クラレグループは、社会の健全で持続可能な発展が企業としての成長や繁栄の条件であるとともに、企業活動の究極の目標であると考えます。人々にとって価値のある製品や事業を通して社会に貢献することはもちろん、企業市民として一定の節度ある範囲で社会的な問題に取り組むことは、企業として重要な社会貢献であると認識しています。
2016年度は、クラレグループ社会貢献活動方針に則り、文化・学術・環境・福祉分野を中心に活動しました。
クラレグループは、社会の一員としての責任を果たすため、以下の方針に基づき、社会貢献活動に積極的に取り組みます。
2016年度 | 2017年度目標 | ||
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目標 | 実績 | 評価と課題 | |
【学術】 「ランドセルは海を越えて」キャンペーンの着実な実行 |
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【学術】 「少年少女化学教室」を5事業所と本社で年1回以上実施する |
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【福祉】 知的障がい者の作業施設の運営 |
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【文化】【学術】【環境】【福祉】
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クラレグループは、初代社長の大原孫三郎が設立した公益財団法人大原美術館の支援を継続的に実施するとともに、事業所での文化活動の支援も行っています。
岡山事業所では、2005年から「小学生絵画・書道コンクール」を毎年開催しています。本コンクールは、日頃の成果を発揮する場として定着しており、2016年度は事業所近隣の5つの小学校から多くの作品応募がありました。なお入賞作品は公民館に展示、全作品はホームページ上に掲出しています。今後も継続して取り組んでまいります。
公益財団法人大原美術館
岡山:絵画・書道コンクール
2016年度は、従来の活動を継続支援することによる健全な青少年育成を目標に、各事業所での少年少女化学教室の開催、社外イベントへの参加、スポーツ大会の主催などを実施しました。
鹿島:かみすフェスタ
子どもたちに化学実験を通して、化学の楽しさを知ってもらう教育活動として、小学生を対象に「少年少女化学教室」を開催しています。この取り組みは、事業所内の専門教室や、地域の小学校、公共施設などで、社員ボランティアが講師やアシスタントを務めるもので、1992年より毎年国内の各事業所で開催しています。2016年度は、各事業所で合計13回、のべ289名の方に参加いただききました。また、東京本社では夏休み子ども化学実験ショー(千代田区)へ出展、鹿島事業所ではかみすフェスタ(神栖市)、青少年のための科学の祭典(潮来市)へ出展し、クラレブースには約2,800名の方に訪れていただきました。今後も継続して取り組んでいきます。
事業所 | 教室名 | 累計 | 累計参加人数 |
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合計 | 258回 | 8,131名 | |
倉敷事業所 | おもしろかがく館 | 69回 | 1,840名 |
西条事業所 | わくわく化学教室 | 70回 | 2,082名 |
岡山事業所 | おもしろ化学教室 | 43回 | 1,356名 |
新潟事業所 | ふしぎ実験室 | 55回 | 1,570名 |
鹿島事業所 | おもしろ化学教室 | 21回 | 1,283名 |
岡山:児童テニス大会
青少年育成の観点から、各事業所でスポーツ大会を開催しています。2016年度は、昨年より取組みを始めた岡山事業所での児童テニス大会を継続するなど、各事業所で各種スポーツ大会等を主催しています。また、会社の保有する野球場・体育館・テニスコートを近隣の学生向けに利用を開放し、地域スポーツの振興に務めています。今後も継続していきます。
岡山:クラレ岡山みらいの森の作業風景
2016年度は、毎年活動している森林保全や清掃ボランティアを実施することを目標に、森林保全は岡山事業所の「クラレ岡山みらいの森」、新潟事業所の「ミラバケッソの森づくり活動」を実施、全ての事業所で清掃ボランティアを継続して行いました。今後も、森林保全や清掃ボランティアに重点的に取り組みます。
また、グループ会社においても事業所周辺の清掃活動などを定期的に行っています。
クラレの各事業所では、自治体・NPO法人と連携して、社員ボランティアによる森林保全活動や、公園や道路の清掃、保育園の園庭の芝刈り等の活動に取り組んでいます。
2016年度は、知的障がい者の就労支援・雇用数の維持・定着を図ることとクラレふれあい募金の実施を目標に、倉敷事業所、西条事業所、新潟事業所、鹿島事業所での知的障がい者の作業施設の運営、また各事業所でクラレふれあい募金の寄付などを実施しました。また西条事業所と新潟事業所では桜の開花時期に合わせて観桜会を開催しており、近隣の福祉施設の方に来場いただきました。今後も継続していきます。
倉敷:倉敷作業所
