今後は、クラリーノカンパニーと協力し、その販路を活用して、国内はもちろん、ヨーロッパにも積極的に販売展開をしていく予定です。