
(2009年5月)
当社が2006年度より掲げている『10年企業ビジョン』は、世界に存在感を示すスペシャリティ化学企業として売上高1兆円への成長イメージを描いたものです。
2008年度後半の世界的な経済危機によって、その実現は遅れますが、従来から掲げている「質」を重視した持続的成長を指向する価値観は、このような危機的局面にあっても変わることはありません。早期に収益構造の回復を図り、売上高1兆円への実現に引き続き挑戦してまいります。

化学会社としての世界的「存在感」として掲げています。
当社のユニークな特徴ある事業群は環境問題をはじめとする社会的ニーズに対応できるものが多くあります。1兆円企業への挑戦は、事業を通じた社会への寄与をより広げていきたいという思いの現れです。
1兆円はあくまでビジョンであり、セグメント別の積み上げではありません。コア事業の世界的拡大と新規テーマの事業化を中心に増加を図っていきます。地域別には新興経済圏の成長力に対応した市場拡大により、国内の比率はさらに下がり、北中南米、アジアがより伸びていくと見ています。
当社は創業以来の企業文化として「世のため人のため、他人のやれないことをやる」を標榜しています。今日の全地球的な課題、すなわち地球温暖化、有限な天然資源、水・食糧不足、環境汚染などに対し、当社ならではの独創的技術の発現によって、効果的な解決策を提供すること、そしてすべての企業活動において環境・社会との調和を図ることで、長期にわたる持続的成長が可能になると考えています。
当社が新規分野として注力する新エネルギー関連ビジネス、アクアビジネス、環境フレンドリー材料ビジネスはいずれもこれら全地球的な課題に対応するものです。当社が蓄積してきた技術・市場に関する知恵を生かし、全社の価値創造ポテンシャルを最大限に発揮することで成長力を高め、2018年を目標に1兆円企業を目指します。

経済危機の影響により毀損した収益構造の改善に最優先で取り組み、『GS-21』で目指した業績を確保すると同時に、次なる成長のための重要な課題である「新事業の創出・拡大」や「コア事業の世界戦略の加速」に取り組んでいきます。具体的には次の通りです。

収益構造の改善のため、次の5つの課題に重点的に取り組みます。

市場成長力が高く、当社の技術ポテンシャルが発揮できる重点領域へ経営資源を投入し、次のような環境指向型ビジネスの創出を目指します。
1つ目は環境領域で、アクアビジネス(排水処理・リサイクル、有価物回収)が中心となります。2つ目はエネルギー領域で、具体的には、新エネルギーとして太陽エネルギー(太陽電池パネル封止材など)や水素エネルギー(燃料電池材料など)などが挙げられます。3つ目は光学・電子領域で、照明部材、透明導電膜などの早期事業化に取り組んでいきます。
今後、将来への布石として、これらの急速な成長が見込まれる重点領域での事業拡大戦略を具体化していきます。そのため、これらの分野へ経営資源を集中し、グループの力を結集して取り組んでいきます。
世界的に競争力のある酢酸ビニル系をはじめとする基幹素材事業においてM&A、新興経済圏市場の展開加速、既存市場の深耕などによりさらなる地域的拡大を目指します。
たとえば酢酸ビニル系事業では、PVA樹脂は米国に生産拠点がなく、PVB樹脂は欧州でしか生産していません。アジアや米国、日本に据える拠点を今後具体化したいと考えます。EVOH樹脂<エバール>はインドや中国での生産拠点がいまだになく、これらの空白地域への対応を考えていきたいと思います。
これらの施策の他に、『GS-Twins』のS(Safety)である安全の確保へも優先的に取り組んでいきます。事故や災害はそれを起こした人や企業にとって大きな不幸であるとともに、大きなムダに直結します。減産や開発・試験生産など非定常作業が増加しますので、念には念を入れて安全の確認を徹底していきます。

資本効率・資産効率の向上は引き続き重要課題と考えています。世界経済危機の状況下では、『GS-21』で目指した営業利
益500億円レベルの回復が先決と考えています。
ここに到達すればROE(*1)・ROA(*2)指標などで表される資本効率・資産効率も自ずと回復しますから。
また、バランスシートに関しては、現在の経済状況に鑑みキャッシュの確保を重視していきます。借入金などで2,000億円程度を調達しても、自己資本比率50%で健全さを保ち得るのが当社の強みです。堅固な財務体質を生かして、M&Aを含めた事業拡大投資は案件を厳選しつつ、タイミングよく実行していく考えです。
株主還元については、『GS-21』では「連結配当性向30%以上」および「配当と自己株式取得を合わせた株主還元率70%」を掲げましたが、『GS-Twins』においては、自己株式取得については現下の金融情勢から慎重に対応したいと考えています。配当については、「連結配当性向30%以上」を継続する方針です。業績急低下から回復までの間、業績やキャッシュ状況なども勘案しつつ、安定的な配当の維持についても配慮していきたいと考えています。