kuraray 株式会社クラレ


クラレグループカレンダー2010年

世界遺産 -危機から救われた至宝-

地球と人類が生み出し、時を超えて受け継がれる自然・文化の至宝、世界遺産。
自然の変化や人間の行いは、ともするとその豊かさや美しさをゆがめてしまうことがあります。
とりわけ大きく姿を変えつつある世界遺産は、「危機にさらされている世界遺産リスト」(危機遺産リスト※)に登録され、回復に向けたさまざまな活動が展開されています。
クラレグループカレンダー2010年版は、現地政府や地域住民、世界遺産活動を推進するユネスコや各国から支援に駆けつけた人々などの努力により危機から救われた世界遺産に光を当てました。
元の姿を取り戻した世界遺産は、「かけがえのない自然・文化を未来に伝えたい」という世界の人々の願いの象徴です。

  • 2009年7月現在、31件

12月のテーマ ケルン大聖堂/ドイツ連邦共和国

12月カレンダー

1996年文化遺産登録/2004年危機遺産リスト登録/2006年危機遺産リスト解除
1248年に建設が始まり、300年近い中断期間をはさんで1880年に完成したゴシック様式の壮麗な聖堂。ライン川のほど近く、ケルン中央駅のすぐそばに建つ、高さ約157mの巨大な双塔が目をひくケルン市のシンボルです。周辺は第二次世界大戦の被害が大きく、戦後建設された近代的な建物が多い地域。そこに高層ビルの建設計画が浮上し、都市景観の破壊が危惧される事態となりました。建設賛成派と反対派がさまざまな議論を交わした結果、ビルの高さ制限を行うなど建設計画が変更され景観が守られました。

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11月のテーマ エヴァグレーズ国立公園/アメリカ合衆国

11月カレンダー

11979年自然遺産登録/1993年危機遺産リスト登録/2007年危機遺産リスト解除
フロリダ半島の南端に位置する広大な湿地帯の一部を占める公園です。熱帯性、亜熱帯性の自然の宝庫で、海岸付近にはマングローブが息づくほか、固有種を含む多種多様な動植物が生息しています。絶滅が危惧される動物も多く見られます。しかし、都市化による人口増加や農業開発が湿地帯の水位の低下や水質汚染を招き、また1992年のハリケーンにより大きな被害を受けました。これに対し、保有国が資産の保護の努力を進めたことや、改善のための財政的資源を工面し回復への道筋ができました。

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10月のテーマ プリトヴィッチェ湖群国立公園/クロアチア共和国

10月カレンダー

1979年自然遺産登録/1992年危機遺産リスト登録/1997年危機遺産リスト解除
クロアチア中部の広大な広葉樹林帯を蛇行しながら流れるプリトヴィッチェ川を中心とする公園です。標高639mの湖から滝で結ばれた数十個の湖が階段状に点在し、壮麗な光景をあらわしています。森にはヒグマやオオカミ、オオライチョウをはじめ多様な動物が生息します。1991年、内戦により公園がセルビアの管理下に置かれたことで、公園で施設管理や観光客へのサービス提供に携わる人々が避難を余儀なくされました。内戦終結後、観光客の受け入れ態勢や新下水システムなどが整備され、管理態勢が改善されました。

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9月のテーマ ハンピの建造物群/インド

9月カレンダー

1986年文化遺産登録/1999年危機遺産リスト登録/2006年危機遺産リスト解除
14〜17世紀、南インドを支配したヴィジャヤナガル王国の都だったハンピは、ヴィジャヤナガル時代の最高傑作といわれるヴィッタラ寺院をはじめ、寺院や宮殿などの遺跡が残され往時の面影を伝えています。しかし、遺跡のある地域を通る川の2本の吊り橋建設の工事によって、遺跡が損傷する事態となり、さらに景観破壊が進むおそれがありました。ユネスコは、専門家チームを現地に派遣し調査を実施、世界遺産に迫る危機を勧告して工事が中止されました。また、損傷した遺跡の修復も行われました。

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8月のテーマ ドゥブロヴニク旧市街/クロアチア共和国

8月カレンダー

1979年文化遺産登録/1991年危機遺産リスト登録/1998年危機遺産リスト解除
クロアチアの南端、アドリア海に面するドゥブロヴニクは、交易都市として発展しました。城壁に囲まれた旧市街は、中世のたたずまいをとどめ「アドリア海の真珠」と称賛されています。1990年代に起こった内戦は、この美しい街を破壊しました。内戦が終結すると、市民が街の復興に着手、ユネスコ及び各国の資金的、技術的支援のもと、主要な歴史的建造物が修復されました。修復は、以前と同じ様式、同じ材料を使って行われました。国外からも石工などのボランティアが集まりました。

