トップメッセージ

トップメッセージ 社会の持続可能性のために クラレにおける社会や環境に責任を果たす取り組みを紹介する「クラレCSRレポート2011」をお届けします。

このたびの東日本大震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災地の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
クラレも鹿島事業所が被災しましたが、幸いにも人的被害や設備の倒壊などの重大な事故には至りませんでした。しかし、サプライチェーンの寸断により一時生産が滞り、顧客の皆さまにご心配をおかけいたしました。クラレグループは世界オンリーワン製品を多く生産しており、その持続的な供給という社会的責任を痛感いたしました。予測が困難な事象に対しても事業が継続できるよう、全社的な視点でリスクの再点検を行っているところです。

環境と社会への貢献

2011年度は3ヵ年の中期アクションプラン「GS-Twins」の最終年度です。リーマン・ショック直後の2009年度はまず「収益構造の改善」を掲げ、設備投資の先送り、経費の圧縮、人員効率化などの改善策に取り組み、難局を乗り切ることを優先させました。2010年になると、新興国経済が予想を上回るスピードで拡大、欧米の景気も回復に向かい、独自製品を中心にクラレグループの業績は急回復しました。2011年度は「GS-Twins」の残り2つの課題である「新事業の創出・拡大」「コア事業の世界戦略加速」を積極的に推進し、「売上高4,000億円」「営業利益600億円」をめざします。「新事業の創出・拡大」では、クラレグループの技術ポテンシャルが発揮でき、全地球的課題解決に貢献できる「新エネルギー関連ビジネス」「アクアビジネス」「環境フレンドリー材料ビジネス」を重点領域と定め、環境指向型ビジネスの創出をめざします。また、「コア事業の世界戦略加速」では、これまでの先進国中心の展開から、新興国での市場開拓を進め、独自・高機能製品で生活の質の向上や環境への貢献をめざしていきます。

クラレは2000年に策定した「環境中期計画」で、国内事業所を中心に意欲的な目標値を定め、さまざまな活動を進めてきました。特に、温室効果ガス排出量については2010年度に1990年度比11.8%削減となり、目標の10%削減を超過達成しました。2010年にCOP16(国連気候変動枠組条約第16回締約国会議)で京都議定書後の新たな枠組みの骨格が合意に至ったものの、各国の思惑が錯綜し、今後の調整に課題を残しています。日本は大震災後の電力問題もあり、環境について非常に厳しい状況にありますが、クラレはこの危機を将来の事業機会ととらえ、温室効果ガス排出削減の技術開発、環境貢献製品の開発・拡大に取り組んでまいります。

CSRの原点

クラレは1926年、レーヨンの企業化を目的に設立、1950年には世界で初めて合成繊維ビニロンの工業化に成功、その後、高分子化学・合成化学の独自技術をベースにポバール、<エバール>、イソプレンをはじめ高機能樹脂、化学品分野で社会に有用な製品を提供し続けてきました。現在のクラレの礎となったビニロンの開発は、戦争で疲弊した日本の復興のため、物資の不足していた日本人の生活に役立てるため、世界初の合成繊維をなんとしても作りたいという当時の社長大原總一郎の使命感によるものでした。この精神は、「世のため人のため、他人のやれないことをやる」という企業文化として引き継がれています。クラレグループは、社会から預かった資源を独創性のある技術によって付加価値を高めて社会にお返しすることを事業の目的としています。そうして得た利益は、さらなる成長のための設備投資、研究開発に投入し、持続的な業績向上を通じた増配による株主還元とともに、社員や地域、社会事業などにも適切に社会還元を行ってまいります。

クラレは「個人の尊重」「同心協力」「価値の創造」という創業の精神を受け継いだ企業理念を、クラレが果たすべき社会的責任の原点としています。日本は今、かってない困難に直面していますが、クラレグループの一人ひとりがこの試練にひるむことなく、英知を結集して日本の復興に貢献するとともに、これからも社会への責任を果たしていきたいと考えます。

株式会社クラレ 代表取締役社長 伊藤文大