クラレは、障がい者に雇用機会を提供することによって、その自立を支援するため、地域の福祉施設と連携して知的障がい者のための作業所を設置しています。新潟事業所の「クラレ作業所」は、1997年に中条町(現・胎内市)と社会福祉法人七穂会「虹の家」の協力を得て、知的障がい者就労の場として開所し、生産工程で発生する端材をリサイクルするための分別や、備品の製作などを行っています。2007年には西条事業所の「ひまわり作業所」が開所、2011年には、鹿島事業所で、社会福祉法人神栖啓愛園の支援により「あおぞらワークス」を開設し、倉敷事業所で作業服のクリーニング・製品のラベル貼付作業に従事している社員を含めると、4つの事業所で、あわせて12名の指導員と36名の作業員が働き、さまざまな業務に従事しています。また社員とスポーツイベントなどを通じて交流しています。今後も引き続き運営を継続し、雇用の維持・定着を図ります。
作業内容 | |
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倉敷 | 作業服のクリーニング、製品のラベル貼付 |
西条 | 製品のリサイクル、作業服のクリーニング |
新潟 | 製品のリサイクル、鍋敷・エプロンの製作、作業服のクリーニング |
鹿島 | 製品の包装袋の二重化、異物選別 |
「ランドセルは海を越えて」は、戦禍によって教育機会を奪われたアフガニスタンなどの子どもたちに、毎年、日本の小学生が使っていたランドセルを文房具や手紙を添えて贈る国際貢献活動で、現在までにアフガニスタン・モンゴル・ネパールで活動実績があります。
2004年のスタートから13年目を迎えた2016年度は、全国各地から7,732個のランドセルの提供がありました。このランドセルは、公益財団法人ジョイセフの協力のもと、関係団体やクラレグループ社員の手で仕分け梱包された後、多くのボランティアの協力を得て海を渡り、10月~12月にかけてアフガニスタンのナンガハール州にある11の小学校でプレゼントされました。今までの累計105,122個になります。今後、他の国にも支援の輪を広げたいと考えています。
年度 | 個数 | 年度 | 個数 |
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2004年度 | 8,514 | 2011年度 | 11,144 |
2005年度 | 12,076 | 2012年度 | 8,326 |
2006年度 | 5,504 | 2013年度 | 6,396 |
2007年度 | 6,894 | 2014年度 | 7,908 |
2008年度 | 7,022 | 2015年度 | 7,111 |
2009年度 | 7,522 | 2016年度 | 7,732 |
2010年度 | 8,973 | 累計 | 105,122 |
西条:ふれあい募金によるクラレ文庫
クラレでは、社員の寄付金に、その同額を会社がプラスして行う寄付制度であるマッチングギフトを「クラレふれあい募金」の名称で1992年7月からスタートしました。制度に賛同する社員が月次給与100円未満の端数を積み立て、その同額を会社が拠出します。集まったお金は基金として、社会福祉に役立てるよう活用しています。2016年度は、各事業所の近隣にある福祉施設や自治体、学校を中心に、介護用品や図書等を寄贈するなど、地域に根ざした活動を行いました。今後も引き続き、基金を社会福祉に役立てていきます。
『クラレグループ地球環境行動指針』(1993年制定)の下、2002年に地球環境保全を推進するための「グリーン調達基準」を策定しました。主要取引先約800社に「グリーン調達基準」の冊子を配布するとともに、各社の取り組み状況の評価を実施しました。
2005年には、国際的な普遍的原則である「国連グローバル・コンパクト」の10原則に基づき、「クラレCSR調達方針」を策定しました。
これは、従来取り組んできた「グリーン調達の推進」に「人権・人格の重視」、「コンプライアンスの遵守」を加えた、より包括的な内容です。取引先にこの方針の理解をお願いするとともに、アンケート調査により主要取引先約700社のCSR調達の取り組み状況を把握し、課題がある取引先に対してはフィードバックと改善のお願いを実施してきました。
新規取引先には取引開始時に、CSR調達の取り組み状況を確認する作業を継続します。さらに機資材購買においては購買システムの刷新により、インターネット経由でCSR調達の取り組み状況が確認できるようになりましたので、これにより、引き続き的確な状況把握を図っていきます。
2002年よりクラレでは事業活動に必要な9品種107品目(文具、OA機器、自動車等)について、「グリーン購入ガイドライン」を定め、環境負荷の低い「グリーン商品」を優先的、積極的に購入する活動を進めており、今後も継続します。
取締役 専務執行役員 久川 和彦
当社は人工皮革<クラリーノ>のメーカーで、この製品はランドセル用素材として7割以上のシェアを占めています。使い終わったランドセルを何かに役立てたいという子供たちや保護者の声に応えて、2004年から、アフガニスタンの子供たちにプレゼントする活動「ランドセルは海を越えて」を始めました。この活動は2016年度で13年目を迎え、その間、アフガニスタンの子供たちに届けたランドセルは10万個を超えたことを嬉しく思います。先日、桜が満開の中での2017年度のランドセル仕分けボランティアに行ってきました。今年も約7千個のランドセルの旅立ち準備が整いました。
「ランドセルは海を越えて」をはじめとする社会貢献活動は継続が何より大切、地道に続けていきます。