kuraray 株式会社クラレ


<パワロン>(ECC)

<パワロン>は、どうして高強度繊維としてECCに使われるの?

更新日:2003/9/17

高い変形能力でコンクリートの高じん性を向上

コンクリート崩落事故のニュースを見ると、コンクリートのもろさを感じてしまいます。コンクリートのじん性を高めるECCって、どんなセメント材料なんですか?

曲げ変形能力を発揮する<パワロン>を使ったECC

ECC(Engineered Cementitious Composites)は、セメント・砂など、使用する材料の選択や配合比をコンピューターによって設計した高じん性型セメント系複合材です。高強度繊維をモルタル(セメントに砂と水を混ぜたもの)中に分散させることによって、従来のセメント材料を大きく超える曲げ変形能力を発揮します。これはアルミニウムに匹敵し、従来のセメント材料の100倍以上もの変形に耐えられる能力なんですよ。このECCに<パワロン>が高強度の補強繊維として使われています。

どうして変形能力があると、じん性を高められるのですか?

従来のセメント材料を使ったコンクリートと比べてみましょう。従来のコンクリートは、地震など揺れが起こると大きなひび割れが生じやすく、そのひび割れが原因となってコンクリートがはげ落ちてしまいがちでした。一方、ECCは揺れが起きても、高強度繊維が荷重を負担するので、ひび割れが発生しても、そのひび割れが大きくならないうちに新しいひび割れを次々と発生させていきます。多数の微細なひび割れを発生させることによって、変形能力が引き出され、エネルギーを分散して吸収するのでじん性が向上するのです。

FRCで培った技術を展開

<パワロン>は、ECCでどんな働きをしているんですか?

ECCの高強度補強繊維には、太さと強さ、そして適度な界面接着性(セメントとの接着性)が求められます。クラレでは、FRC(繊維補強セメント)で培った技術をもとに、モルタルとコンクリート両者に展開するべく、米国ミシガン大学のリー教授とECCに向けた高強度繊維の共同研究を進めてきました。<パワロン>は、(1)高強度、(2)太い繊維径(30~100μ、1ミクロンは1/1000mm)を併せもつことができます。さらに、(3)セメントと適度な接着性があり、セメント変形時に繊維が引き抜けながら切れるという、ECCの高じん性に適した特長も付与できました。<パワロン>は、ECCの高強度補強繊維の条件に合致しているんです。

実用化が進むECCを<クラロンK-Ⅱ>の柱に

<パワロン>を使ったECCの用途は?

<パワロンボード>を使った補修工法(鉄建建設との共同開発REDEEM工法)

高いエネルギー吸収力を生かして、耐震部材や高架橋・トンネル補強向けに採用されています。また、ひび割れの幅が小さく、水・海水の浸透を抑えられるため、鉄筋の腐食・コンクリートのはく落防止用補修材としても実用化が進んでいます。また、施工が簡単な土木建築用高じん性ボード<パワロンボード>も販売を開始しています。

今後の展望は?

ここ数年、企業・大学・国の機関においてECCの評価・用途研究が精力的に行われており、大手ゼネコンでは実用化試験が始まっています。近い将来、ECC は<クラロンK-Ⅱ>の柱になると確信しています。用途によって耐久性・信頼性のデータや認可取得に時間がかかりますが、生産・開発・販売が一丸となり、事業化を積極的に進めていきたいと思います。

  • <クラロンK-Ⅱ>、<パワロン>、<パワロンボード>はクラレの商標です