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7月のテーマ トンブクトゥ/マリ共和国

7月カレンダー

1988年文化遺産登録/1990年危機遺産リスト登録/2005年危機遺産リスト解除
マリ中部、サハラ砂漠の南端に位置し「黄金の都」と呼ばれた歴史的な交易都市トンブクトゥ。13世紀以降、サハラ砂漠の岩塩と金の交易の中継地として栄え、14世紀以降はモスクが建設され、多くの巡礼者が訪れました。また、大学が設置されるなど16世紀まで文化の中心地でもありました。しかし、砂漠の砂が長期にわたり浸食し、モスクの崩壊や街の砂漠化が懸念されるようになり、マリ政府及びイタリアを中心とする国々やユネスコは協力してモスクの修復を行いました。さらに、水利施設を整備するなど街の保全を図りました。

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6月のテーマ イグアス国立公園/ブラジル連邦共和国

6月カレンダー

1986年自然遺産登録/1999年危機遺産リスト登録/2001年危機遺産リスト解除
ブラジル南部、アルゼンチンとの国境を流れるイグアス川。イグアス川にかかり壮大な景観を見せるイグアスの滝は最大落差約80m、大小270を超える滝が連なり、世界三大瀑布の一つに数えられています。イグアスの滝の周辺は、両国がそれぞれ国立公園に指定しています。園内の密林には、絶滅危惧種を含む多様な動植物が生息しています。しかし、ブラジル側の公園内の道路建設によって生態系への悪影響が懸念されましたが、ブラジル政府が環境保全の政策に取り組むなどして、状況が改善されました。

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5月のテーマ ンゴロンゴロ保全地域/タンザニア連合共和国

5月カレンダー

1979年自然遺産登録/1984年危機遺産リスト登録/1989年危機遺産リスト解除
一群の火山が噴火を繰り返し形成された、巨大なンゴロンゴロ・クレーター(火口)には約2万5,000頭ともいわれる野生動物が生息し、「アフリカ自然保護区の至宝」として知られています。また、草原や森、湖、川など豊かな自然が息づき動物たちの生命を支えています。この地域では20世紀初めから大規模な農業と牧畜が行われていましたが、農業用地が保護区内にまで広がったことで生態系への悪影響が危惧されました。そこで、政府が主導し、保全計画の見直しを行うなどの環境悪化に歯止めをかける対策がとられました。

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4月のテーマ アンコール/カンボジア王国

4月カレンダー

1992年文化遺産登録/1992年危機遺産リスト登録/2004年危機遺産リスト解除
アンコール・ワットなど仏教寺院を中心とするクメール王朝が築いた華麗な建造物群。20年におよんだカンボジアの内戦による破壊のほか盗難、風化などが貴重な遺跡を崩壊の危機にさらしました。内戦が終結すると間もなく、保存に向けた活動が始まりました。日本やフランスを中心に30近い国々から民間ボランティアをはじめ支援が集まり、政府や地域住民と協力し修復活動が進められたのです。そこには地道な作業に汗を流す青年たちや、修復に不可欠な技術を伝える日本の石職人の姿がありました。

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3月のテーマ イシュケル国立公園/チュニジア共和国

3月カレンダー

1980年自然遺産登録/1996年危機遺産リスト登録/2006年危機遺産リスト解除
地中海沿岸のチュニジア北部、標高511mのイシュケル山とイシュケル湖、湿地帯からなる広大な公園です。湿地帯は、ヨーロッパから飛来する渡り鳥の有数の越冬地です。海水湖とつながる湖には、淡水魚、海水魚の双方が生息します。湖に流れ込む河川の上流に建設された取水ダムは、淡水の供給不足による湿地帯の乾燥化や塩分濃度の上昇を引き起こし、渡り鳥の減少などを招きました。また、密猟の増加で生態系が悪化しました。そこで、環境保護対策や監視などの密猟対策がとられ、植物や魚類の生態系が回復しました。

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2月のテーマ コトルの自然と文化—歴史地域/モンテネグロ

2月カレンダー

1979年文化遺産登録/1979年危機遺産リスト登録/2003年危機遺産リスト解除
イタリア半島とバルカン半島にはさまれたアドリア海。海岸が入り組んだバルカン半島側の湾に位置するコトルは、背後を山に守られた天然の良港を擁し、古くから交易都市として栄えました。全長約4kmの城壁をめぐらせた 市街には、中世の大聖堂や宮殿などの歴史的建造物が建ち並んでいます。1979年に襲った2回の大地震は、建造物の倒壊など多大な被害を与えました。ユネスコは専門家からなる調査団を地震直後に派遣するとともに世界に支援を呼びかけ、市当局とともに建造物の修復や再建を進めました。

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1月のテーマ イエローストーン国立公園/アメリカ合衆国

1月カレンダー

1978年自然遺産登録/1995年危機遺産リスト登録/2003年危機遺産リスト解除
1978年、世界で初めて登録された世界遺産のうちの一つです。ロッキー山脈北部の溶岩台地にあり、蒸気や間欠泉が噴き上がる景観や多彩な野生動物で知られます。しかし、バイソンやヘラジカなどの希少動物の減少や、イエローストーン川上流域の鉱山での採掘計画が持ち上がったことなどにより生態系や環境への悪影響が懸念され、一時、危機遺産リストに登録されていました。しかし、ユネスコや国際自然保護連合などの勧告を受けて採掘計画が中止となり、また動物の保護管理体制も強化、改善が図られたことで環境破壊の危機が去ったと判断されました。

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